14 / 38
逃走と別れと出会い
しおりを挟む
(ポチ・・・ポチ・・駄目だ・・・死なないでくれ。)
重症を負ったポチの身体を必死に動かし、何とかハンター達から距離をとる。触手を使い、木の上を通ったりしているため、多少の時間稼ぎ位にはなるだろう。逃げつつも体の修復をかけようとするが、理由は分からないが、糸がほつれてしまい上手く行かない。
(血が・・・命が・・・零れていく。)
冷たいようだが、俺はポチに対して随分と特別扱いしてきた、それは元人間らしい理不尽さから来る物なのか、単に手塩にかけてここまで成長させた思い入れから来る物なのか、ネズミ達には申し訳ないが、今更ポチを失う事に対して、俺は酷く狼狽えていた。こうなる事は覚悟していた筈なのだが、実際にその時を迎えてみるとなんと情けない事か。
どれほど逃げていただろうか。ふと、ポチが弱々しくも反応を見せた。直ぐに動きを停めて様子を伺うと、どうやらとある方向に対して興味を持っている様子で、そちらに行きたがり始めたので、素直に希望に沿い進路を変える。
果たしてそこには一つの小さな影が落ちていた。
(人間?)
2桁もいっていないような年齢の小さな女の子がそこに倒れている。
見て分かるのは、推定の年齢とふっくらとした成長途中の肢体、金髪のショートヘアーである事、将来美人さんになりそうな事くらいである。
(何故こんな所に?)
ここは森の中でも奥まった場所で、今は夜だ。
(ゴブリンにでも攫われたのか?)
疑問に思っている間に、ポチは自らの力で女の子に近寄っていた。確かにこの子を食べれば大幅な体力の回復を見込めるだろう。背に腹は代えられぬと覚悟を決めたが、ポチが子供を食べる事はなかった。ポチは女の子の頬を一度舐めると横に伏せの体制になった。
ここで、ポチの言いたい事が、やっと理解できた。(乗り換えてくれ)
何故、自ら生き延びようとしないのか
何故、宿敵とも言える人間の子供なのか
そもそも一緒に死ぬ事すら考えていたので、混乱してしまう。
しかし、これがポチの遺志だというのならば、俺はそれに沿わねばならない。
彼の目から抜け出し、自切りをせずに女の子の耳に向かう。昔によく馴染んだ形、人の耳だ。成長した体には少し狭く、脳に向かうには不適に思えたので、対象を鼻の穴へと変更しなんとか侵入。あとはハンターと同じ手順で寄生に成功する。
まず何故倒れているのか、それを確認する必要があった。要因は血液不足のようだ、背中に大きな裂傷があったので、切りつけられでもしたのだろうか。それにしても、この状態で生きているとは奇跡としか言い様がない。
だが、このままでは、この女の子も時を置かずして死んでしまう。俺の栄養にもなる血がない状態ではどうしようもなく手詰まりだ。途方にくれていたところで、そこに救いの手が添えられた。ポチの残りの触手だ。
ポチは力を振り絞るように立ち上がると女の子を抱え上げ、近くの茂みに隠し自らの触手で包み込み、触手を喰いちぎったあと、少し距離を置いたところに倒れ込んだ。
(なるほど、これを使えば。)
もとより使い慣れている物、それを再利用し傷を塞ぐ事は可能だろう。残りの分はやった事が無いが血液の代用に回せるようにしなければならない、それができなければ、この子は助からないだろう。俺も一緒に果てるだけになるかもしれない。
重症を負ったポチの身体を必死に動かし、何とかハンター達から距離をとる。触手を使い、木の上を通ったりしているため、多少の時間稼ぎ位にはなるだろう。逃げつつも体の修復をかけようとするが、理由は分からないが、糸がほつれてしまい上手く行かない。
(血が・・・命が・・・零れていく。)
冷たいようだが、俺はポチに対して随分と特別扱いしてきた、それは元人間らしい理不尽さから来る物なのか、単に手塩にかけてここまで成長させた思い入れから来る物なのか、ネズミ達には申し訳ないが、今更ポチを失う事に対して、俺は酷く狼狽えていた。こうなる事は覚悟していた筈なのだが、実際にその時を迎えてみるとなんと情けない事か。
どれほど逃げていただろうか。ふと、ポチが弱々しくも反応を見せた。直ぐに動きを停めて様子を伺うと、どうやらとある方向に対して興味を持っている様子で、そちらに行きたがり始めたので、素直に希望に沿い進路を変える。
果たしてそこには一つの小さな影が落ちていた。
(人間?)
2桁もいっていないような年齢の小さな女の子がそこに倒れている。
見て分かるのは、推定の年齢とふっくらとした成長途中の肢体、金髪のショートヘアーである事、将来美人さんになりそうな事くらいである。
(何故こんな所に?)
ここは森の中でも奥まった場所で、今は夜だ。
(ゴブリンにでも攫われたのか?)
疑問に思っている間に、ポチは自らの力で女の子に近寄っていた。確かにこの子を食べれば大幅な体力の回復を見込めるだろう。背に腹は代えられぬと覚悟を決めたが、ポチが子供を食べる事はなかった。ポチは女の子の頬を一度舐めると横に伏せの体制になった。
ここで、ポチの言いたい事が、やっと理解できた。(乗り換えてくれ)
何故、自ら生き延びようとしないのか
何故、宿敵とも言える人間の子供なのか
そもそも一緒に死ぬ事すら考えていたので、混乱してしまう。
しかし、これがポチの遺志だというのならば、俺はそれに沿わねばならない。
彼の目から抜け出し、自切りをせずに女の子の耳に向かう。昔によく馴染んだ形、人の耳だ。成長した体には少し狭く、脳に向かうには不適に思えたので、対象を鼻の穴へと変更しなんとか侵入。あとはハンターと同じ手順で寄生に成功する。
まず何故倒れているのか、それを確認する必要があった。要因は血液不足のようだ、背中に大きな裂傷があったので、切りつけられでもしたのだろうか。それにしても、この状態で生きているとは奇跡としか言い様がない。
だが、このままでは、この女の子も時を置かずして死んでしまう。俺の栄養にもなる血がない状態ではどうしようもなく手詰まりだ。途方にくれていたところで、そこに救いの手が添えられた。ポチの残りの触手だ。
ポチは力を振り絞るように立ち上がると女の子を抱え上げ、近くの茂みに隠し自らの触手で包み込み、触手を喰いちぎったあと、少し距離を置いたところに倒れ込んだ。
(なるほど、これを使えば。)
もとより使い慣れている物、それを再利用し傷を塞ぐ事は可能だろう。残りの分はやった事が無いが血液の代用に回せるようにしなければならない、それができなければ、この子は助からないだろう。俺も一緒に果てるだけになるかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
とある執事の日常 ~お嬢様の中身は恐らくギャル~
冬兎
ファンタジー
うちのお嬢様は絶対におかしい。
「道路やばくない? 整備しよ」
「孤児院とか作ったら?」
「困ってる人助けるのなんか当たり前っしょ」
貴族令嬢らしからぬ口調で突拍子もない提案を次々とぶつけてくるお嬢様、レティシア・リオネール。執事の俺、クラウスは今日も彼女の無茶振りに振り回される。
不思議なことに、お嬢様の理想論は必ず実現し効果を発揮する。
孤児院は完成し、医療制度は整い、領地は驚異的に発展していく。
元勇者の伯爵様、脳筋騎士団長、くのいちメイド長、双子の妹たち――
濃すぎる面々に囲まれながら、俺は今日もお嬢様の思いつきを形にしていく。
気づけば、振り回されることに悦びを感じ始めている俺はもう手遅れかもしれない。
R8.1.20 投稿開始
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる