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五章 流浪
一.解任〔一〕
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一五六三年(永禄六年)、一月。
十日には、明智光征(十八歳)と葵(十八歳)の長子、桜巳が無事に誕生した。
月末。
翔隆は木下藤吉郎(二十七歳)と共に、台所帳面を見ていた。
「…本当に、出世したなぁ…」
翔隆がまるで炉辺の年寄りのように、しみじみと言った。
木下藤吉郎は驚いて、照れながら言う。
「な、何ですか急に…こうなれたのも、全て貴殿のお力添えあればこそ! 城壁の割普請の時も共に考えて下さったからこそ、にござる!」
「いや…藤吉郎なら、一人で出来た事だろうし……」
「いえいえいえいえ! それだけではござらん! 城の造り等を習っていなければ、とてもとても…」
「これからが、大変だぞ」
と、話し合っている所へ、前田利家(二十六歳)が血相を変えてすっ飛んできた。
「翔隆! 殿が…」
「どうした?」
「……これまでに無い程、静かに笑われて…お主を呼んでおられる……」
利家は、真っ青になってそう告げた。
信長が静かに笑う時は、天地がひっくり返る程の怒りを胸に秘めている時だ…。
翔隆は唾を飲み込んで、冷や汗を掻く。
「わ……分かった………」
そう言って立ち上がると、利家がガシッとしがみついてきた。
「だっ、駄目だ! 行ってはならん!」
「行かねば更に激怒なされる!」
「殺されるぞ?!」
「それでも行く!」
二人は言い合いながら、信長の待つ二ノ丸へ向かった。
利家は何とか行かせまいと、全体重をかけて翔隆にしがみつくが、それでも翔隆はそのまま利家を引きずっていった。
広間には、本当に静かに微笑している織田信長(三十歳)が座っていた。
〈ーーー来る!!〉
そう思うと同時に、信長は目と鼻の先に走ってきていた。
そして次の瞬間には、信長の蹴りが翔隆の腹に入り、利家もろとも庭に吹っ飛んだ。
ダーン バキバキ バッシャーン
とてつもなく大きな音が響き、次の間から池田恒興(二十八歳)や小姓の橋本橋介らが、渡り廊からは丹羽長秀(二十九歳)、佐々成政(二十六歳)、森可成(四十一歳)らが何事かと駆け付ける。
信長はそれらを気に掛ける事も無く、池から這い上がって翔隆の髻を掴み上げる。
「ぐっ…!」
「寵愛…と…?」
一言…信長は重く、怒りのこもった声で言い、髻を掴んだまま縁側へ上がると、力まかせに翔隆を広間の中に投げた。
ダダーン ガシャ ガシャン
翔隆は障子と襖を突き破り、杯や皿を割り、掛けてあった直垂を引き裂いて次の間に倒れ込んだ。
「う…ぐぅ……」
翔隆は軽い脳震盪を起こす。
信長は冷ややかな、しかし燃えたぎった眸をぎらつかせて、一歩、また一歩とゆっくり翔隆に近付く。
「…上杉に、一度……武田に六度………? ようも我をたばかってくれたな……」
「……………!」
ついにばれてしまった!
翔隆は慌てて何とか言い訳をしようと顔を上げるーーーと、目の前に信長の顔があった。
「ーーーっ」
その余りに凄い形相に、翔隆は言葉を失う。
そして、這うようにズルズルと後退った。
すると信長も同じ速度でしゃがみながら歩く。
「今日…上杉の細作を、お前の弟が捕らえてなあ……そ奴、おみゃあに用があるとぬかしおったわ。…輝虎が呼んどる、となあぁ…」
「う…あ…」
「抱かれて腰抜けにされたか…? 戦に加勢…? 御伽衆…?」
変わらぬ表情のまま、まるで呪いの言葉のように言う信長は、今まで見た中で一番恐ろしかった。
体中がガタガタと震え、声を出すのも目を背けるのも、息をするのでさえも困難な程に恐れ、おののいていた。
信長は右手でガシッと翔隆の口と顎を掴み上げる。
「……っ!」
今にも骨を砕かれそうな程の力で持ち上げられ、宙に浮く。
「…ただ殺すだけでは飽き足らん……じっくりとなぶり殺してくれよう…」
「む……うーっ!」
「そしてその死体を二つに裂いて、上杉と…武田に…送ってやろう!」
そう言って、また外に投げ付けられた。
だが、今度はひらりと身を翻し、着地する。
「お待ち下さい!」
「待たんわあっ!」
信長は野獣の如き素早さで、翔隆を斬りつける。
着物や皮を斬られながらも、翔隆は逃げ惑った。
「せめて…話を…っ!」
「聞かぬわあっ! おのれちょこまかと…」
「お願いで…っ!」
言い掛けて翔隆は何かにつまづき、後ろにすっ転んだ。
「あの世で己が罪を悔いるがいいっ!」
「お待ち下されい!!」
ガバッと、今頃気が付いたかのように可成・利家・長秀・恒興が信長にしがみついた。
「離せえい!!」
「いいえ離しませぬ!」
「殿の御為にも離れませんっ!」
長秀と利家が叫ぶ。
その間に、駆けつけた柴田勝家(四十三歳)と成政が信長の刀を奪った。
「何をするかっ!」
「どうかお留まりを!」
「なりませぬ!」
「何卒、ご再考を!」
口々に言われて思い止どまったのか、信長は何も言わずに皆を振り払い、本丸へ行ってしまった。
「……………」
誰も、何も言えない。
事情を知っているからこそ、何と言っていいのか分からなかったのだ。
その中で、翔隆は震えながら立ち上がると、髪をほどいてその場に剣を置く。
〈もはや、これまで……!〉
心でそう判断し、翔隆は皆をじっと見つめた。
「皆…今まで、お世話になりました。あの方は解任と決めましょう………お元気で…」
翔隆はそう言って深く一礼し、風と共に消えてしまう。
「待て!」
利家と長秀、成政が慌てて後を追っていくと、騒ぎを聞き付けた奇妙丸(七歳)が駆けてきた。
「わっ、私も…っ!」
「奇妙丸さま…!」
仕方が無いとばかりに、利家が奇妙丸を背負って走る。
翔隆は邸に帰るなり己の座敷に籠もってしまった。
その態度だけで、城で重大な何かがあったのだと分かる。
光征、矢苑忠長(十三歳)、椎名雪孝(十五歳)、矢月一成(二十三歳)らが、隣りの間から様子を窺い、そわそわとしていた。
ふと忠長が心配して言う。
「どうしたのだろう…」
「珍しく早くお帰りかと思えば、刀剣も帯びずに…」
一成も気になって言うと、隙間から中を見ながら雪孝が言う。
「何か書いておられるようだが…」
皆も心配してそっと中を覗くと、翔隆は文机に向かって座り、何かを書いていた。
「…今近寄ったら怖い気がする…」
などと忠長が言った時、篠姫(十三歳)がお茶を持って中に入る。
「どうぞ」
「………篠、落ち着いて聞いてくれ」
「あい、何でしょうか?」
「……私は…」
と言い掛けた時、ガタッと戸が開かれて
「失礼至す!」
と言い利家らが上がってきた。
「あっ、これは奇妙丸さままで…」
葵と身重の鹿奈(二十二歳)が出迎え、奇妙丸を先頭に翔隆の部屋へと上がる。
翔隆はすぐに平伏し、奇妙丸達は一礼して座る。
「お久しゅう、姉上」
奇妙丸はまず篠姫に挨拶してから、翔隆に向き直る。
「気を落とすなよ?」
「奇妙丸様……ご心配召されますな」
翔隆は苦笑して答える。
「だからあれ程…注意しろと言ったというのに…!」
長秀が切なげに言うのを聞いて、家臣達が慌てて入ってきた。
「どうしたというのですか?!」
「…解任された。故に、ここにはいられなくなったのだ」
翔隆が淡々と答えると、家臣達は言葉を失い唖然とする。
翔隆は奇妙丸と友である利家・長秀・成政の四人を見回すと微笑む。
「これも良い機会です…私はこの機を活かして一族として成すべき事を果たしておきます。これから先、いつ名誉挽回出来るか分からないからこそ、もっと戦略などでお役に立てるように、各国の同胞達を説き伏せねば、なりませぬ故に……」
「必ず、戻ってくるな?!」
奇妙丸が、悲しげに眉を寄せて聞く。
「はい。他に主君を持つ身であっても、一番…忠誠を誓い、心酔しているのは信長様のみなれば」
「…武田や上杉に、寝返らんな?!」
成政が代表して聞く。
すると翔隆は真顔で頷いた。
「はい。あの方々は、私が一番信長様に忠誠を誓っているのを承知の上で、仕えさせて頂いておりまする。故に、決してそのような事は至しませぬ」
それを聞いて、奇妙丸は頷いて立ち上がる。
「分かった。…何処にいても、あの烏や獣を通じて文をつかわす……早まるなよ?」
「はい」
頷くと、奇妙丸も頷き返して外に出た。
「我らも同じ心故……達者でな」
利家が言い、長秀と成政と共に一礼して出て行った。
すると、また翔隆は文机に向かう。
〈解任……!〉
それを聞いて、一番衝撃を受けたのは似推里(二十八歳)であった。
似推里は、一人庭に出て隠れて考える。
〈翔隆は旅に出る……そうしたら皆はそれぞれに任務を与えられて、ただただ…いつ戻るか分からない翔隆の帰りを待つ………。そんなのは嫌………私は、待っているだけなんて事は出来ない…!〉
これから先の事を考え、似推里は懸命に考えた。
待つという事は出来ない、共に居たい…共に、在りたいと願う強く、揺るぎない気持ち…。
これをどう活かせばいいか?
〈翔隆と、共に歩む…………〉
考える内に、一つの答えにたどり着いた。
〈…そうだわ………それしかない…!〉
何かを決心すると、似推里は己の座敷へと向かった。
十日には、明智光征(十八歳)と葵(十八歳)の長子、桜巳が無事に誕生した。
月末。
翔隆は木下藤吉郎(二十七歳)と共に、台所帳面を見ていた。
「…本当に、出世したなぁ…」
翔隆がまるで炉辺の年寄りのように、しみじみと言った。
木下藤吉郎は驚いて、照れながら言う。
「な、何ですか急に…こうなれたのも、全て貴殿のお力添えあればこそ! 城壁の割普請の時も共に考えて下さったからこそ、にござる!」
「いや…藤吉郎なら、一人で出来た事だろうし……」
「いえいえいえいえ! それだけではござらん! 城の造り等を習っていなければ、とてもとても…」
「これからが、大変だぞ」
と、話し合っている所へ、前田利家(二十六歳)が血相を変えてすっ飛んできた。
「翔隆! 殿が…」
「どうした?」
「……これまでに無い程、静かに笑われて…お主を呼んでおられる……」
利家は、真っ青になってそう告げた。
信長が静かに笑う時は、天地がひっくり返る程の怒りを胸に秘めている時だ…。
翔隆は唾を飲み込んで、冷や汗を掻く。
「わ……分かった………」
そう言って立ち上がると、利家がガシッとしがみついてきた。
「だっ、駄目だ! 行ってはならん!」
「行かねば更に激怒なされる!」
「殺されるぞ?!」
「それでも行く!」
二人は言い合いながら、信長の待つ二ノ丸へ向かった。
利家は何とか行かせまいと、全体重をかけて翔隆にしがみつくが、それでも翔隆はそのまま利家を引きずっていった。
広間には、本当に静かに微笑している織田信長(三十歳)が座っていた。
〈ーーー来る!!〉
そう思うと同時に、信長は目と鼻の先に走ってきていた。
そして次の瞬間には、信長の蹴りが翔隆の腹に入り、利家もろとも庭に吹っ飛んだ。
ダーン バキバキ バッシャーン
とてつもなく大きな音が響き、次の間から池田恒興(二十八歳)や小姓の橋本橋介らが、渡り廊からは丹羽長秀(二十九歳)、佐々成政(二十六歳)、森可成(四十一歳)らが何事かと駆け付ける。
信長はそれらを気に掛ける事も無く、池から這い上がって翔隆の髻を掴み上げる。
「ぐっ…!」
「寵愛…と…?」
一言…信長は重く、怒りのこもった声で言い、髻を掴んだまま縁側へ上がると、力まかせに翔隆を広間の中に投げた。
ダダーン ガシャ ガシャン
翔隆は障子と襖を突き破り、杯や皿を割り、掛けてあった直垂を引き裂いて次の間に倒れ込んだ。
「う…ぐぅ……」
翔隆は軽い脳震盪を起こす。
信長は冷ややかな、しかし燃えたぎった眸をぎらつかせて、一歩、また一歩とゆっくり翔隆に近付く。
「…上杉に、一度……武田に六度………? ようも我をたばかってくれたな……」
「……………!」
ついにばれてしまった!
翔隆は慌てて何とか言い訳をしようと顔を上げるーーーと、目の前に信長の顔があった。
「ーーーっ」
その余りに凄い形相に、翔隆は言葉を失う。
そして、這うようにズルズルと後退った。
すると信長も同じ速度でしゃがみながら歩く。
「今日…上杉の細作を、お前の弟が捕らえてなあ……そ奴、おみゃあに用があるとぬかしおったわ。…輝虎が呼んどる、となあぁ…」
「う…あ…」
「抱かれて腰抜けにされたか…? 戦に加勢…? 御伽衆…?」
変わらぬ表情のまま、まるで呪いの言葉のように言う信長は、今まで見た中で一番恐ろしかった。
体中がガタガタと震え、声を出すのも目を背けるのも、息をするのでさえも困難な程に恐れ、おののいていた。
信長は右手でガシッと翔隆の口と顎を掴み上げる。
「……っ!」
今にも骨を砕かれそうな程の力で持ち上げられ、宙に浮く。
「…ただ殺すだけでは飽き足らん……じっくりとなぶり殺してくれよう…」
「む……うーっ!」
「そしてその死体を二つに裂いて、上杉と…武田に…送ってやろう!」
そう言って、また外に投げ付けられた。
だが、今度はひらりと身を翻し、着地する。
「お待ち下さい!」
「待たんわあっ!」
信長は野獣の如き素早さで、翔隆を斬りつける。
着物や皮を斬られながらも、翔隆は逃げ惑った。
「せめて…話を…っ!」
「聞かぬわあっ! おのれちょこまかと…」
「お願いで…っ!」
言い掛けて翔隆は何かにつまづき、後ろにすっ転んだ。
「あの世で己が罪を悔いるがいいっ!」
「お待ち下されい!!」
ガバッと、今頃気が付いたかのように可成・利家・長秀・恒興が信長にしがみついた。
「離せえい!!」
「いいえ離しませぬ!」
「殿の御為にも離れませんっ!」
長秀と利家が叫ぶ。
その間に、駆けつけた柴田勝家(四十三歳)と成政が信長の刀を奪った。
「何をするかっ!」
「どうかお留まりを!」
「なりませぬ!」
「何卒、ご再考を!」
口々に言われて思い止どまったのか、信長は何も言わずに皆を振り払い、本丸へ行ってしまった。
「……………」
誰も、何も言えない。
事情を知っているからこそ、何と言っていいのか分からなかったのだ。
その中で、翔隆は震えながら立ち上がると、髪をほどいてその場に剣を置く。
〈もはや、これまで……!〉
心でそう判断し、翔隆は皆をじっと見つめた。
「皆…今まで、お世話になりました。あの方は解任と決めましょう………お元気で…」
翔隆はそう言って深く一礼し、風と共に消えてしまう。
「待て!」
利家と長秀、成政が慌てて後を追っていくと、騒ぎを聞き付けた奇妙丸(七歳)が駆けてきた。
「わっ、私も…っ!」
「奇妙丸さま…!」
仕方が無いとばかりに、利家が奇妙丸を背負って走る。
翔隆は邸に帰るなり己の座敷に籠もってしまった。
その態度だけで、城で重大な何かがあったのだと分かる。
光征、矢苑忠長(十三歳)、椎名雪孝(十五歳)、矢月一成(二十三歳)らが、隣りの間から様子を窺い、そわそわとしていた。
ふと忠長が心配して言う。
「どうしたのだろう…」
「珍しく早くお帰りかと思えば、刀剣も帯びずに…」
一成も気になって言うと、隙間から中を見ながら雪孝が言う。
「何か書いておられるようだが…」
皆も心配してそっと中を覗くと、翔隆は文机に向かって座り、何かを書いていた。
「…今近寄ったら怖い気がする…」
などと忠長が言った時、篠姫(十三歳)がお茶を持って中に入る。
「どうぞ」
「………篠、落ち着いて聞いてくれ」
「あい、何でしょうか?」
「……私は…」
と言い掛けた時、ガタッと戸が開かれて
「失礼至す!」
と言い利家らが上がってきた。
「あっ、これは奇妙丸さままで…」
葵と身重の鹿奈(二十二歳)が出迎え、奇妙丸を先頭に翔隆の部屋へと上がる。
翔隆はすぐに平伏し、奇妙丸達は一礼して座る。
「お久しゅう、姉上」
奇妙丸はまず篠姫に挨拶してから、翔隆に向き直る。
「気を落とすなよ?」
「奇妙丸様……ご心配召されますな」
翔隆は苦笑して答える。
「だからあれ程…注意しろと言ったというのに…!」
長秀が切なげに言うのを聞いて、家臣達が慌てて入ってきた。
「どうしたというのですか?!」
「…解任された。故に、ここにはいられなくなったのだ」
翔隆が淡々と答えると、家臣達は言葉を失い唖然とする。
翔隆は奇妙丸と友である利家・長秀・成政の四人を見回すと微笑む。
「これも良い機会です…私はこの機を活かして一族として成すべき事を果たしておきます。これから先、いつ名誉挽回出来るか分からないからこそ、もっと戦略などでお役に立てるように、各国の同胞達を説き伏せねば、なりませぬ故に……」
「必ず、戻ってくるな?!」
奇妙丸が、悲しげに眉を寄せて聞く。
「はい。他に主君を持つ身であっても、一番…忠誠を誓い、心酔しているのは信長様のみなれば」
「…武田や上杉に、寝返らんな?!」
成政が代表して聞く。
すると翔隆は真顔で頷いた。
「はい。あの方々は、私が一番信長様に忠誠を誓っているのを承知の上で、仕えさせて頂いておりまする。故に、決してそのような事は至しませぬ」
それを聞いて、奇妙丸は頷いて立ち上がる。
「分かった。…何処にいても、あの烏や獣を通じて文をつかわす……早まるなよ?」
「はい」
頷くと、奇妙丸も頷き返して外に出た。
「我らも同じ心故……達者でな」
利家が言い、長秀と成政と共に一礼して出て行った。
すると、また翔隆は文机に向かう。
〈解任……!〉
それを聞いて、一番衝撃を受けたのは似推里(二十八歳)であった。
似推里は、一人庭に出て隠れて考える。
〈翔隆は旅に出る……そうしたら皆はそれぞれに任務を与えられて、ただただ…いつ戻るか分からない翔隆の帰りを待つ………。そんなのは嫌………私は、待っているだけなんて事は出来ない…!〉
これから先の事を考え、似推里は懸命に考えた。
待つという事は出来ない、共に居たい…共に、在りたいと願う強く、揺るぎない気持ち…。
これをどう活かせばいいか?
〈翔隆と、共に歩む…………〉
考える内に、一つの答えにたどり着いた。
〈…そうだわ………それしかない…!〉
何かを決心すると、似推里は己の座敷へと向かった。
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