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番外編
海で楽しく遊びたいっ!
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※下ネタ注意
カレリアは内陸にあるので海がない。しかし!よくやく旦那様をゲットした今、私はどうしても砂浜のある海に行きたかった。
そこでアトス様にハネムーンは海のある国で!とねだったところ、二つ返事でオーケーをもらえたので、現在こうして砂浜にいるのである。
カレリアにはいくつか同盟国があって、中でもアルメリアは年中暑くて雪も降らない。そんなわけで各国のお金持ちがリゾートにやって来る。
この辺りの領主は一部の海岸を開放しているので、砂浜では結構な人数が海水浴や日差しを楽しんでいた。
とは言っても、湘南みたいにサーファーやビキニギャルがウジャウジャというわけでない。この世界は露出についてはまだ慎み深いところがあるので、みんなTシャツに短パンみたいな水着だった。
まあ、これについては計算違いだったものの仕方がない。何事も理想通りにはいかないものだ。
――そう、私には前世からの理想……もとい夢があった。それはウェーイ系パリピとなって、彼ピッピ(古い)とキャッキャウフフすることだ!
青い海と白い砂浜をバックに、「ほ~ら、私を捕まえてごらんなさ~い」「待て待て~!」と追いかけっこをしたりとか、バーベキューで二人で肉を焼きながら、「タカシ君、まだ生焼けだよお」「オレたちはアツアツだから大丈夫☆」とイチャイチャしたりとかしたかった……!
社畜系喪女だった前世の私には、夏の太陽やウェーイ系パリピは眩しすぎた。パリピと一言でも口を利いてしまえば、明るさに当てられ灰になるレベルだった。暗闇でしか生きて行けないのが社畜系喪女なのだ。
しかし、ようやくカップルとなった今、私こそがウェーイ系パリピなのだ!
アトス様は私の夢に嫌な顔一つせず付き合ってくれ、この日のために徹夜で書き上げた脚本を、細かなエピソードまで再現してくれた。もちろん、タカシの焼いた生焼けの肉もだ。
しかし、これが見事に、あるいは当然裏目に出るとことになる。
「う、うう……」
私はむくりと体を起こした。
隣ではアトス様がまだすやすやお昼寝をしている。私たちはこれでもかと遊び倒したあとで、木陰にキルトを敷いて休憩していたのだ。
ところが、三十分後に私だけ目が冷めた。理由は激しいお腹の痛みだ。ギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮアと、この世のものとは思えない音がする。多分、生焼けの肉に当たったんだろう。
アトス様を起こせばすぐに魔術で癒やしてくれるだろう。でも、せっかく気持ちよさそうに寝ているのに、こんなことで起こすのは気が引けた。アトス様もワーカホリックで働きづくめの毎日。休暇くらいはのんびりしてほしかったのだ。
私はトイレを探しに砂浜を歩き回った。しかし、それらしき建物はどこにもない。二十一世紀の日本の湘南ではないので、海の家なんて気の利いた施設もあるはずがない。いくつかある木陰も必ず人目につく位置にある。
痛みはどんどん強くなり、波の音はもはや耳に入らない。私はギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮア――と鳴るお腹を抱え、目を血走らせてひたすらトイレを探した。
海に入ってオノレを解き放つことも考えたものの、綺麗な海なので罪悪感がハンパないだろうだけではなく、万が一海水浴客にバレて「魔術団総帥の新妻が南の海で脱○!」――なんてニュースになれば首を括るしかない。
でも、もうガマンできそうにない。
ギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮアをBGMに、ついに脳内に走馬灯が回り始めた頃、私ははたと目の前にある白い砂浜に気付いた。そう、砂。砂があったじゃないかと天啓を受けた思いがした。猫なら恥ずかしいもクソもないじゃないの!
が、が、が、それは人として何か大切なものを捨てるような気がして数秒躊躇う。しかし、再びやって来たギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮアの波に、もはや尊厳とかプライドとかに構っている余裕がなくなり、結局私はなりふり構わず猫に変身して砂を掘り始めたのだった―ー
――〇〇〇との戦いにあえなく敗れ、敗北感に打ちひしがれ、トボトボと木陰に戻った頃には、アトス様はもう起きて本を読んでいた。
「おや、アイラ、猫の姿でどこへ遊びに行っていたんですか?」
「……」
アトス様の顔を見られずに後ろを向いて寝転がる。
猫の姿なら皆様にはバレないと思っていたけれども、それ以前に公衆の面前で〇〇〇をするって、どう考えてもティーンの新妻のすることじゃない、うっうっうっ……。
「何かあったんですか? 拗ねたアイラも可愛いですねえ」
アトス様によしよしと背を撫でられながら、私はその日の午後をしおれて過ごすしかなかった。
ハネムーンの思い出がこの出来事一色に塗り潰されたのは言うまでもない。こうして私の黒歴史に新たな一ページが付け加わったのだ……。
カレリアは内陸にあるので海がない。しかし!よくやく旦那様をゲットした今、私はどうしても砂浜のある海に行きたかった。
そこでアトス様にハネムーンは海のある国で!とねだったところ、二つ返事でオーケーをもらえたので、現在こうして砂浜にいるのである。
カレリアにはいくつか同盟国があって、中でもアルメリアは年中暑くて雪も降らない。そんなわけで各国のお金持ちがリゾートにやって来る。
この辺りの領主は一部の海岸を開放しているので、砂浜では結構な人数が海水浴や日差しを楽しんでいた。
とは言っても、湘南みたいにサーファーやビキニギャルがウジャウジャというわけでない。この世界は露出についてはまだ慎み深いところがあるので、みんなTシャツに短パンみたいな水着だった。
まあ、これについては計算違いだったものの仕方がない。何事も理想通りにはいかないものだ。
――そう、私には前世からの理想……もとい夢があった。それはウェーイ系パリピとなって、彼ピッピ(古い)とキャッキャウフフすることだ!
青い海と白い砂浜をバックに、「ほ~ら、私を捕まえてごらんなさ~い」「待て待て~!」と追いかけっこをしたりとか、バーベキューで二人で肉を焼きながら、「タカシ君、まだ生焼けだよお」「オレたちはアツアツだから大丈夫☆」とイチャイチャしたりとかしたかった……!
社畜系喪女だった前世の私には、夏の太陽やウェーイ系パリピは眩しすぎた。パリピと一言でも口を利いてしまえば、明るさに当てられ灰になるレベルだった。暗闇でしか生きて行けないのが社畜系喪女なのだ。
しかし、ようやくカップルとなった今、私こそがウェーイ系パリピなのだ!
アトス様は私の夢に嫌な顔一つせず付き合ってくれ、この日のために徹夜で書き上げた脚本を、細かなエピソードまで再現してくれた。もちろん、タカシの焼いた生焼けの肉もだ。
しかし、これが見事に、あるいは当然裏目に出るとことになる。
「う、うう……」
私はむくりと体を起こした。
隣ではアトス様がまだすやすやお昼寝をしている。私たちはこれでもかと遊び倒したあとで、木陰にキルトを敷いて休憩していたのだ。
ところが、三十分後に私だけ目が冷めた。理由は激しいお腹の痛みだ。ギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮアと、この世のものとは思えない音がする。多分、生焼けの肉に当たったんだろう。
アトス様を起こせばすぐに魔術で癒やしてくれるだろう。でも、せっかく気持ちよさそうに寝ているのに、こんなことで起こすのは気が引けた。アトス様もワーカホリックで働きづくめの毎日。休暇くらいはのんびりしてほしかったのだ。
私はトイレを探しに砂浜を歩き回った。しかし、それらしき建物はどこにもない。二十一世紀の日本の湘南ではないので、海の家なんて気の利いた施設もあるはずがない。いくつかある木陰も必ず人目につく位置にある。
痛みはどんどん強くなり、波の音はもはや耳に入らない。私はギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮア――と鳴るお腹を抱え、目を血走らせてひたすらトイレを探した。
海に入ってオノレを解き放つことも考えたものの、綺麗な海なので罪悪感がハンパないだろうだけではなく、万が一海水浴客にバレて「魔術団総帥の新妻が南の海で脱○!」――なんてニュースになれば首を括るしかない。
でも、もうガマンできそうにない。
ギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮアをBGMに、ついに脳内に走馬灯が回り始めた頃、私ははたと目の前にある白い砂浜に気付いた。そう、砂。砂があったじゃないかと天啓を受けた思いがした。猫なら恥ずかしいもクソもないじゃないの!
が、が、が、それは人として何か大切なものを捨てるような気がして数秒躊躇う。しかし、再びやって来たギュルグルウルルンゴゴゴゴグヮアの波に、もはや尊厳とかプライドとかに構っている余裕がなくなり、結局私はなりふり構わず猫に変身して砂を掘り始めたのだった―ー
――〇〇〇との戦いにあえなく敗れ、敗北感に打ちひしがれ、トボトボと木陰に戻った頃には、アトス様はもう起きて本を読んでいた。
「おや、アイラ、猫の姿でどこへ遊びに行っていたんですか?」
「……」
アトス様の顔を見られずに後ろを向いて寝転がる。
猫の姿なら皆様にはバレないと思っていたけれども、それ以前に公衆の面前で〇〇〇をするって、どう考えてもティーンの新妻のすることじゃない、うっうっうっ……。
「何かあったんですか? 拗ねたアイラも可愛いですねえ」
アトス様によしよしと背を撫でられながら、私はその日の午後をしおれて過ごすしかなかった。
ハネムーンの思い出がこの出来事一色に塗り潰されたのは言うまでもない。こうして私の黒歴史に新たな一ページが付け加わったのだ……。
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