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1章 旅立ちの一歩

9話 遭遇

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「大きい鷹ね」


鷹の落ちた場所に降りて、私は鳥の容姿を再確認しました、体長10メートルはあるわ、それに金色の羽がすごく綺麗、まるでどこかの物語とかに出てきそうな鳥です。


「そう言えばスキルで鑑定があったわね、ちょっと確認して見ようかしらね」


私は鳥に鑑定を掛けました、すると開発などと同じように板が出現して情報が表示されたんです。

この金色の鷹がどれくらいの強さか、かなり気になる所、あれほど苦戦した鳥が弱かった場合、私の今後がかなり怪しいんです。また他の奴が襲ってきて勝てないなんてことが、かなりの確率で出てきます。


「『鑑定』っと・・・名前は大怪鳥ラフォール、肉食で獰猛、ヒューマンの子供などは軽く攫って行く、基本的に魔力を捕食するので、魔力の多い物を好んで食べる」


鑑定を掛けたのに、それほど情報が記載されてませんでした、もしかしたら私があまり知識がないからかもしれません。


「私を追いかけて来た理由はわかったわ、でも強さが書いてない、獰猛ってだけじゃ分からないわよ・・・これは、大きさで強さを測るしかなさそうね・・・取り敢えず大きいし、普通のモンスターよりも強いって事にしましょ」


鳥は金色ですごく強そうよ、これはきっとゲームとかにもいる、上位ランクのモンスターよね、分からないけどさ。


「兎に角初勝利よね、自分のレベルが上がったか確認したいとこだけど、出来ないよねぇ」


鳥を収納にしまいながら独り言で愚痴っています、そして私は壁の見えた方向に向かって飛んだのよ。

大型系武器の開発が終了したので、もっと威力のある爆薬も開発です、C4とか、もう考えられる武器は全部量産、トラップなどにも使えるように用意しておくわ。


「ルールルーン、ルールルーン、ルールルルル、ルルーン、ルルーン、ルルンルン」


鼻歌を歌いながらしばらく飛んでますが、少しやけになってもいます。

だって景色があまり変わらないし、街道も見えなくて正直つまらないのよ、誰かと会わないかしらね。


「はぁ~ゲームだと、こういった時はモンスターが一定間隔で襲ってくるんだけど、ダメかしら・・・あら?」


変なことを言って飛んでたら、正面に点が動いていたのが気になったわ、まだかなり遠くだったので、収納からスコープを出しよく見ました、4足で走っている動物が小さく見えましたね。


「先頭に1体、後ろに3体ね・・・でも一番前を走ってるのは服を着てる、後ろのは見たまんま狼ね、もしかして先頭のは獣人かしら?顔は人だけど・・・って事は、追われてる?助けた方が良いのよね」


スコープで確認したのだけど、追いかけられてる獣人はワンコっぽいわ、かなり焦って走ってる様に見えます。

あれはもう逃げてるの確定ね、倒しちゃいましょ。


「せっかく遠くなんだから、しっかりと固定して準備ね、まずは一番近い狼から【ズガン】」


私は椅子が付いている台座を地面に固定し、自分の100倍はある大型対戦車ライフルをその上に設置しました、そして椅子に座ってスコープを覗き、対象を狙って引き金を引いたの、すごい衝撃が辺りに響いたわ、私サイズの大型だから、まだまだ小さくて威力はかなり半減だけど、それでも弾はシルフィートスだし、本物の半分くらいの大きさはあるから、普通の狼くらいなら倒せるわ、スコープでも確認したけど、もう狼の頭はなくなって動いてないの、後ろの2匹も続けて狙撃して倒したわよ。


「さて、あの獣人さんに会った方が良いのだけど・・・迷うわね」


スコープで状況を見ると、ワンコはどうなったのか分からないみたいで周りを見渡してるわ、それにさっきは4足で走ってたけど、今は2足で立って歩いてる、きっとあの方が早かったのね。


「でも、見た感じ可愛いし、あまり裏表がなさそう・・・ではあるかなぁ」


スコープで見てもとっても可愛いわ、すごくフサフサの尻尾に、耳がミニチュアダックスフンドみたいに垂れててモフモフしてそうよ・・・って事で、私はライフルをしまって近づく事にしました。

もし怖がられたら仕方ないわ、そこでお別れね。


「ど、どうなってるわん」


ワンコが狼に近づきクンクン嗅いでるわ、私は空からそれを見てるけど、声を掛けないとね。


「君、それは私の獲物よ」

「きゃんっ!?」


上から近づいて注意したら、ワンコが飛び上がっちゃったわ、きゃんって言ったわよ、可愛いわね。


「ごめんね驚かせて、でもその狼を倒したのは私、回収して良いかしら?」


狼の真上まで私は飛んで行き指差すと、ワンコが驚きながらも頷いていたわ、驚いた顔がまた可愛いわ、ヨシヨシって触りたくなるわね。


「ありがと」


私はワンコにお礼を言って狼に触って収納にしまいました、ワンコが驚いてるから、きっと収納ってレアなのね、村でも私しか持ってなかったもん。それにしても性別が分からないワンコね、男の子っぽいけど、まだ幼く見えるし判別が難しいです。

まずは自己紹介をして様子見かしら?


「私はラリーファファ、あなたは?」

「ぼ、僕はペルーロだわん、助けてくれてありがとうわん」


素直にお礼を言われちゃったわ、声からして男性ね、語尾のわんと茶色の毛がフサフサしてて、良いわねぇ。


「どういたしまして、でも、どうしてペルーロはこんなところを走ってたの?」

「そ、それは・・・クエストで平原ウルフの討伐に出たんだわん、だけど返り討ちにされちゃったわん」


尻尾を下げてしょんぼりしてるわ、一人で戦えると思ったから来たんじゃないの?武器は持ってないし、装備も革製品で急所だけ守ってる程度、確実に新人だわ。


「無謀ね君、弱い内は仲間とかを作って、団結して戦わないとダメよ」

「仕方ないんだわん、獣人をPTに入れてくれるところなんて、奴隷みたいに扱われるだけだわん」


そうなの?って私は頭を傾げました、それがホントなら、ここって相当あぶない所よ、奴隷ってところもそうだけど、扱いがひどそうだわ。


「じゃあ獣人だけのPTを作りなさいよ、そう言った子たちを集めれば問題ないんじゃない?」

「え!?」


私の提案に驚いてるけど、どうして思いつかないかなっと、私はやれやれって仕草をしました。全員が獣人ならそんなことないわ、それに他の種族だってどんな扱いをされてるか分からないわね。
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