カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

文字の大きさ
43 / 130
四章 アイ参上!

40話 ビキニのお姉さん

しおりを挟む
 オープニングショーが終わって少しして、今僕達三人はある重要な選択肢を突きつけられていた。

「うーん……ウチさっき焼きそば食べたいって言ったけど、思ったより他のメニューも充実してるな……」

 今から食べるものをどうするか悩んでいたのだ。チラシを見るに焼きそば以外にも美味しそうなものがたくさんある。

「普通に手分けして買いに行って、その後みんなで食べればよくないですか?」
「それもそうか。じゃあうち焼きそばのところに並んでくるから二人は別の所お願いねー」

 しかしその問題はあっさりと解決する。岩永さんは焼きそばの列に並びに行く。

「峰山さんは何か食べたいものある?」
「わたくしは……このクレープが食べてみたいですね」
「じゃあ僕は向こうで席を取って……あと飲み物とかでも買ってくるよ」

 僕は彼女と別れ、少し離れた所にある席付きの海の家まで行く。お昼には少々早い時間帯なのでそこまで混んではいない。

「あれ? ボクどうしたの? 迷子?」

 店の看板に書いてあるメニューを見て何を買おうかと悩んでいると、突然後ろから話しかけられる。
 僕に話しかけてきた女性はとても綺麗でスタイルが良い女の子で、黒色のビキニを着ていて峰山さんのようにサングラスをかけていた。
 年は僕より少し上くらいだろうか、大人っぽさを漂わせる彼女が僕の方に歩み寄ってくる。
 
 
「いや僕は迷子じゃないです。友達に頼まれて席を取りに来ただけで……」
「ふーんそうなんだ。だとしても感心しないな。こんな子供を一人で歩かせるなんて」

 僕は心の中でまたかと思い溜息を吐く。
 こうやって実年齢より若く見られて話しかけられることがちょくちょくあるのだ。身長が低いのも童顔なのも自覚こそしているが、こういうのには正直飽き飽きしている。

 でも身長が伸びやすいものを積極的に食べたり、早く寝たりしているのに身長中々伸びないんだよな……

「あの……僕一応十六歳です」
「え!? 嘘……アタシと同いど……待って。今年十六になったの?」
「はい。先週誕生日で十六になりました」

 実際の年齢を教えて驚かれるのもこれで何度目だろうか。

「なら、ギリギリアタシの方が年上でお姉さんってことだね」

 彼女は明るい笑顔を見せる。発言から考えるに彼女は僕の一個上、高校二年生なのだろう。

「分かってくれたなら僕もう行きますね。友達に頼まれてるんで……」
「待てよ……子供っぽく見える高校一年生……まさか……?」

 列に並ぼうとした時彼女がいきなり僕の肩を力強く掴み引き止める。

「ちょっと待って。君ってもしかして……」
「痛っ!」

 彼女の手が肩に食い込んでおり鋭い痛みが僕を襲う。華奢な見た目をしている割に力が強く、握力だけなら成人男性よりもありそうだ。
 
「あ、ごめん。つい力込めちゃった」

 彼女は僕の肩を離してくれて、僕は肩を抑えて変な跡がついてないかなど確認する。

「それで今度は何ですか?」
「君に何個か聞きたいことができちゃって」
「聞きたいこと?」

 迷子に間違われてその上肩も軽く痛めて、正直もうこの場から離れたかったが、どうしてもと詰め寄られて押し負けてしまい僕はもう少し彼女に付き合うことにする。

「年齢的に高校一年生だろうけど、君ってここら辺の高校に通ってるの?」
「少し離れた所ですけど、そんな遠くはないです」

 その答えを聞くなり彼女は考え込み始める。きっと他の質問を考えているのだろう。

「じゃあ次ね。君って運動とかできる方? 例えば壁を蹴って跳んだり、バク転とかはできる?」
「それくらいならできますけど」

 僕はこの小さな体格のおかげもあり、かなりアグレッシブな動きができる。鎧なしにしても連続でバク転したり、庭から家の屋上まで登ったりするくらいなら朝飯前だ。

「あの……さっきから何なんですか? 質問の意図がよく分からないんですけど?」
「ごめんね。これで最後だから。君ってもしかして寄元生人って子?」

 最後にと言われた質問。その内容は僕の名前を指しているものだった。
 名前を言い当てられドキッとしてしまい、僕は黙り込んでしまう。
 その行為は悪手だった。何故ならその沈黙と反応は肯定になってしまうから。

「ここじゃあまり話せないね。ちょっとこっち来てくれるかな?」

 彼女に手を引っ張られ僕はどこかに連れて行かれる。
 抵抗はできなかった。この人は僕がダンジョン配信をしているあの生人だということを知っている。やろうと思えば今ここで叫んで人を呼んで大騒ぎにもできてしまうから。
 そうして僕は誘拐される子供のように連れてかれ、誰もいなく他の人達から死角になっている岩陰に連れ込まれる。

「ここなら誰にも聞かれないし、いっぱいお話しできるね。ラスティー君」

 彼女は僕の配信名を強調して言い僕に牽制をかけてくる。

「こんなところまで連れてきて僕をどうするつもりなんですか?」
「あははそんな怖がらないで。アタシはただラスティーという配信者について色々聞きたいことがあるってだけだから。それに君も周りの人に聞かれない方が好都合でしょ?」
「そりゃそうですけど……」

 彼女の言う事は概ね正しい。ダンジョン配信に関して話すのなら人を集めて騒ぎになってしまうので誰にも聞かれない方が良い。
 それはそうだがこうやって強引に岩陰に引き込んで聞くのはどうかと思う。

「聞きたいことは一つ。どうしたら君みたいにそんな人を惹きつける魅力を出せるかってことなの」

 その質問は以前にされたことがあるものだった。峰山さんと初めて会った日に尋ねられたものと全く一緒の質問をされた。
 僕はとりあえず峰山さんに話したように、声の出し方など色々説明する。しかし彼女はしっくりきていないようだった。

「そういうのじゃないんだよね。君から感じられるそのオーラ的なものの正体が知りたいの」
「オーラって、そんなめちゃくちゃな……」

 彼女は理論を組み立て論理的に解説した僕の説明を無視し、ふんわりとした曖昧な内容を話す。

 オーラって言われてもなぁ……つまるところ精神的なものってことだよねこの場合は。何か良い感じの説明、説明……
 
 考えて考え抜いた結果、ほぼこじつけのような感じだが一応理由っぽいものは見つかる。僕はそれを頑張って説明っぽくなるように頭の中で文を組み立て言葉にしようとする。

「強いて言うなら夢や目標ってところですかね」
「夢や目標? ほうほう。それはどういう?」

 夢という単語に彼女は反応を示し前のめりになって耳を傾ける。

「僕には夢があるんです。みんなを助けるヒーローになるっていう夢が。それはどうしても成し遂げたい、成し遂げなきゃいけない夢で、それだけを見て僕は生きてきたんです。
 そういう意地でも叶えたいっていう気持ちがあるから、だからそれがお姉さんが言うオーラみたいなものに見えたんじゃないですかね?」
「意地でも叶えたいか……分かるなその気持ち」

 僕のその答えは彼女にとっては模範解答だったのか、彼女は満足そうにしてくれる。

「そういうあなたは何か夢があるんですか?」

 僕に対して共感を示してくれた彼女に今度はこちらから質問する。

「ん~内緒。多分明日になったら分かると思うよ」
「え? 明日? それってどういう……」
「それじゃあアタシは用があるからもう行くね! 引き留めちゃってごめんまた明日!」

 彼女は腕時計を見て顔色を変え、半ば強引に話を切り上げてそのまま走り去っていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

兄貴のお嫁さんは異世界のセクシー・エルフ! 巨乳の兄嫁にひと目惚れ!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
ファンタジー
夏休み前、友朗は祖父の屋敷の留守を預かっていた。 その屋敷に兄貴と共に兄嫁が現れた。シェリーと言う名の巨乳の美少女エルフだった。 友朗はシェリーにひと目惚れしたが、もちろん兄嫁だ。好きだと告白する事は出来ない。 兄貴とシェリーが仲良くしているのを見ると友朗は嫉妬心が芽生えた。 そして兄貴が事故に遭い、両足を骨折し入院してしまった。 当分の間、友朗はセクシー・エルフのシェリーとふたりっきりで暮らすことになった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...