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二章 失った者達と生人の秘密
21話 何でもありのバイクレース
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「ここが今日攻略するダンジョンですか?」
「そうだな」
僕は田所さんと一緒にDO本部まで帰った後、少し休憩を挟んでからこのダンジョンに来た。彼が言うにはかなり特殊なダンジョンらしいが、辺りを見渡すとすぐに確かにこれは異質だと分かる。
辺りにはバイクがずらりと並んでおり、ここは車庫のような場所なのだろう。
「ここはバイクレース会場に出現したダンジョン。破壊妨害何でもありのレースで勝てば攻略となるかなり特殊なダンジョンだ」
その説明を聞いて僕はここのことをぼんやりとだが思い出した。過去に聞いたことがあったような気がした。
「それって確か結構前のダンジョンでしたよね?」
「五年くらい前だったか、最初来た時はびっくりしたぜ」
五年前か……小学生の頃だったはずだけど、うーん……ニュースで見たような気がするけど思い出せないな。
『今日はどんなダンジョン攻略するんですか?』
『何だこのダンジョン? 他の配信でも見たことないぞ』
ランストを操作して配信のコメントを見てみたが、みんなここのことは知らないようだった。
「そういえば生人ちゃんが来てからDOの配信結構伸びてるけど、すごいね。おじさんそういうのに疎いから尊敬するよ」
「僕この前田所さんの配信見返して見たんですけど、どんな敵でも銃で一瞬で片付けるからサタンが配信画面に映らないことも結構ありましたし、すごいのは確かなんですけど見栄えがなさすぎますねあれは」
「銃を使わずにやってみ……いやでもこれに慣れちゃったからなぁ……」
彼はデッキゲースからアイテムカードを取り出し、具現させ黄緑色の銃をその手に出す。
配信で何度か見ているが、やはり間近で見てもこの少し大きめなハンドガン程度の大きさで、マシンガンやショットガンより高威力で使い勝手がいいなんて信じられない。
「とにかく配信とかは自分には向いてないから、そういうのは生人ちゃんに任せるよ。広報よろしくね」
田所さんは開き直ったようにして、諦めた様子で僕に配信の件を投げる。実際こういうのは慣れている人がやった方がいいだろう。
「雑談はこれくらいにして、今からバイクレースが始まるから生人ちゃんはここにある好きなバイク選んで」
「あの……僕十五で免許ないんですけどいいんですか?」
バイク免許を取れるのは十六歳からだ。もちろん現時点で僕は持っているはずもない。配信中に、いやそれは関係なく普通に犯罪行為をするのには気が引ける。
「ダンジョンって人の往来が絶対ないから道路って判定にならないんだよね。横転事故とかも変身してるから怪我しないだろうし、まぁ将来免許取る時の練習だと思って乗ってみるってのもいいんじゃない?」
「うーん……」
そっか。ここはダンジョンなんだならそういう一部の法が適応されないのか。
内心少し躊躇いを感じながらも、僕は少しだけバイクに乗れることに対してワクワクしていた。
小さい頃から見ていたヒーロー番組でヒーローがバイクに乗っていることがきっかけで、それに影響されてバイクに乗ることに憧れがあったからだ。
「じゃあ……これに乗ってみます!」
僕は前方は赤色、後方は白色に塗装された少々ゴツめのバイクを選んだ。タイヤも太く丈夫そうだ。
それを選んで田所さんにこっちだと言われバイクを引いてついて行き車庫から出て、明るい陽が照らしているレース会場に出る。
よくよく考えたら何で地球でもない異空間のはずなのに太陽があるんだ? まぁでもそこら辺は美咲さんでもまだ分かってないらしいし、僕が分かるわけもないか。
ふとよぎった疑問を放り投げて僕はスタートラインと思わしき所まで向かう田所さんについていく。
「あれ? 田所さんはバイクはいいんですか?」
「大丈夫。自分にはこれがあるから」
彼は一枚のアーマカードを取り出し、それを指の上でクルクルと回してからセットする。
[アーマーカード バイク レベル8 start up……]
どこからかタイヤやバイクのパーツらしき物が飛んできて、それが田所さんの周りを浮遊して彼の体に次々と張り付いていく。
あのエックスと同等の力を持ったレベル8のアーマーを田所さんは装着する。
「チェンジ」
彼がボソりと呟く。すると彼が宙に浮き、両足が変形してその部分がタイヤとなる。
「これで自分もバイクと走れるってわけ。さぁレースやろうか。今回自分は後ろから見ているだけだから、生人ちゃんの実力を見せてもらうよ」
田所さんは足のタイヤを回転させ、辺りをグルグルと回り最終的にスタートラインから見て僕の後方に止まる。
「それレースって呼べますかね? 僕と田所さんの二人だけじゃ……」
そう言いかけた所で僕は離れた所から何台かの車の、いやバイクの音が近づいてくることに気がつく。
数秒も経たないうちにそれは大きくなっていき、先程まで僕達がいた車庫から数台のバイクが飛び出してきた。
「お前達が対戦相手か」
そのバイクに乗っている奴らはサタンだった。二足歩行でバイクに乗ってこそいるが、顔は蚊のような虫のものだ。
「サタン!?」
僕はすぐにバイクをその場に置いてスキルカードを取り出す。
「待て待て。こいつらはレース以外じゃ攻撃とかはしてこねぇよ」
そこに待ったと田所さんが僕の前に手を入れ制止させる。
落ち着いて観察してみると奴らは誰も僕達に襲い掛かろうとする素振りすら見せておらず、純粋にレースをしたがっているように見える。
それに先程人語を話していた。ある程度の理性と知性があるのかもしれない。
僕は警戒を解いてレースをしようと奴らに言葉を投げかける。
「あぁ。そのためだけに俺達はいる。やろう」
サタン達は嬉しそうにしながらそれぞれスタートラインに並んだ。僕もそこに並び、田所さんは少し裏に居座る。
「では今からレースを始める」
先程から会話してくれている奴が上に設置されている電子掲示板を一瞬睨む。そうするとどういう仕組みなのかそれが起動し、5からカウントダウンが始まった。
テレビで見たことや独学で調べたことで見様見真似だが、僕はエンジンを噴かしてスタートの準備をする。
「そうだな」
僕は田所さんと一緒にDO本部まで帰った後、少し休憩を挟んでからこのダンジョンに来た。彼が言うにはかなり特殊なダンジョンらしいが、辺りを見渡すとすぐに確かにこれは異質だと分かる。
辺りにはバイクがずらりと並んでおり、ここは車庫のような場所なのだろう。
「ここはバイクレース会場に出現したダンジョン。破壊妨害何でもありのレースで勝てば攻略となるかなり特殊なダンジョンだ」
その説明を聞いて僕はここのことをぼんやりとだが思い出した。過去に聞いたことがあったような気がした。
「それって確か結構前のダンジョンでしたよね?」
「五年くらい前だったか、最初来た時はびっくりしたぜ」
五年前か……小学生の頃だったはずだけど、うーん……ニュースで見たような気がするけど思い出せないな。
『今日はどんなダンジョン攻略するんですか?』
『何だこのダンジョン? 他の配信でも見たことないぞ』
ランストを操作して配信のコメントを見てみたが、みんなここのことは知らないようだった。
「そういえば生人ちゃんが来てからDOの配信結構伸びてるけど、すごいね。おじさんそういうのに疎いから尊敬するよ」
「僕この前田所さんの配信見返して見たんですけど、どんな敵でも銃で一瞬で片付けるからサタンが配信画面に映らないことも結構ありましたし、すごいのは確かなんですけど見栄えがなさすぎますねあれは」
「銃を使わずにやってみ……いやでもこれに慣れちゃったからなぁ……」
彼はデッキゲースからアイテムカードを取り出し、具現させ黄緑色の銃をその手に出す。
配信で何度か見ているが、やはり間近で見てもこの少し大きめなハンドガン程度の大きさで、マシンガンやショットガンより高威力で使い勝手がいいなんて信じられない。
「とにかく配信とかは自分には向いてないから、そういうのは生人ちゃんに任せるよ。広報よろしくね」
田所さんは開き直ったようにして、諦めた様子で僕に配信の件を投げる。実際こういうのは慣れている人がやった方がいいだろう。
「雑談はこれくらいにして、今からバイクレースが始まるから生人ちゃんはここにある好きなバイク選んで」
「あの……僕十五で免許ないんですけどいいんですか?」
バイク免許を取れるのは十六歳からだ。もちろん現時点で僕は持っているはずもない。配信中に、いやそれは関係なく普通に犯罪行為をするのには気が引ける。
「ダンジョンって人の往来が絶対ないから道路って判定にならないんだよね。横転事故とかも変身してるから怪我しないだろうし、まぁ将来免許取る時の練習だと思って乗ってみるってのもいいんじゃない?」
「うーん……」
そっか。ここはダンジョンなんだならそういう一部の法が適応されないのか。
内心少し躊躇いを感じながらも、僕は少しだけバイクに乗れることに対してワクワクしていた。
小さい頃から見ていたヒーロー番組でヒーローがバイクに乗っていることがきっかけで、それに影響されてバイクに乗ることに憧れがあったからだ。
「じゃあ……これに乗ってみます!」
僕は前方は赤色、後方は白色に塗装された少々ゴツめのバイクを選んだ。タイヤも太く丈夫そうだ。
それを選んで田所さんにこっちだと言われバイクを引いてついて行き車庫から出て、明るい陽が照らしているレース会場に出る。
よくよく考えたら何で地球でもない異空間のはずなのに太陽があるんだ? まぁでもそこら辺は美咲さんでもまだ分かってないらしいし、僕が分かるわけもないか。
ふとよぎった疑問を放り投げて僕はスタートラインと思わしき所まで向かう田所さんについていく。
「あれ? 田所さんはバイクはいいんですか?」
「大丈夫。自分にはこれがあるから」
彼は一枚のアーマカードを取り出し、それを指の上でクルクルと回してからセットする。
[アーマーカード バイク レベル8 start up……]
どこからかタイヤやバイクのパーツらしき物が飛んできて、それが田所さんの周りを浮遊して彼の体に次々と張り付いていく。
あのエックスと同等の力を持ったレベル8のアーマーを田所さんは装着する。
「チェンジ」
彼がボソりと呟く。すると彼が宙に浮き、両足が変形してその部分がタイヤとなる。
「これで自分もバイクと走れるってわけ。さぁレースやろうか。今回自分は後ろから見ているだけだから、生人ちゃんの実力を見せてもらうよ」
田所さんは足のタイヤを回転させ、辺りをグルグルと回り最終的にスタートラインから見て僕の後方に止まる。
「それレースって呼べますかね? 僕と田所さんの二人だけじゃ……」
そう言いかけた所で僕は離れた所から何台かの車の、いやバイクの音が近づいてくることに気がつく。
数秒も経たないうちにそれは大きくなっていき、先程まで僕達がいた車庫から数台のバイクが飛び出してきた。
「お前達が対戦相手か」
そのバイクに乗っている奴らはサタンだった。二足歩行でバイクに乗ってこそいるが、顔は蚊のような虫のものだ。
「サタン!?」
僕はすぐにバイクをその場に置いてスキルカードを取り出す。
「待て待て。こいつらはレース以外じゃ攻撃とかはしてこねぇよ」
そこに待ったと田所さんが僕の前に手を入れ制止させる。
落ち着いて観察してみると奴らは誰も僕達に襲い掛かろうとする素振りすら見せておらず、純粋にレースをしたがっているように見える。
それに先程人語を話していた。ある程度の理性と知性があるのかもしれない。
僕は警戒を解いてレースをしようと奴らに言葉を投げかける。
「あぁ。そのためだけに俺達はいる。やろう」
サタン達は嬉しそうにしながらそれぞれスタートラインに並んだ。僕もそこに並び、田所さんは少し裏に居座る。
「では今からレースを始める」
先程から会話してくれている奴が上に設置されている電子掲示板を一瞬睨む。そうするとどういう仕組みなのかそれが起動し、5からカウントダウンが始まった。
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