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家出少女 佐藤こころ
第4話 家出が失敗する理由
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「まず、さっき時間を何度も確認していたスマホ。警察に家出したと届け出された場合。そのスマホのGPSの位置情報ですぐに東京に行ったことがばれるわ」
慌てて少女はスマホを操作しGPSを切った。
「まず、私が指摘しなかったら家出してもすぐにGPSで居場所がかなり絞られて終わりだったわよ」
図星のため少女は下を向いた。
「次に、契約者は携帯会社に開示請求ってのができるの」
「かいじせいきゅう?」
少々難しい言葉だったようだ。
もう一枚通称アジフライペーパーを取り出すと、そこに『開示請求』と書いて見せる。
「わかりやすく言うと、通話履歴を見せてくださいって携帯会社に頼んだら、はいわかりましたって見せてくれるのよ」
「私のスマホよ。プライバシーの侵害じゃない」
信じられないと言わんばかりに少女は声を荒げた。
「それは違う。親が契約して娘であるこころさんに持たせてるだけ。だから契約者である親が自分の契約してるスマホの履歴を知りたいと問い合わせれば、契約者本人が問い合わせてきてるのだもの。間違いなく開示される」
少女はスマホをコトっとテーブルに置いた。
「まぁ、スマホを調べられて警察に保護されればあなたの初めての家出の結末としては恩の字だったと思う」
「何を行ってるの? あの家に戻されるのよ……」
少女の頬が怒りだろう一瞬で赤く染まる。
「そうね。少なくとも、警察は一時的に保護して親元に帰すことになるでしょう」
「ところで所持金はいくら持ってたの?」
少女は財布を取り出し金を数えだす。
パンパンの小銭入れとシワシワの1000円札が何枚も出てきた。
「3万2560円」
家出してこれから一人で生活していくには、はした金だが13歳の少女にとっては大金だろう。
「このお金は?」
「盗んだりしてない。今日のためにコッソリ貯めた私の全財産」
「一応真っ当な金ってわけか」
葉山のじいさんがそういった。
「これでいったい何日生活するつもりだったの? 行くつもりだった東京までの片道のバス代だけで1万はかかるとして。残りを2万2560円とする。ホテルを借りる時、君みたいなのは絶対に身分証の提示を求められるし保護者の同意があるのか確認される。怪しいと思われれば、適当に話を会わせつつ裏で警察に通報されることになるでしょう。そもそも、これっぽっちじゃホテルには何日泊まれるのか……。となると漫画喫茶か。お金はどうするつもりだった?」
「それは、向こうで何か仕事を」
「満13歳以上の児童について、非工業的業種で以下の要件を満たした場合は働かせることができる」
アジフライペーパーに書いていく。
・健康及び福祉に有害でないこと
・労働が軽易であること
・修学時間外に使用すること
・所轄労働基準監督署長の許可を得ること
また、映画の製作または演劇の事業に限り、満13歳未満の児童についても上記の要件を満たしたうえで使用することができます
「貴方を真っ当な会社が雇う場合、所轄労働基準監督署長の許可を得る必要が出てくる。当然親が了承してないと言うことになれば大問題。親の許可が得られないあなたは真っ当な会社で働くことはできないの」
「誰か親切な人が助けてくれるかもしれない」
「貴方の気持ちをくみ保護してくれた人が現れたとする。あなたは未成年なの、だからもしその人が善意で保護してくれたとしてもあなたが警察に見つかれば保護した人間は未成年の誘拐で罪を問われるでしょうね。貴方と違って大人は未成年が困っていて力を貸してかくまっただけといういいわけはきかないもの」
「じゃあ、私はあのままバスに乗っていたらどうなっていたの?」
「あくまで仮説だけど、パターンA、B、Cの話をしましょう」
慌てて少女はスマホを操作しGPSを切った。
「まず、私が指摘しなかったら家出してもすぐにGPSで居場所がかなり絞られて終わりだったわよ」
図星のため少女は下を向いた。
「次に、契約者は携帯会社に開示請求ってのができるの」
「かいじせいきゅう?」
少々難しい言葉だったようだ。
もう一枚通称アジフライペーパーを取り出すと、そこに『開示請求』と書いて見せる。
「わかりやすく言うと、通話履歴を見せてくださいって携帯会社に頼んだら、はいわかりましたって見せてくれるのよ」
「私のスマホよ。プライバシーの侵害じゃない」
信じられないと言わんばかりに少女は声を荒げた。
「それは違う。親が契約して娘であるこころさんに持たせてるだけ。だから契約者である親が自分の契約してるスマホの履歴を知りたいと問い合わせれば、契約者本人が問い合わせてきてるのだもの。間違いなく開示される」
少女はスマホをコトっとテーブルに置いた。
「まぁ、スマホを調べられて警察に保護されればあなたの初めての家出の結末としては恩の字だったと思う」
「何を行ってるの? あの家に戻されるのよ……」
少女の頬が怒りだろう一瞬で赤く染まる。
「そうね。少なくとも、警察は一時的に保護して親元に帰すことになるでしょう」
「ところで所持金はいくら持ってたの?」
少女は財布を取り出し金を数えだす。
パンパンの小銭入れとシワシワの1000円札が何枚も出てきた。
「3万2560円」
家出してこれから一人で生活していくには、はした金だが13歳の少女にとっては大金だろう。
「このお金は?」
「盗んだりしてない。今日のためにコッソリ貯めた私の全財産」
「一応真っ当な金ってわけか」
葉山のじいさんがそういった。
「これでいったい何日生活するつもりだったの? 行くつもりだった東京までの片道のバス代だけで1万はかかるとして。残りを2万2560円とする。ホテルを借りる時、君みたいなのは絶対に身分証の提示を求められるし保護者の同意があるのか確認される。怪しいと思われれば、適当に話を会わせつつ裏で警察に通報されることになるでしょう。そもそも、これっぽっちじゃホテルには何日泊まれるのか……。となると漫画喫茶か。お金はどうするつもりだった?」
「それは、向こうで何か仕事を」
「満13歳以上の児童について、非工業的業種で以下の要件を満たした場合は働かせることができる」
アジフライペーパーに書いていく。
・健康及び福祉に有害でないこと
・労働が軽易であること
・修学時間外に使用すること
・所轄労働基準監督署長の許可を得ること
また、映画の製作または演劇の事業に限り、満13歳未満の児童についても上記の要件を満たしたうえで使用することができます
「貴方を真っ当な会社が雇う場合、所轄労働基準監督署長の許可を得る必要が出てくる。当然親が了承してないと言うことになれば大問題。親の許可が得られないあなたは真っ当な会社で働くことはできないの」
「誰か親切な人が助けてくれるかもしれない」
「貴方の気持ちをくみ保護してくれた人が現れたとする。あなたは未成年なの、だからもしその人が善意で保護してくれたとしてもあなたが警察に見つかれば保護した人間は未成年の誘拐で罪を問われるでしょうね。貴方と違って大人は未成年が困っていて力を貸してかくまっただけといういいわけはきかないもの」
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