581 / 618
第567話 勝利 < 生存
しおりを挟む「帰らなくてもいいの?」
「ええ、話し合ったのですが勝利条件は人類の存続であってザウスキアの打倒ではありません」
「敵は倒せばいいというものではないのさ」
たしかにそうだ、敵が潜伏しているのがザウスキアであってザウスキアを倒せば全て終わりというわけではない・・・ザウスキア自体もかなり非道な国だからザウスキアも倒すべきだとは思うけど1対1の戦いじゃないんだから色々と考えないといけない
皆がこっちにいるのはまぁいいけど・・アダバンタスは様子を見るからと一度領地に行ってくれるらしい
ミルミミスと一緒に世界で食料を収納して領地に【転移】する、セーセルリーと領民も一緒に
アダバンタスもコンテナに荷物を入れるのも手伝ってくれたけど信徒たちに大人気だった
大きいからかどこに行ってもよく目立つ
アダバンタスは領地でコンテナを降ろすのに最高に役に立った
僕がコンテナを降ろすには上につけてある太いワイヤーの先のフックを飛んでいる杖に引っ掛けてゆっくり降ろすか、フックをドワーフ製のクレーンに引っ掛けて降ろしていた
でも使えるクレーンはまだ2個しか無いし本当にゆっくりしか動かないから降ろすのに時間がかかっていた
アダバンタスがいればコンテナごと持ち上げられるし、クレーン2個よりも早い、ドワーフたちがすごい対抗してたけどクレーン壊れたら意味ないし止めさせた
お酒入ってたら壊れるかもしれないって誰かが言ってピタリと慎重になったのは面白かった
「こちらで情報を仕入れるのでできるだけこちらの世界には居ないようにしてください」
「わかった、またね」
「はい・・無理しないでくださいよ?」
セーセルリーも海の近くに降ろしてすぐに日本に【転移】する
とにかく『こちらの世界に居ないこと』と『ミルミミスが近くにいること』が重要だ
どういうわけか予言の現場には僕一人しか現れない、ミルミミスがいる限り同じ状況にはならないしミルミミスがいたら多分どんな相手でも倒せる
日本でまたみんなと戦闘訓練し、予言のしーじーの作り込みを頑張ってもらう
百に一つも勝てないなら、万に一つ勝てる道を探すだけだ
強くなっておいて損なことはない
「お兄様帰ったの?!こんな下賤共の中に私をおいて!!???」
「言葉遣い」
「ハイ、ゴメンナサイデスワ」
アダバンタスは領地側で情報収集と軍との兼ね合いがあって領地にいる、関羽となんか仲良くなってた
そしてアダバンタスの妹さんは城に残ってヨーコによって調教されていた
領地で子供に聞いたところロムは死の予言対策になにか作ってくれているらしいし、みんなが僕の死の回避に動いてくれている
流石師匠である
「そもそも、戦う必要はないのではないでしょうか?」
「っていうと?」
「死の予言を始まらせないように向こうに行かないというのも一つの方策と思いますし『戦って打ち勝つ』のは最良の道ですがそもそも戦おうとせずに全力で逃げれば良いのです」
「・・・あ、そうだね」
たしかに、エゼルの言う通りである
未来を避けられないからこそ戦うという考えで鍛えているがそういう場面で全力で逃げればまた未来が変わる可能性もあるはずだ
僕が死ねば向こうの世界では人類は滅ぶ可能性がある
僕が何もしなくても向こうの人類が僕を殺せる可能性のある相手を倒せればいいが、ザウスキアの戦況はよろしくないらしい
国際連合軍が再編されてゴミクズ貴族達が幅を利かせているそうだ
「どうしてそうなったの?」
「それが・・」
魔王との決戦の後、それまで居た生き残った仲間は領地に部下を連れて一度帰った
もともと国際連合軍には世界の貴族たちが参加したわけだけど、それぞれ考え方が違っていた
初期の国際連合軍では貴族の長男もしくは加護や権力の最も強いものが領地に残り、連合軍には妾腹の子や継承権の低い『死んでも問題ない』貴族が中心となっていて付き従う兵も庶民の次男三男で禄に戦闘訓練も受けていないものが多かった
体の良い口減らし「うちの国はこれだけしましたよ」という体裁を保とうというものが多かった
勿論「貴族としてあるべき姿だ」として強い加護を持つものが自慢の精兵を共にして参加した例もあるが少数だ
国際連合軍は大いに戦い、戦果を上げた
戦果からか神々も注目していたのか生き残った連合軍参加者や仲間は加護や恩寵、祝福を授かったものも多くいた
領地に帰った彼らは継承権のある次代にとっては相当目障りだったのだろう
それまで蔑んでいたものは国際連合軍に参加し世界に影響力がある
その上生き残って力までつけている
領地に残っていた長男たちは貴族としての継承権が危ぶまれた
再編される国際連合軍に参加し、さらなる戦果をもって帰らないといけない
運の良いことに死刑宣告のように行かねばならなかった国際連合軍設立時とは違って敵は残党で・・しかも覇権国家ザウスキア、倒せれば旨味も大きい
広大な領地に鉱山、奴隷・・・これまで貯めてきた財宝を得られる機会でもある
各国は新たな国際連合軍は多くの兵を伴い国際連合軍への再編に参加した
そういった理由で以前の国際連合軍とは打って変わってしまった
『滅びかけていた世界で戦って勝たないと生き残れない次男三男の集まり』から『勝利寸前で略奪できそうな国との戦いに参加する長男達』では戦うための意思が違いすぎる
しかも新たな国際連合軍ではザウスキアの広い国土で別々に戦うものだから言うことを聞かない
財宝のあるであろう首都を狙いたいのに場国際連合軍は各地に存在するアンデッドが発生する穴を監視しなくてはならない
まともな軍ならちゃんと国土に幅広く展開している意味を理解しているが言うことを聞かない軍もいるし、いつの間にか軍ごと突如として消える現象が起きている
おそらく魔族によって各個撃破されていると・・・
「このままではザウスキアに潜んだ魔族が勝利し、ヨウスケ殿が戦うまでもなく人類は敗北する可能性もあります」
「駄目じゃん!人類!!!」
思わず、机を叩いてしまった
机の上のお茶とお菓子が転けなくてよかった
「勿論各国には国際連合軍に出している兵よりも精兵がいるでしょうが・・瘴気があふれれば軍は意味をなしません・・・あひゅいっ!」
「水飲む?」
「・・・・っ!!」
コクコクと首を振るエゼルに水を差し出す
収納から出したお茶、話してて時間が経ったから少しは冷めたと思ったんだろうけど日本製の冷めにくい水筒から出したからびっくりするほど熱かったんだろうね
魔法じゃないらしいけどとても信じられない熱さだ、科学ってすごい
「た、鍛錬もいいですがしーじーによる状況を考えると砂は効果的かと思われます」
「砂?」
「はい、戦闘では距離が大切です」
砂、砂か・・・買いに行こう
確かに、僕が受ける初撃は剣だ
『切りかかってくる』ということはエゼルみたいに離れていても空間ごと切り裂くわけじゃない、目の前に来て切りかかってくる
仲間がいるなら仲間が前にでてくれるけど一対一なら自分でどうにかしないといけない場面が多かったから仲間とも離れるような戦闘方法は除外して考えてしまっていた
旅での戦闘も、僕がむやみに逃げると仲間が僕を見失ったりするし・・・うん、砂なら相手が倒せないまでも近づけないよね
僕の目や首を切り裂けるってことは僕の障壁も無視してくる相手だ
でも目の前にいきなり砂の壁が現れれば剣で切り裂こうにも剣の長さよりも先は切り裂けない
魔王と違って絶対に倒さないといけない相手ではない、勝つのではなく生き残ることが大切なのだ
うん、ちょっと希望が見えてきた!
11
あなたにおすすめの小説
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
スキル【レベル転生】でダンジョン無双
世界るい
ファンタジー
六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。
そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。
そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。
小説家になろう、カクヨムにて同時掲載
カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】
なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!
飼猫タマ
ファンタジー
貧乏準男爵家の三男トト・カスタネット(妾の子)は、13歳の誕生日に貴族では有り得ない『握手』スキルという、握手すると人の名前が解るだけの、全く使えないスキルを女神様から授かる。
貴族は、攻撃的なスキルを授かるものという頭が固い厳格な父親からは、それ以来、実の息子とは扱われず、自分の本当の母親ではない本妻からは、嫌がらせの井戸掘りばかりさせられる毎日。
だが、しかし、『握手』スキルには、有り得ない秘密があったのだ。
なんと、ただ、人と握手するだけで、付随スキルが無限にゲットできちゃう。
その付随スキルにより、今までトト・カスタネットの事を、無能と見下してた奴らを無意識下にザマーしまくる痛快物語。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる