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*外伝*【リリーside】もっとあなたが好きになる

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 ゴーン……



 強い光に目を閉じた次の瞬間、重厚な音が聞こえて、目を開いた。

 息のかかるほど近くに、クロードの顔がある。

 いつも下ろしている前髪は後ろに撫でつけられ雰囲気が違うが、澄んだ空のように青い瞳は、リリーが記憶している色そのもの。

 言葉もなく目を見開いて彼の顔に見入っていれば、クロードは微苦笑のような笑みを浮かべて、確認するように口を動かした。

 ――リリー?

 音はなく口の動きだけで呼びかけられて、リリーの目から涙があふれる。

 クロードは少し慌てたように、しかし優しく笑いながら、リリーの目からあふれた涙を、白い手袋をはめた指先でそっと払う。

「リリー、式の最中だ」

 小さく告げられて、リリーはハッとするが、どうやらリリーの涙は、結婚式に感動した花嫁が流した涙だと周囲に受け止められたらしい。

 司祭が夫婦と認めると宣言した瞬間、聖堂の中は割れんばかりの拍手であふれて、リリーは、聖堂の中を見渡しながらまた泣いてしまった。

 ――戻って来た。

 ようやく、戻って来たのだと。帰ってきたのだと、みんなの顔を見ながら実感する。

 泣きじゃくるリリーをクロードが優しく包むように抱きしめて、リリーは彼の胸に顔をうずめて、ぽろぽろと涙をこぼした。

「リリー……、このあと、パレードの用意がしてあるんだが……、この様子では、先に化粧直しが必要だな」

 リリーの耳元で笑いながら、クロードがベール越しに何度も頭を撫でる。

 おかえり、とリリーにしか聞こえないほど小さな声でクロードが告げれば、リリーはもう、涙を止めることができなかった。

 クロードに肩を抱かれるようにして聖堂から出て、控室にいるセリーヌの下へ連れて行かれ、事情を知るセリーヌとも泣いて再会を喜び合った。

 そして、泣きすぎだとセリーヌに怒られながら化粧を直して、クロードと馬車でパレードに出たのだが、パレードの最中のことは、ほとんど覚えていない。

 ただ嬉しくて、クロードが隣にいることが幸せで、泣くなと言われたのに、結局途中で泣き出してしまい、クロードになだめられながらパレードを終えた。

 ようやく涙が止まり、ようやく帰ってきたのだと落ち着いて理解できた時には、祝賀会が終わって、部屋でクロードを待っているときだった。
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