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時計屋の兎(ラビット)
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一週間後。
懐中時計を受け取りに来たドルバー教授は、ラビットから時計を受け取ると同時に新しい時計を差し出してきた。
それは、男性が持つ懐中時計よりも二回りは小さな時計だった。最近、貴族の令嬢の間で、おしゃれな彫刻が施された小さな海中時計を、ファッションとして持ち歩くのが流行っている。銀色の表に繊細なユリの彫刻がされているところを見ると、これもその女性用の懐中時計だろう。
「教授、これは?」
自分の金色の時計が直っているのを確かめていたドルバー教授は、「ああ」と顔を上げた。
「大学の落とし物として届けられたんだよ」
「……落とし物を勝手に持ち出していいんですか?」
落し物は持ち主がいるから「落とし物」なのだ。いくら教授とはいえ、人様の物を我が物顔で持ち出すのはいかがなものだろう。
ラビットが冷ややかな視線を向けると、ドルバー教授は慌てたように、
「人を泥棒みたいな目で見ないでくれないか。それはもう三か月も前から落とし物として届けられているけれど、誰も取りに来ないものなのだよ」
「だからって、もらっていいものじゃないでしょ」
「だから違うって。私がほしくて持ち帰ったのではなく、君になら持ち主を探せるかもしれないと思ったから持ってきたのだよ」
「ああ、そういうことですか」
ラビットはじっと時計を見つめる。時計たちは言葉をラビットに伝えるわけではない。イメージを伝えてくるのだ。それは鮮明であったり、ときには曖昧で漠然としていたりと様々だが、この時計はいったいなにを教えてくれるのだろう。
知らない時計と「話す」のは初対面の人間と話すのと同じで、はじめから心を開いてくれるとは限らない。
しばらくすると、ラビットの脳裏に黒髪の二十歳前後の女性の姿がよぎる。時計が教えてくれたイメージだ。
身長は平均身長くらい。一重で眼鏡をかけている。左目の下に縦に二つほくろがあり、唇は厚め。色の白い女性だ。
ラビットが特徴をぽつりぽつりと語ると、ドルバー教授は眉をひそめた。
「それはナターリアかもしれないな。マルク子爵の末娘の」
「そうですか。ではその方に返してあげてください」
ラビットがそう言いながら時計を返そうとするが、ドルバー教授は首を横に振って受け取ろうとはしなかった。
「それは無理だよ。彼女は三か月前に亡くなったからね。でも、そうか……、ナターリアのものだったのであれば、持ち主があらわれないのも納得だな」
「そうですか、お亡くなりに……」
ラビットはそっと時計の彫刻を撫でる。
(そう……、君の持ち主はもういないのか……)
この三か月、ずっと「一人」で淋しかっただろう。そして、この時計が持ち主の手持ちに帰ることはもうない。
ラビットがけぶるような眉毛を伏せれば、ドルバー教授は薄く笑った。
「よかったらその時計は君が預かっていてはくれないか。そのうちマルク子爵に連絡を取ってみようとは思うが、いきなり時計を持って行っても驚かれるだろう」
「まあ、預かるだけでしたら……」
ここにはたくさんと時計があるから、この時計もぽつんと大学の落とし物の中に紛れているよりも淋しくないだろう。
「それれじゃあ、私は午後から授業が入っているから、失礼するよ」
ドルバー教授はシルクハットをかぶると、軽く手を振って店から出ていく。
ラビットがナターリアの時計を、店の奥の売り物でない時計たちが入っている棚の中に片づけようとしたとき、ふと一瞬、脳裏に一人の紳士の顔がよぎった。
(……?)
少し癖のある、チョコレート色の髪の二十代ほどの紳士だった。
ラビットはこの時計がほかに何か伝えたいことでもあるのかと思って、じっと銀色の表を見つめてみたが、それ以上は何のイメージも訴えてこない。
ラビットは首を傾げながら時計を棚の中に収めると、客のいない店の中を見やって、掃除でもするかなとつぶやいた。
「マルク子爵令嬢の時計?」
夕方になると、どうやら暇だったらしいウィルバードが迎えに来た。
帰り際になじみの宝飾店へ寄るらしい。女性へのプレゼントかと思ったら、レマニエル侯爵のパーティーにつけていく、ラビットのアクセサリーを買うという。ラビットは今までもたくさんの宝石類をウィルバードに買ってもらったから――というか、ウィルバードが勝手に買うから――、これ以上新しく用意する必要はないのに。
(言っても聞いてくれないんだろうけど)
どういうわけかウィルバードはラビットを着飾らせるのが好きだ。気がついたらクローゼットの中のドレスやアクセサリーが増えていたなんてことは日常茶飯事。文句を言えば、ラビットが私にねだらないから悪いんだよと意味のわからないことを言う。
ウィルバードの馴染みの宝飾店は、もちろんラビットも知っている。よく連れてこられるし、ここの店主がヴィラーゼル伯爵家を訪れることもある。
「店主、夜会用の品を選んでくれないか。ドレスは瞳にあわせて赤にする予定だ」
ウィルバードがそう言うだけで、馴染みの店主は心得たとばかりに奥に隠している宝石類を取りに行った。特に値の張るものは盗まれることを想定してか、店頭にはおかず奥の金庫におさめているのだ。
店主が宝石を取りに行く間、ラビットとウィルバードは馬車の中での会話の続きをする。
「三か月前に亡くなられたナターリア様のものだって」
「ああ、あの事件か」
「知ってるの?」
「まあ、ちょっとな。少々騒ぎになったから」
言いにくいことなのか、ウィルバードが言葉を濁す。
すると、ナターリアという名前が聞こえたのだろう、奥からアクセサリーをもって戻ってきた店主が、接客用のテーブルの上にアクセサリーを並べながら、
「マルク子爵様のナターリアお嬢様でしたら、お亡くなりになる前によくいらっしゃっていましたよ。亡くなられたと聞いたときは本当に驚きました。本当にお幸せそうでしたから」
「幸せそうだった?」
「ええ。もうすぐ結婚だか婚約だかをなさるんだとかで、結婚式のティアラは当店で注文してくださるとまでおっしゃってくださっていたんですがねぇ」
店主は並べたアクセサリーの中から、スクエアカットされたエメラルドのネックレスとイヤリングを差し出してくる。
「こちらなどはいかがでしょう?」
「これは見事なエメラルドだな」
ウィルバードはラビットの首元にネックレスを当てて満足そうにうなずくと、値段も聞かずにあっさりと購入を決めてしまった。
ラビットに時計屋を持たせたのは、きっと彼女を自立させて独り立ちさせるためだろうと推測しているのだが、ウィルバードのこの様子だと本当にそうなのだろうかと疑ってしまう。
けれども、店主の目の前で「いらない」とは言いにくくて、ラビットは心の中でこっそりとため息だ。
「ナターリア嬢が結婚するというのは本当に聞いたことなのか?」
会計はこの場ではなく、後日伯爵家へ請求してもらうため、ウィルバードは契約書にサインしながら訊ねた。
「ええ、なんでもお相手は伯爵様だそうで、素敵な方だとそれはもう嬉しそうでしたよ」
「そうか。それは知らなかったな」
ウィルバードは微笑んだが、ラビットはその目が思案気に揺れるのを見た。
(何か気になることでもあるのかな?)
ラビットは少し気になったが、サインを終えたウィルバードに「行くよ」と手を差し出されて、店主にお辞儀をすると、ウィルバードの手を取って店を出る。
馬車に戻ると、執事のショーンが扉を開けてくれた。
「お帰りになられますか? それともほかにお寄りになるところがございますか?」
馬車の扉をしめながらショーンが訊ねた。
「いや、もういいよ」
「かしこまりました」
ショーンが御者に邸に戻るように告げる。
ウィルバードは窓の外を眺めながら何やら考えこんでいる様子だった。
ラビットは窓ガラスに映るウィルバードの顔に、微かな焦燥にも似た不安を覚える。
(こういう顔をしているロードって、危ないことを考えていそうで、なんか嫌だな)
ウィルバードは少々変わった『仕事』をしている。今回もそうとは限らないけれど、先ほどの店主との会話の中で引っかかることがあったのは確かなのだろう。
危ないことをしなければいいけれど、とラビットはガタガタと揺れる馬車の背もたれに体を預けて、そっと目を閉じた。
懐中時計を受け取りに来たドルバー教授は、ラビットから時計を受け取ると同時に新しい時計を差し出してきた。
それは、男性が持つ懐中時計よりも二回りは小さな時計だった。最近、貴族の令嬢の間で、おしゃれな彫刻が施された小さな海中時計を、ファッションとして持ち歩くのが流行っている。銀色の表に繊細なユリの彫刻がされているところを見ると、これもその女性用の懐中時計だろう。
「教授、これは?」
自分の金色の時計が直っているのを確かめていたドルバー教授は、「ああ」と顔を上げた。
「大学の落とし物として届けられたんだよ」
「……落とし物を勝手に持ち出していいんですか?」
落し物は持ち主がいるから「落とし物」なのだ。いくら教授とはいえ、人様の物を我が物顔で持ち出すのはいかがなものだろう。
ラビットが冷ややかな視線を向けると、ドルバー教授は慌てたように、
「人を泥棒みたいな目で見ないでくれないか。それはもう三か月も前から落とし物として届けられているけれど、誰も取りに来ないものなのだよ」
「だからって、もらっていいものじゃないでしょ」
「だから違うって。私がほしくて持ち帰ったのではなく、君になら持ち主を探せるかもしれないと思ったから持ってきたのだよ」
「ああ、そういうことですか」
ラビットはじっと時計を見つめる。時計たちは言葉をラビットに伝えるわけではない。イメージを伝えてくるのだ。それは鮮明であったり、ときには曖昧で漠然としていたりと様々だが、この時計はいったいなにを教えてくれるのだろう。
知らない時計と「話す」のは初対面の人間と話すのと同じで、はじめから心を開いてくれるとは限らない。
しばらくすると、ラビットの脳裏に黒髪の二十歳前後の女性の姿がよぎる。時計が教えてくれたイメージだ。
身長は平均身長くらい。一重で眼鏡をかけている。左目の下に縦に二つほくろがあり、唇は厚め。色の白い女性だ。
ラビットが特徴をぽつりぽつりと語ると、ドルバー教授は眉をひそめた。
「それはナターリアかもしれないな。マルク子爵の末娘の」
「そうですか。ではその方に返してあげてください」
ラビットがそう言いながら時計を返そうとするが、ドルバー教授は首を横に振って受け取ろうとはしなかった。
「それは無理だよ。彼女は三か月前に亡くなったからね。でも、そうか……、ナターリアのものだったのであれば、持ち主があらわれないのも納得だな」
「そうですか、お亡くなりに……」
ラビットはそっと時計の彫刻を撫でる。
(そう……、君の持ち主はもういないのか……)
この三か月、ずっと「一人」で淋しかっただろう。そして、この時計が持ち主の手持ちに帰ることはもうない。
ラビットがけぶるような眉毛を伏せれば、ドルバー教授は薄く笑った。
「よかったらその時計は君が預かっていてはくれないか。そのうちマルク子爵に連絡を取ってみようとは思うが、いきなり時計を持って行っても驚かれるだろう」
「まあ、預かるだけでしたら……」
ここにはたくさんと時計があるから、この時計もぽつんと大学の落とし物の中に紛れているよりも淋しくないだろう。
「それれじゃあ、私は午後から授業が入っているから、失礼するよ」
ドルバー教授はシルクハットをかぶると、軽く手を振って店から出ていく。
ラビットがナターリアの時計を、店の奥の売り物でない時計たちが入っている棚の中に片づけようとしたとき、ふと一瞬、脳裏に一人の紳士の顔がよぎった。
(……?)
少し癖のある、チョコレート色の髪の二十代ほどの紳士だった。
ラビットはこの時計がほかに何か伝えたいことでもあるのかと思って、じっと銀色の表を見つめてみたが、それ以上は何のイメージも訴えてこない。
ラビットは首を傾げながら時計を棚の中に収めると、客のいない店の中を見やって、掃除でもするかなとつぶやいた。
「マルク子爵令嬢の時計?」
夕方になると、どうやら暇だったらしいウィルバードが迎えに来た。
帰り際になじみの宝飾店へ寄るらしい。女性へのプレゼントかと思ったら、レマニエル侯爵のパーティーにつけていく、ラビットのアクセサリーを買うという。ラビットは今までもたくさんの宝石類をウィルバードに買ってもらったから――というか、ウィルバードが勝手に買うから――、これ以上新しく用意する必要はないのに。
(言っても聞いてくれないんだろうけど)
どういうわけかウィルバードはラビットを着飾らせるのが好きだ。気がついたらクローゼットの中のドレスやアクセサリーが増えていたなんてことは日常茶飯事。文句を言えば、ラビットが私にねだらないから悪いんだよと意味のわからないことを言う。
ウィルバードの馴染みの宝飾店は、もちろんラビットも知っている。よく連れてこられるし、ここの店主がヴィラーゼル伯爵家を訪れることもある。
「店主、夜会用の品を選んでくれないか。ドレスは瞳にあわせて赤にする予定だ」
ウィルバードがそう言うだけで、馴染みの店主は心得たとばかりに奥に隠している宝石類を取りに行った。特に値の張るものは盗まれることを想定してか、店頭にはおかず奥の金庫におさめているのだ。
店主が宝石を取りに行く間、ラビットとウィルバードは馬車の中での会話の続きをする。
「三か月前に亡くなられたナターリア様のものだって」
「ああ、あの事件か」
「知ってるの?」
「まあ、ちょっとな。少々騒ぎになったから」
言いにくいことなのか、ウィルバードが言葉を濁す。
すると、ナターリアという名前が聞こえたのだろう、奥からアクセサリーをもって戻ってきた店主が、接客用のテーブルの上にアクセサリーを並べながら、
「マルク子爵様のナターリアお嬢様でしたら、お亡くなりになる前によくいらっしゃっていましたよ。亡くなられたと聞いたときは本当に驚きました。本当にお幸せそうでしたから」
「幸せそうだった?」
「ええ。もうすぐ結婚だか婚約だかをなさるんだとかで、結婚式のティアラは当店で注文してくださるとまでおっしゃってくださっていたんですがねぇ」
店主は並べたアクセサリーの中から、スクエアカットされたエメラルドのネックレスとイヤリングを差し出してくる。
「こちらなどはいかがでしょう?」
「これは見事なエメラルドだな」
ウィルバードはラビットの首元にネックレスを当てて満足そうにうなずくと、値段も聞かずにあっさりと購入を決めてしまった。
ラビットに時計屋を持たせたのは、きっと彼女を自立させて独り立ちさせるためだろうと推測しているのだが、ウィルバードのこの様子だと本当にそうなのだろうかと疑ってしまう。
けれども、店主の目の前で「いらない」とは言いにくくて、ラビットは心の中でこっそりとため息だ。
「ナターリア嬢が結婚するというのは本当に聞いたことなのか?」
会計はこの場ではなく、後日伯爵家へ請求してもらうため、ウィルバードは契約書にサインしながら訊ねた。
「ええ、なんでもお相手は伯爵様だそうで、素敵な方だとそれはもう嬉しそうでしたよ」
「そうか。それは知らなかったな」
ウィルバードは微笑んだが、ラビットはその目が思案気に揺れるのを見た。
(何か気になることでもあるのかな?)
ラビットは少し気になったが、サインを終えたウィルバードに「行くよ」と手を差し出されて、店主にお辞儀をすると、ウィルバードの手を取って店を出る。
馬車に戻ると、執事のショーンが扉を開けてくれた。
「お帰りになられますか? それともほかにお寄りになるところがございますか?」
馬車の扉をしめながらショーンが訊ねた。
「いや、もういいよ」
「かしこまりました」
ショーンが御者に邸に戻るように告げる。
ウィルバードは窓の外を眺めながら何やら考えこんでいる様子だった。
ラビットは窓ガラスに映るウィルバードの顔に、微かな焦燥にも似た不安を覚える。
(こういう顔をしているロードって、危ないことを考えていそうで、なんか嫌だな)
ウィルバードは少々変わった『仕事』をしている。今回もそうとは限らないけれど、先ほどの店主との会話の中で引っかかることがあったのは確かなのだろう。
危ないことをしなければいいけれど、とラビットはガタガタと揺れる馬車の背もたれに体を預けて、そっと目を閉じた。
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