31 / 103
世界最強の魔女は普段はポンコツ
1
しおりを挟む
カシリアは西が海、東を大陸に面している南北に細長い国だ。
そのため、南は一年を通して温暖だが、ブルテン山脈のある最北端は万年雪とも呼ばれる分厚い雪に覆われて、ブルテン山の麓はともかくとして、標高の高い頂のあたりの雪が消えたのは、数百年前の異常気象のときのただ一度きりと言われていた。
寒すぎて、誰もその地で生活をしたがらないブルテンは、人がいないから領主もおらず、国が管理していると言えば聞こえはいいが、要するに完全に放置されている手つかずの地域だった。
さて――
その誰も澄みたがらないブルテンの地のブルテン山の、分厚い雪に覆われた山頂付近に、雪に解けそうなほど真っ白い壁の家がポツンと建っている。誰も訪れたがらないその地にある家のことは、カシリア国で暮らす民であれば子供でも知っている有名な話だった。
曰く。
そこには数百年も前より、古代龍の心臓を食べたという世界最強の魔女が住んでいる。
まことしやかにささやかれるその噂であるが、誰もその真偽のほどを知らない。
誰も訪れないその地に、誰も見たことのない魔女が暮らす――、誰も真実を知らないからこそ、その噂には数々の尾ひれがくっついた。
――世界最強にして最恐の魔女はブルテン山の頂上で夜な夜な悪魔と取引をしている。
――魔女は大層な醜女の老婆で、若く美しい女に嫉妬して、夜な夜な若い女の血を湯のかわりに浴びている。
などなど、次から次へと、まるで怪談よろしく語られるものだから、そのうち言うことを聞かない子供への脅しとして使われるようになったり、夏の怪談話に使われたりして――、結果、カシリア国では国王に次いでその魔女は有名だった。
そんな魔女である。
ブルテン山に建つ白壁の家のリビングの中で突如、彼女はぱたりと倒れて。
「おなかすいたあああああ―――!」
床にかじりつきながら、そう叫んだ。
南北に長いカシリア国のちょうど中央にある王都リリビル。
歴代の王が好き勝手に改装しまくるせいでなんだかちょっぴり外観がおかしなことになっているカシリア城は朝から騒がしかった。
第一王子フランシスは起床時間よりも早くたたき起こされて、不機嫌オーラを前面に出しながら、城の会議室の扉を開けた。
「こんな日もまだ登らないような朝っぱらからいったい何の騒ぎですか」
フランシスは朝が弱い。
開口一番に文句を言った息子に、しかし王はおろおろしながら「一大事なのだ!」しか言わない。
フランシスは適当な椅子に腰を下ろして、机の上に突っ伏した。
「あー……、眠ぃ」
「フランシス! しゃきっとせんか! 今から宰相たちも来ると言うのに」
「するってーと、俺をたたき起こした犯人は宰相ですか」
「うむ。なんでも先ほど、巫女が恐ろしい予言をしたとかしなかったとか」
「どっちですか」
「とにかく何か恐ろしいことらしい」
なんだそりゃ。フランシスはイラっとする。そんな不確かな情報で朝早くにたたき起こされたというのか。納得いかない。
「だいたい巫女って……、八十をすぎたババァじゃないですか。いつまで巫女を名乗ってるつもりですか。あのしわくちゃの面の皮はどんだけ厚いんだ」
「こ、これ! 巫女カナリアは非常に優秀な――」
「カナリアって、あんなしわがれた声でわーわー言うババァのどこがカナリアなんですか。カナリアに失礼だろ」
「昔は大層な美女だったそうだぞ」
「あーそうですか。月日は残酷ですねぇ」
どうでもいいけれど、宰相早く来いよ、眠いんだよ、とフランシスは机に額をつけてため息をつく。
眠い眠いと文句をいう息子に、国王は注意をすることを諦めて天井を仰いだ。
フランシスは十九歳。仕事はできるし剣の腕もそこそこ、外見も王妃に似て麗しいと言うのに、その美点をすべて打ち消すほど口が悪い。
子供はのびのびと育てましょうと言う王妃の教育方針に従って十九年――、その教育方針は間違っていたのではないかと最近思う国王だ。
もっと早くに気がつけばよかった。そう――、フランシスが十歳の時に、巫女カナリアに「クソババア」と悪態をついたときに気がついていれば、もう少しその口の悪さも矯正できたかもしれないのに――、悔やまれる。
国王の嘆きをよそに、フランシスが机に額をつけたまま、うとうとと微睡みはじめたときだった。
「陛下ぁ! 大変ですぅ! 災厄が、数百年前の災厄が訪れますぞ―――!」
目を血走らせて唾を飛ばしながら、宰相が会議室の扉を蹴破った。
宰相の叫び声で微睡みの中からたたき起こされたフランシスは、いつもはクルンと上向きにカーブするように整えられている口ひげを、ハの字にたらした宰相を睨みつけた。
「宰相、うっさい。眠れないだろ」
「こ、これは殿下! 失礼を――、は! 眠ってはいけません! これは国の一大事ですぞ!」
「一大事一大事って、ババァの予言はあてになんねぇだろ。この前は高貴なる身に懐妊の予兆とかぬかしやがって母上が妊娠したのかとお祭り騒ぎになったあとに、懐妊は実は母上の飼っている猫のマーリーだったとかふざけた結果だったじゃねぇか」
その時のことを思い出したのか、国王の表情が曇った。
子供ができたと小躍りしていた国王は、実は妻ではなく猫の妊娠だったとわかったあとにショックのあまりに三日寝込んだ。苦い思い出だ。
「こ、今回は本当に災厄なのです!」
宰相は円卓の上に両手をついた。
「数百年前に大地を襲った災厄、それが今年訪れるとババァ――ごほんごほん! 巫女殿が予言なさったのですよ!」
うっかりババァと言ってしまった宰相は咳払いで誤魔化した。
数百年前の災厄――、それは、万年雪すらも溶かしてしまった異常気象だ。世界中の気温が上がり、草木は枯れ、動物は死に、飢饉や旱魃に襲われたとされている、魔の三年。
さすがにフランシスの表情が変わる。
「本当なのか? 冗談なら洒落になんねぇぞ」
「残念ながら本当でございます」
フランシスは大きく息を吐きだして父親を見やった。
国王はすっかり青い顔になって、狼狽えながら宰相に訊ねた。
「そ、それで巫女殿はほかに何か――、その、対処法のようなものは……」
災厄に対処法なんてあるわきゃねーだろ。フランシスが突っ込もうとしたその時。
「ございます」
「あんのかよ!」
宰相が真顔で頷いたから、フランシスは思わずそちらに突っ込んでしまった。
宰相は真顔のまま、ごほんと咳ばらいをしたのち、ちらりとフランシスを見て――
「王子のラブラブパワーで魔女っ子に世界を救ってもらいなされ――だそうです」
マジ死ね、ババァ。
そのため、南は一年を通して温暖だが、ブルテン山脈のある最北端は万年雪とも呼ばれる分厚い雪に覆われて、ブルテン山の麓はともかくとして、標高の高い頂のあたりの雪が消えたのは、数百年前の異常気象のときのただ一度きりと言われていた。
寒すぎて、誰もその地で生活をしたがらないブルテンは、人がいないから領主もおらず、国が管理していると言えば聞こえはいいが、要するに完全に放置されている手つかずの地域だった。
さて――
その誰も澄みたがらないブルテンの地のブルテン山の、分厚い雪に覆われた山頂付近に、雪に解けそうなほど真っ白い壁の家がポツンと建っている。誰も訪れたがらないその地にある家のことは、カシリア国で暮らす民であれば子供でも知っている有名な話だった。
曰く。
そこには数百年も前より、古代龍の心臓を食べたという世界最強の魔女が住んでいる。
まことしやかにささやかれるその噂であるが、誰もその真偽のほどを知らない。
誰も訪れないその地に、誰も見たことのない魔女が暮らす――、誰も真実を知らないからこそ、その噂には数々の尾ひれがくっついた。
――世界最強にして最恐の魔女はブルテン山の頂上で夜な夜な悪魔と取引をしている。
――魔女は大層な醜女の老婆で、若く美しい女に嫉妬して、夜な夜な若い女の血を湯のかわりに浴びている。
などなど、次から次へと、まるで怪談よろしく語られるものだから、そのうち言うことを聞かない子供への脅しとして使われるようになったり、夏の怪談話に使われたりして――、結果、カシリア国では国王に次いでその魔女は有名だった。
そんな魔女である。
ブルテン山に建つ白壁の家のリビングの中で突如、彼女はぱたりと倒れて。
「おなかすいたあああああ―――!」
床にかじりつきながら、そう叫んだ。
南北に長いカシリア国のちょうど中央にある王都リリビル。
歴代の王が好き勝手に改装しまくるせいでなんだかちょっぴり外観がおかしなことになっているカシリア城は朝から騒がしかった。
第一王子フランシスは起床時間よりも早くたたき起こされて、不機嫌オーラを前面に出しながら、城の会議室の扉を開けた。
「こんな日もまだ登らないような朝っぱらからいったい何の騒ぎですか」
フランシスは朝が弱い。
開口一番に文句を言った息子に、しかし王はおろおろしながら「一大事なのだ!」しか言わない。
フランシスは適当な椅子に腰を下ろして、机の上に突っ伏した。
「あー……、眠ぃ」
「フランシス! しゃきっとせんか! 今から宰相たちも来ると言うのに」
「するってーと、俺をたたき起こした犯人は宰相ですか」
「うむ。なんでも先ほど、巫女が恐ろしい予言をしたとかしなかったとか」
「どっちですか」
「とにかく何か恐ろしいことらしい」
なんだそりゃ。フランシスはイラっとする。そんな不確かな情報で朝早くにたたき起こされたというのか。納得いかない。
「だいたい巫女って……、八十をすぎたババァじゃないですか。いつまで巫女を名乗ってるつもりですか。あのしわくちゃの面の皮はどんだけ厚いんだ」
「こ、これ! 巫女カナリアは非常に優秀な――」
「カナリアって、あんなしわがれた声でわーわー言うババァのどこがカナリアなんですか。カナリアに失礼だろ」
「昔は大層な美女だったそうだぞ」
「あーそうですか。月日は残酷ですねぇ」
どうでもいいけれど、宰相早く来いよ、眠いんだよ、とフランシスは机に額をつけてため息をつく。
眠い眠いと文句をいう息子に、国王は注意をすることを諦めて天井を仰いだ。
フランシスは十九歳。仕事はできるし剣の腕もそこそこ、外見も王妃に似て麗しいと言うのに、その美点をすべて打ち消すほど口が悪い。
子供はのびのびと育てましょうと言う王妃の教育方針に従って十九年――、その教育方針は間違っていたのではないかと最近思う国王だ。
もっと早くに気がつけばよかった。そう――、フランシスが十歳の時に、巫女カナリアに「クソババア」と悪態をついたときに気がついていれば、もう少しその口の悪さも矯正できたかもしれないのに――、悔やまれる。
国王の嘆きをよそに、フランシスが机に額をつけたまま、うとうとと微睡みはじめたときだった。
「陛下ぁ! 大変ですぅ! 災厄が、数百年前の災厄が訪れますぞ―――!」
目を血走らせて唾を飛ばしながら、宰相が会議室の扉を蹴破った。
宰相の叫び声で微睡みの中からたたき起こされたフランシスは、いつもはクルンと上向きにカーブするように整えられている口ひげを、ハの字にたらした宰相を睨みつけた。
「宰相、うっさい。眠れないだろ」
「こ、これは殿下! 失礼を――、は! 眠ってはいけません! これは国の一大事ですぞ!」
「一大事一大事って、ババァの予言はあてになんねぇだろ。この前は高貴なる身に懐妊の予兆とかぬかしやがって母上が妊娠したのかとお祭り騒ぎになったあとに、懐妊は実は母上の飼っている猫のマーリーだったとかふざけた結果だったじゃねぇか」
その時のことを思い出したのか、国王の表情が曇った。
子供ができたと小躍りしていた国王は、実は妻ではなく猫の妊娠だったとわかったあとにショックのあまりに三日寝込んだ。苦い思い出だ。
「こ、今回は本当に災厄なのです!」
宰相は円卓の上に両手をついた。
「数百年前に大地を襲った災厄、それが今年訪れるとババァ――ごほんごほん! 巫女殿が予言なさったのですよ!」
うっかりババァと言ってしまった宰相は咳払いで誤魔化した。
数百年前の災厄――、それは、万年雪すらも溶かしてしまった異常気象だ。世界中の気温が上がり、草木は枯れ、動物は死に、飢饉や旱魃に襲われたとされている、魔の三年。
さすがにフランシスの表情が変わる。
「本当なのか? 冗談なら洒落になんねぇぞ」
「残念ながら本当でございます」
フランシスは大きく息を吐きだして父親を見やった。
国王はすっかり青い顔になって、狼狽えながら宰相に訊ねた。
「そ、それで巫女殿はほかに何か――、その、対処法のようなものは……」
災厄に対処法なんてあるわきゃねーだろ。フランシスが突っ込もうとしたその時。
「ございます」
「あんのかよ!」
宰相が真顔で頷いたから、フランシスは思わずそちらに突っ込んでしまった。
宰相は真顔のまま、ごほんと咳ばらいをしたのち、ちらりとフランシスを見て――
「王子のラブラブパワーで魔女っ子に世界を救ってもらいなされ――だそうです」
マジ死ね、ババァ。
76
あなたにおすすめの小説
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
旦那様は、転生後は王子様でした
編端みどり
恋愛
近所でも有名なおしどり夫婦だった私達は、死ぬ時まで一緒でした。生まれ変わっても一緒になろうなんて言ったけど、今世は貴族ですって。しかも、タチの悪い両親に王子の婚約者になれと言われました。なれなかったら替え玉と交換して捨てるって言われましたわ。
まだ12歳ですから、捨てられると生きていけません。泣く泣くお茶会に行ったら、王子様は元夫でした。
時折チートな行動をして暴走する元夫を嗜めながら、自身もチートな事に気が付かない公爵令嬢のドタバタした日常は、周りを巻き込んで大事になっていき……。
え?! わたくし破滅するの?!
しばらく不定期更新です。時間できたら毎日更新しますのでよろしくお願いします。
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
ガネット・フォルンは愛されたい
アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。
子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。
元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。
それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。
私も誰かに一途に愛されたかった。
❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。
❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
能力持ちの若き夫人は、冷遇夫から去る
基本二度寝
恋愛
「婚姻は王命だ。私に愛されようなんて思うな」
若き宰相次官のボルスターは、薄い夜着を纏って寝台に腰掛けている今日妻になったばかりのクエッカに向かって言い放った。
実力でその立場までのし上がったボルスターには敵が多かった。
一目惚れをしたクエッカに想いを伝えたかったが、政敵から彼女がボルスターの弱点になる事を悟られるわけには行かない。
巻き込みたくない気持ちとそれでも一緒にいたいという欲望が鬩ぎ合っていた。
ボルスターは国王陛下に願い、その令嬢との婚姻を王命という形にしてもらうことで、彼女との婚姻はあくまで命令で、本意ではないという態度を取ることで、ボルスターはめでたく彼女を手中に収めた。
けれど。
「旦那様。お久しぶりです。離縁してください」
結婚から半年後に、ボルスターは離縁を突きつけられたのだった。
※復縁、元サヤ無しです。
※時系列と視点がコロコロゴロゴロ変わるのでタイトル入れました
※えろありです
※ボルスター主人公のつもりが、端役になってます(どうしてだ)
※タイトル変更→旧題:黒い結婚
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる