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29.自らを盾に
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数十分後。
私は一人で村に戻っていた。
国王に命じられて暗殺集団を油断させるため、そしてジークさんを助ける為の囮になるために。
ジークさんの姿を探して村の出入り口まで来た時、不意に後ろから腕を掴まれた。
「……っ!?」
まさか暗殺集団に見つかったのかと跳ねる心臓を押さえ振り返るとそこにいたのは眉間にシワを寄せたアルトくんだ。
「なんだ、アルトくんか。もう、驚かさないでよ」
暗殺集団の人間じゃなくて良かったと安堵する私にアルトくんは眉をつり上げる。
「なんだ、じゃねぇよ!今までどこ行ってたんだ!」
出会い頭に怒鳴られた。
私が身を隠してからかなり心配してくれたのだろう。
「心配かけたのはごめんなさい。でも今はそれどころじゃないの、後でちゃんと理由を話すから。今は急いでジークさんを探さないと……」
アルトくんだけじゃない。
事情を知らない村の人達にもたくさん心配させてしまっているだろう。
暗殺集団と公爵家の事が片付いたら全て説明するつもりだ。
「……そんなにアイツがいいのかよ」
「え?」
アルトくんが何か呟いたがすぐ傍にいても聞こえないほど小さな声だった。
思わず聞き返すと掴まれていた腕が離される。
「何でもない。急いでるんだろ?早くいけば。ジークさんならさっき、貴族の女と湖の方に歩いていった」
「そうなの!?ありがとうアルトくん!」
貴族の女と言うのはマリーナの事で間違いないだろう。
私はお礼を言うと湖に向かって駆け出した。
こちらを寂しそうな目で見つめているアルトくんには気が付かずに。
◇◇◇
湖まで全力で走った後、呼吸を整えながら回りを見回すとすぐにジークさんとマリーナの姿を見つけることができた。
二人は湖の淵に立ち何か話している。
内容が聞こえる距離ではないけれどマリーナが目を潤ませてジークさんを見上げ、その胸に抱き付いたのが見えた。
その瞬間私の胸の中にぶわりと込み上げてきたのは醜い嫉妬だ。
二人を引き剥がしてやりたいと思った。
けれどすぐにそれどころではなくなる。
湖の淵から離れた木の影にキラリと光るものが見えたからだ。
それはジークさんを狙う猟銃の銃口。
あんな物で撃たれたらジークさんはもちろん、近くにいるマリーナだって大怪我じゃすまない。
(マリーナも巻き込むつもり!?リエナは何を考えているの!?それより騎士の人達は!?)
ざっと見回してみるが配置されたはずの騎士の姿は見えない。
騎士の到着を待っていたんじゃ手遅れになる。
「ジークさん伏せて!」
私はジークさんと銃口の間に腕を広げて立ちふさがった。
「スザンナ!?」
「お姉様!?」
ジークさんとマリーナが私を呼ぶのと同時に銃声が響いた。
その直後私は肩にドンッと強い衝撃を受けた。
「……ぐっ!」
一瞬の衝撃の後、強い痛みが私を襲う。
「うぅ、ぐっ……」
「スザンナ!!」
立っていられなくなり崩れ落ちるのとジークさんが私の体を抱き止めるのは同時だった。
あまりの痛みに歯を食い縛って耐えても呻き声が漏れる。
私の体は意外とタフな様でこの程度じゃ気絶させてくれないらしい。
「しっかりしろ、スザンナっ……死なないでくれ!」
ジークさんが上着で私の傷口を押さえながら叫んでいる。
撃たれたのは急所じゃないから多分死なないと思うがめちゃくちゃ痛いし、痛みを耐えるのに精一杯で返事をしている余裕なんてない。
「すぐに医者の手配を!」
気がつけば国王がすぐ傍まで来て誰かに指示を出していた。
その後国王の呼んだ腕の良い医者により私の肩は治療され、痛み止めが打たれるまで私はひたすら痛みに耐えるしか出来なかった。
私は一人で村に戻っていた。
国王に命じられて暗殺集団を油断させるため、そしてジークさんを助ける為の囮になるために。
ジークさんの姿を探して村の出入り口まで来た時、不意に後ろから腕を掴まれた。
「……っ!?」
まさか暗殺集団に見つかったのかと跳ねる心臓を押さえ振り返るとそこにいたのは眉間にシワを寄せたアルトくんだ。
「なんだ、アルトくんか。もう、驚かさないでよ」
暗殺集団の人間じゃなくて良かったと安堵する私にアルトくんは眉をつり上げる。
「なんだ、じゃねぇよ!今までどこ行ってたんだ!」
出会い頭に怒鳴られた。
私が身を隠してからかなり心配してくれたのだろう。
「心配かけたのはごめんなさい。でも今はそれどころじゃないの、後でちゃんと理由を話すから。今は急いでジークさんを探さないと……」
アルトくんだけじゃない。
事情を知らない村の人達にもたくさん心配させてしまっているだろう。
暗殺集団と公爵家の事が片付いたら全て説明するつもりだ。
「……そんなにアイツがいいのかよ」
「え?」
アルトくんが何か呟いたがすぐ傍にいても聞こえないほど小さな声だった。
思わず聞き返すと掴まれていた腕が離される。
「何でもない。急いでるんだろ?早くいけば。ジークさんならさっき、貴族の女と湖の方に歩いていった」
「そうなの!?ありがとうアルトくん!」
貴族の女と言うのはマリーナの事で間違いないだろう。
私はお礼を言うと湖に向かって駆け出した。
こちらを寂しそうな目で見つめているアルトくんには気が付かずに。
◇◇◇
湖まで全力で走った後、呼吸を整えながら回りを見回すとすぐにジークさんとマリーナの姿を見つけることができた。
二人は湖の淵に立ち何か話している。
内容が聞こえる距離ではないけれどマリーナが目を潤ませてジークさんを見上げ、その胸に抱き付いたのが見えた。
その瞬間私の胸の中にぶわりと込み上げてきたのは醜い嫉妬だ。
二人を引き剥がしてやりたいと思った。
けれどすぐにそれどころではなくなる。
湖の淵から離れた木の影にキラリと光るものが見えたからだ。
それはジークさんを狙う猟銃の銃口。
あんな物で撃たれたらジークさんはもちろん、近くにいるマリーナだって大怪我じゃすまない。
(マリーナも巻き込むつもり!?リエナは何を考えているの!?それより騎士の人達は!?)
ざっと見回してみるが配置されたはずの騎士の姿は見えない。
騎士の到着を待っていたんじゃ手遅れになる。
「ジークさん伏せて!」
私はジークさんと銃口の間に腕を広げて立ちふさがった。
「スザンナ!?」
「お姉様!?」
ジークさんとマリーナが私を呼ぶのと同時に銃声が響いた。
その直後私は肩にドンッと強い衝撃を受けた。
「……ぐっ!」
一瞬の衝撃の後、強い痛みが私を襲う。
「うぅ、ぐっ……」
「スザンナ!!」
立っていられなくなり崩れ落ちるのとジークさんが私の体を抱き止めるのは同時だった。
あまりの痛みに歯を食い縛って耐えても呻き声が漏れる。
私の体は意外とタフな様でこの程度じゃ気絶させてくれないらしい。
「しっかりしろ、スザンナっ……死なないでくれ!」
ジークさんが上着で私の傷口を押さえながら叫んでいる。
撃たれたのは急所じゃないから多分死なないと思うがめちゃくちゃ痛いし、痛みを耐えるのに精一杯で返事をしている余裕なんてない。
「すぐに医者の手配を!」
気がつけば国王がすぐ傍まで来て誰かに指示を出していた。
その後国王の呼んだ腕の良い医者により私の肩は治療され、痛み止めが打たれるまで私はひたすら痛みに耐えるしか出来なかった。
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