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1か月前を振り返って
しおりを挟む研修が始まって1か月が過ぎ、結衣としての生活もすっかり日常になりつつあった。
寮の自室で鏡を見つめながら、ふと1か月前のことを思い出す。
(最初は本当に大変だったな……。)
このバーチャルの世界で女性として生活し始めたばかりの頃は、何もかもが違和感だらけだった。
特に、トイレとお風呂。
トイレに入るたびに、自分の体が以前とはまるで違うことを実感させられた。座って用を足すことにすら慣れていなくて、最初は変な感じしかしなかった。でも、今はもう何も考えずに普通に使えるようになっている。
お風呂も同じだった。
最初は自分の体を見るのが怖くて、なるべく鏡を見ないようにしていた。お湯に浸かるときも、どこか落ち着かなくて、サッと済ませていた。でも、今では寮の大浴場にも慣れて、先輩たちと一緒に入るのも普通になっている。
(……なんだか、すごいことになってるよな。)
バーチャルの世界とはいえ、まるで本当に女性として生きているようだ。
1か月前の自分がこの状況を見たら、きっと信じられないだろう。
でも、気づけばもう"中村結衣"でいることが自然になっていた。
「……これが、この研修の目的ってことなのかな。」
バーチャルの世界をリアルのように感じること。
女性としての生活を体験し、その立場を理解すること。
たしかに、最初の頃に比べたら、今の自分はずっとこの世界に馴染んでいる。
でも、それと同時に――
(……俺、本当に元の世界に戻れるのかな。)
少しだけ、そんな不安が胸をよぎった。
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