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ランチタイムの会話
しおりを挟む翌日、結衣は会社での研修を終え、昼休みになった。
食堂へ向かうと、ちょうど木村健一が一人で座っていた。
(話しかけてみようかな……。)
昨日のデートが本当に不思議な体験だったこともあり、彼ともう少し話してみたかった。
結衣はトレーを持って、そっと彼の向かいの席に座った。
「……あれ? 結衣さん?」
健一が少し驚いたように顔を上げる。
「一緒に食べてもいいですか?」
「もちろん!」
健一はにっこり笑って、席を少し詰めてくれた。
「昨日は、ありがとうございました。デート、楽しかったです。」
そう言うと、健一は少し嬉しそうに笑った。
「俺も楽しかったよ! ショッピングモール、結構歩き回ったよね。」
「そうですね。でも、すごく充実してました。」
「結衣さん、結構雑貨とかじっくり見るタイプなんだね。」
「え?」
その言葉に、結衣は一瞬戸惑った。
(それって、昨日のデートのときの私の行動をちゃんと見ていたってこと……?)
普通の会話ではあるけれど、AIだったらこんなに自然に「その人らしさ」を感じ取るものだろうか?
「昨日さ、ちょっと思ったんだけど——」
健一がスプーンを置きながら、こちらをじっと見つめた。
「結衣さん、なんか時々不思議そうな顔するよね?」
「えっ?」
「昨日もさ、俺の話聞いてるときに、なんかすごく考え込んでる感じだったから。」
「……そ、そんなことないですよ。」
慌ててスプーンを持ち直しながら、結衣は誤魔化した。
(バレてる……?)
まさか、自分が「彼が本当にAIなのかどうか」を考えていたことまで気づかれている?
「まぁ、気にしないけどさ。」
健一はそう言って、さらっと話題を変えた。
「でも、本当に楽しかったよ。また行こうね。」
「……はい。」
その言葉を聞いて、結衣はまた不思議な気持ちになった。
**——この世界の木村健一は、ただのプログラムなのか?**
それとも、リアルな誰かが操作しているのか?
疑問は晴れないまま、昼休みの時間は過ぎていった。
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