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デートの翌日
しおりを挟む翌朝、結衣は少し眠そうな顔で寮の食堂へ向かった。
デートの余韻がまだ残っていて、昨日の出来事を反芻してしまう。
**——あれ、本当にバーチャルの世界だったのかな?**
それほどまでに、昨日の木村健一との時間はリアルだった。
そんなことを考えながら、食堂の入口をくぐると——
「おはよ、結衣!」
玲奈先輩がニヤニヤしながら手を振っていた。
「あ、おはようございます……。」
「ん? なんか疲れてる?」
「そ、そうですか?」
「うん。で、どうだったの? **昨日のデート!**」
玲奈先輩は椅子に身を乗り出して、楽しそうに聞いてくる。
「あ……えっと……。」
「ほらほら、ちゃんと話してよ! どこ行ったの? 何したの?」
「えっと、ショッピングモールに行って……雑貨を見たり、ランチをしたり……。」
「おお~、定番コースね!」
玲奈先輩は満足げに頷きながら、「それで、それで?」と促す。
「……すごく、普通のデートって感じでした。」
「そりゃそうでしょ。だってデートだもん!」
「そうなんですけど……。」
結衣は少し言葉を選びながら、昨日の違和感について考えた。
「でも、なんだかすごくリアルで……**本当にAIなのか分からなくなりました。**」
「え?」
玲奈先輩が目を丸くする。
「木村君って、普通に会話もスムーズだし、過去のことも話してて……。まるで、リアルの誰かが操作してるみたいなんです。」
「へぇ……。」
玲奈先輩は腕を組みながら、「それ、結構面白いわね」と言った。
「実際、この世界にはリアルの人間が操作してるキャラもいるしね。」
「そうですよね……。」
「でも、結衣がデートした木村君がどっちなのかは、簡単には分からないわよ?」
玲奈先輩は意味深に微笑む。
「……確かに。」
「まぁ、どっちにしろ楽しめたなら良かったじゃない!」
「はい……。」
結衣は頷いたものの、やはりモヤモヤは消えない。
**——バーチャルの木村健一は、本当にAIなのか、それともリアルの誰かなのか。**
その疑問は、どんどん大きくなっていく。
「ねぇ、次のデートはどうするの?」
「えっ!? そ、そんな予定まだ……!」
玲奈先輩のニヤニヤした顔を見て、結衣は慌ててスプーンを手に取った。
けれど、ふと考える。
**——もし次があるなら、その時、何かヒントを得られるかもしれない。**
バーチャルの世界の「木村健一」。
彼の正体を知るためにも——また、会ってみるのも悪くないかもしれない。
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