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episode4 帰れない道
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「手、繋がない?3人でさ」
斗哉と嵐の顔を交互に見て、つばさが両手を差し出す。
帰れない道はすぐそこだ。もし、間違って、自分だけが異次元に
飛ばされたり、誰かがはぐれてしまったりしても、困る。
「俺は構わないけど、いいの?そっちは」
振り返った嵐が、斗哉の顔を見た。つばさも斗哉を見上げる。
「別に、俺も構わないよ。つばさの言う通り、ひとりで放り出されても
困るしな、ほら」
斗哉がコートのポケットから手を取り出して、つばさの手を取った。
じゃあ、と言って嵐に差し出された手を、つばさはもう片方の手で握る。
傍から見たら、ちょっと異様な光景かもしれないが、今はそんなことを
言っていられない。
「よし、行こう」
つばさの声を合図に、3人で大きく一歩を踏み出した。
「なんだ、これ……」
頭の上から、斗哉の掠れた声が聴こえた。嵐は、へぇ、と目を見開いて、
辺りを見渡している。夏を感じさせる生温かい風に、空から差し込む
木漏れ日。鬱蒼とした細い畦道。
つばさが何度も飛ばされた空間が、目の前に存在していた。
「良かった!ちゃんと3人で来られたね」
「異次元に飛ばされて喜ぶなって」
目を輝かせてそう言ったつばさに、嵐が呆れた顔でツッコミを入れる。
問題はここからだ。つばさは、この道を歩いて行った先で男の子の
声を聞いて、足を掴まれると元の世界に戻ってしまう。でも、それでは、
何も解決しない。この場所に招かれる理由を見つけなければ、永遠に、
あの道を歩くたびに異次元行きだ。
「さて、行きますか」
ぱっ、とつばさの手を離すと、嵐は先頭を切って歩き出した。
その後ろをつばさと斗哉が並んで歩く。じっとりと湿った空気の中を歩き
始めてすぐに、斗哉が2人を呼び止めた。手には携帯を持っている。
「見てみろよ、これ。電波は圏外だけど、日付はちゃんと表示されてる」
ほら、と言って斗哉が液晶画面を向ける。つばさは、あっ、と声を上げた。
「ほんとだ!!しかも、その日付って……」
「20××年8月16日土曜日。ってことは、ここは、俺たちが出会う少し前の、
何処かってことだな」
斗哉の顔を見てつばさは頷く。斗哉が引っ越して来たのは12年前だ。
ということは、それより以前につばさが出会った誰かが、この現象を
引き起こしているわけで……どうせ電波なんて繋がらないだろうと
確認していなかったが、やはり携帯は真っ先に見るべきだった。
「さっそく手がかりが掴めたじゃん」
にい、と笑って嵐が斗哉の顔を見る。霊能力があるからか、
元々こういったことに免疫があるからか、嵐は至って冷静だ。
「だんだん霊気が濃くなってる。先に進もう」
また、先に進み始めた嵐に、つばさと斗哉は顔を見合わせると
後に続いた。両側から圧し掛かるような木々が生い茂った、
細い道を歩く。少し先に目をやれば、その薄暗い空間は、
いつも男の子の声が聴こえて足を掴まれる場所だった。
つばさは、隣りを歩く斗哉のコートの袖を掴んだ。ごくりと唾を呑む。
今日は2人がいる。あの強い風も吹かない。大丈夫。大丈夫。
つばさは、心の中で祈りながら目を閉じて先に進んだ。
斗哉と嵐の顔を交互に見て、つばさが両手を差し出す。
帰れない道はすぐそこだ。もし、間違って、自分だけが異次元に
飛ばされたり、誰かがはぐれてしまったりしても、困る。
「俺は構わないけど、いいの?そっちは」
振り返った嵐が、斗哉の顔を見た。つばさも斗哉を見上げる。
「別に、俺も構わないよ。つばさの言う通り、ひとりで放り出されても
困るしな、ほら」
斗哉がコートのポケットから手を取り出して、つばさの手を取った。
じゃあ、と言って嵐に差し出された手を、つばさはもう片方の手で握る。
傍から見たら、ちょっと異様な光景かもしれないが、今はそんなことを
言っていられない。
「よし、行こう」
つばさの声を合図に、3人で大きく一歩を踏み出した。
「なんだ、これ……」
頭の上から、斗哉の掠れた声が聴こえた。嵐は、へぇ、と目を見開いて、
辺りを見渡している。夏を感じさせる生温かい風に、空から差し込む
木漏れ日。鬱蒼とした細い畦道。
つばさが何度も飛ばされた空間が、目の前に存在していた。
「良かった!ちゃんと3人で来られたね」
「異次元に飛ばされて喜ぶなって」
目を輝かせてそう言ったつばさに、嵐が呆れた顔でツッコミを入れる。
問題はここからだ。つばさは、この道を歩いて行った先で男の子の
声を聞いて、足を掴まれると元の世界に戻ってしまう。でも、それでは、
何も解決しない。この場所に招かれる理由を見つけなければ、永遠に、
あの道を歩くたびに異次元行きだ。
「さて、行きますか」
ぱっ、とつばさの手を離すと、嵐は先頭を切って歩き出した。
その後ろをつばさと斗哉が並んで歩く。じっとりと湿った空気の中を歩き
始めてすぐに、斗哉が2人を呼び止めた。手には携帯を持っている。
「見てみろよ、これ。電波は圏外だけど、日付はちゃんと表示されてる」
ほら、と言って斗哉が液晶画面を向ける。つばさは、あっ、と声を上げた。
「ほんとだ!!しかも、その日付って……」
「20××年8月16日土曜日。ってことは、ここは、俺たちが出会う少し前の、
何処かってことだな」
斗哉の顔を見てつばさは頷く。斗哉が引っ越して来たのは12年前だ。
ということは、それより以前につばさが出会った誰かが、この現象を
引き起こしているわけで……どうせ電波なんて繋がらないだろうと
確認していなかったが、やはり携帯は真っ先に見るべきだった。
「さっそく手がかりが掴めたじゃん」
にい、と笑って嵐が斗哉の顔を見る。霊能力があるからか、
元々こういったことに免疫があるからか、嵐は至って冷静だ。
「だんだん霊気が濃くなってる。先に進もう」
また、先に進み始めた嵐に、つばさと斗哉は顔を見合わせると
後に続いた。両側から圧し掛かるような木々が生い茂った、
細い道を歩く。少し先に目をやれば、その薄暗い空間は、
いつも男の子の声が聴こえて足を掴まれる場所だった。
つばさは、隣りを歩く斗哉のコートの袖を掴んだ。ごくりと唾を呑む。
今日は2人がいる。あの強い風も吹かない。大丈夫。大丈夫。
つばさは、心の中で祈りながら目を閉じて先に進んだ。
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