43 / 173
episode2 おかしな三角関係
43
しおりを挟む
斗哉が俯いて、手の平にあるお守りを見つめる。その眼差しは
どこか憂いを含んでいて、つばさはまだ、言葉が足りないだろうか?
と、口を開きかけた。
「そうだな。同じものを見てやれなくても、お前にしてやれることは、
沢山あるよな」
独り言のような斗哉の言葉に、つばさは大きく頷く。その顔を
見て、斗哉は微かに口元を緩めると、不意につばさの目を
手の平で覆った。
「これから先、もし、お前が怖いものを見て怯えたら、
こうやって俺が目を隠してやるよ。怖いものが聴こえた時は、
耳を塞いでやるし、怖くて歩けない時は、俺が手を引いてやる。
だから……」
斗哉が言葉をとぎって、つばさを見つめる。つばさは、斗哉に
両耳を手で覆われたまま、自分の鼓動が早くなるのを聞いた。
「だから、つばさも、俺から離れるな」
擦れた声で、そう言った斗哉の顔が近づく。キスされる。
そう思ったつばさは、唇に息がかかった瞬間、瞼を閉じた。
ふわ、と柔らかな唇が重なって、斗哉の温もりが染みる。
いつかされた、不意打ちのキスとは違う。本物のキスだ。
触れたのはほんの数秒で、斗哉の唇が一度離される。
斗哉が伺うようにつばさの目を覗く。その眼差しを逸らすことなく、
つばさが受け止めると、耳を塞いでいた手が、撫でるように
つばさの首筋を押さえて、引き寄せた。もう一度、キスされる。
つばさは、大きくなりすぎた胸の鼓動を意識しながら、
再び目を閉じた。
----その時だった。
じゃり、と砂を踏む音がして、つばさと斗哉はびくりと躰を止めた。
恐る恐る、音のした方に首を向ければ、低学年ほどの男の子
二人が、こちらをじっと見ている。すっかり忘れていたが、
ここは街中の公園で、いまは、休日の真昼間だ。
「!!!!」
つばさは、飛び跳ねるように斗哉から離れると、
ぎこちない笑顔を男の子たちに向けた。
「ねぇ、チューしないの?」
野球帽を被った男の子が、にんまり笑って、鼻を擦る。
つばさは、斗哉と顔を見合わせた。
「……逃げようか?」
「うん。逃げよう」
斗哉の提案に、つばさは二つ返事で頷くと、
差し出された手を取って、足早に公園を出て行った。
どこか憂いを含んでいて、つばさはまだ、言葉が足りないだろうか?
と、口を開きかけた。
「そうだな。同じものを見てやれなくても、お前にしてやれることは、
沢山あるよな」
独り言のような斗哉の言葉に、つばさは大きく頷く。その顔を
見て、斗哉は微かに口元を緩めると、不意につばさの目を
手の平で覆った。
「これから先、もし、お前が怖いものを見て怯えたら、
こうやって俺が目を隠してやるよ。怖いものが聴こえた時は、
耳を塞いでやるし、怖くて歩けない時は、俺が手を引いてやる。
だから……」
斗哉が言葉をとぎって、つばさを見つめる。つばさは、斗哉に
両耳を手で覆われたまま、自分の鼓動が早くなるのを聞いた。
「だから、つばさも、俺から離れるな」
擦れた声で、そう言った斗哉の顔が近づく。キスされる。
そう思ったつばさは、唇に息がかかった瞬間、瞼を閉じた。
ふわ、と柔らかな唇が重なって、斗哉の温もりが染みる。
いつかされた、不意打ちのキスとは違う。本物のキスだ。
触れたのはほんの数秒で、斗哉の唇が一度離される。
斗哉が伺うようにつばさの目を覗く。その眼差しを逸らすことなく、
つばさが受け止めると、耳を塞いでいた手が、撫でるように
つばさの首筋を押さえて、引き寄せた。もう一度、キスされる。
つばさは、大きくなりすぎた胸の鼓動を意識しながら、
再び目を閉じた。
----その時だった。
じゃり、と砂を踏む音がして、つばさと斗哉はびくりと躰を止めた。
恐る恐る、音のした方に首を向ければ、低学年ほどの男の子
二人が、こちらをじっと見ている。すっかり忘れていたが、
ここは街中の公園で、いまは、休日の真昼間だ。
「!!!!」
つばさは、飛び跳ねるように斗哉から離れると、
ぎこちない笑顔を男の子たちに向けた。
「ねぇ、チューしないの?」
野球帽を被った男の子が、にんまり笑って、鼻を擦る。
つばさは、斗哉と顔を見合わせた。
「……逃げようか?」
「うん。逃げよう」
斗哉の提案に、つばさは二つ返事で頷くと、
差し出された手を取って、足早に公園を出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる