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90.かつての友達は
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「え? 僕の友人、ですか?」
「ええ、その、男性なんですか? 女性なんですか?」
「おやおや、それはまた随分と唐突な疑問ですね」
家族での会議が終わった後、私はウェリダンお兄様の部屋を訪ねていた。
お父様の言葉の意図が結局わからなかったため、そのことに対して色々と調べることにしたのだ。
今の所、私が予想できているのはウェリダンお兄様くらいである。ただ、それも友達の性別すらわかっていない状態であるため、定かではない。故に聞いてみることにしたのだ。
とはいえ、それだけが目的という訳でもないのが、実の所である。
ウェリダンお兄様のお友達については、ずっと気になっていたことなのだ。表情の件で関係がこじれてしまったそうだが、今ならそれをやり直すこともできるかもしれない。そう思ったのだ。
「……なるほど、父上が余計なことを言ったからですか?」
「え? あ、その……」
「そうですよね。あれはクラリアにはわかりませんよね。まったく、父上は少々空気が読めないというか、一言多いですね」
私の質問に対して、ウェリダンお兄様は苦笑いを浮かべていた。
どうやらお兄様には、お父様の言葉に対してはっきりとした答えが思い浮かんでいるらしい。
しかもウェリダンお兄様は、私が知らないことを前提としている。となると、あの場で話に取り残されていたのは、私だけだったということだろうか。
「しかし言われてみれば、一応僕のこととも考えられない訳ではありませんか」
「そうなのですか?」
「ええ、クラリアの質問への答えですが、僕の友人だった人の性別は女性です。といっても、彼女とは今は関わりもありませんし、婚約の望みなどは薄いでしょうね」
ウェリダンお兄様は、ゆっくりと首を横に振っていた。
私の予測は、当たらずとも遠からずといった所だったのだろうか。いや、婚約の話に繋がらないのなら、大外れなのかもしれないが。
「でも婚約の話はともかくとして、お友達と会ってみたいとは思いませんか?」
「それは……そうかもしれませんね」
ウェリダンお兄様は、私の言葉に表情を少し強張らせていた。
当然のことながら、その人と会うのは怖いのだろう。しかしそれでも、ウェリダンお兄様は前を向いている。過去と向き合い、未来へと進もうとしているのだ。
「僕も過去と決着をつけなければならないようですね。クラリア、付き合ってもらっていいですか?」
「私、ですか? それは構いませんけれど、私なんかで良いんですか?」
「クラリアだからいいんですよ。あなたのお陰で、僕の時間は動き始めたのですから」
「ウェリダンお兄様……わかりました」
ウェリダンお兄様の言葉に、私は静かに頷いた。
私の存在が、どれだけ役に立つかはわからない。だけど、ウェリダンお兄様が私を必要としてくれるなら、私はどこまでもついて行くだけだ。
「ええ、その、男性なんですか? 女性なんですか?」
「おやおや、それはまた随分と唐突な疑問ですね」
家族での会議が終わった後、私はウェリダンお兄様の部屋を訪ねていた。
お父様の言葉の意図が結局わからなかったため、そのことに対して色々と調べることにしたのだ。
今の所、私が予想できているのはウェリダンお兄様くらいである。ただ、それも友達の性別すらわかっていない状態であるため、定かではない。故に聞いてみることにしたのだ。
とはいえ、それだけが目的という訳でもないのが、実の所である。
ウェリダンお兄様のお友達については、ずっと気になっていたことなのだ。表情の件で関係がこじれてしまったそうだが、今ならそれをやり直すこともできるかもしれない。そう思ったのだ。
「……なるほど、父上が余計なことを言ったからですか?」
「え? あ、その……」
「そうですよね。あれはクラリアにはわかりませんよね。まったく、父上は少々空気が読めないというか、一言多いですね」
私の質問に対して、ウェリダンお兄様は苦笑いを浮かべていた。
どうやらお兄様には、お父様の言葉に対してはっきりとした答えが思い浮かんでいるらしい。
しかもウェリダンお兄様は、私が知らないことを前提としている。となると、あの場で話に取り残されていたのは、私だけだったということだろうか。
「しかし言われてみれば、一応僕のこととも考えられない訳ではありませんか」
「そうなのですか?」
「ええ、クラリアの質問への答えですが、僕の友人だった人の性別は女性です。といっても、彼女とは今は関わりもありませんし、婚約の望みなどは薄いでしょうね」
ウェリダンお兄様は、ゆっくりと首を横に振っていた。
私の予測は、当たらずとも遠からずといった所だったのだろうか。いや、婚約の話に繋がらないのなら、大外れなのかもしれないが。
「でも婚約の話はともかくとして、お友達と会ってみたいとは思いませんか?」
「それは……そうかもしれませんね」
ウェリダンお兄様は、私の言葉に表情を少し強張らせていた。
当然のことながら、その人と会うのは怖いのだろう。しかしそれでも、ウェリダンお兄様は前を向いている。過去と向き合い、未来へと進もうとしているのだ。
「僕も過去と決着をつけなければならないようですね。クラリア、付き合ってもらっていいですか?」
「私、ですか? それは構いませんけれど、私なんかで良いんですか?」
「クラリアだからいいんですよ。あなたのお陰で、僕の時間は動き始めたのですから」
「ウェリダンお兄様……わかりました」
ウェリダンお兄様の言葉に、私は静かに頷いた。
私の存在が、どれだけ役に立つかはわからない。だけど、ウェリダンお兄様が私を必要としてくれるなら、私はどこまでもついて行くだけだ。
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