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83.余裕そうな態度
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「オルディア、なんて無茶を……」
「あはは……」
「笑いごとじゃないよ!」
医務室のベッドの上で、オルディアお兄様は苦笑いを浮かべていた。
その顔の右側には、包帯が巻いてある。その範囲は、そこまで大きくはない。どうやらオルディアお兄様も、躱そうとはしていたらしい。
「マネリア嬢が、まさかあれ程に悪意を持っていたとは、僕も思っていなかったたんだ。危害を加えてくるにしても、もっと掴みかかるだとか、そういうことだと思っていた。これは僕も、流石に予想できなかったよ」
「なんでそんなに余裕そうに話せるのか、わかんないよ」
「エフェリアお姉様の言う通りです」
オルディアお兄様の余裕そうな表情に、私はエフェリアお姉様ともども怒りを覚えていた。
あれだけ危険なことをしたというのに、どうしてそんな風に笑っていられるのだろうか。それが私には、よくわからない。
「これは、名誉の負傷だからね……男の僕にとっては、誇らしいものさ」
「男だとか女だとか、そういう問題じゃないよ。一歩間違っていたら、死んじゃったかもしれないんだよ?」
「わかっている。だけど、エフェリアを傷つけようとする者を放っておく訳にもいかないからね」
そこでオルディアお兄様は、その目を細めた。
とても冷たい目をしている。その目からは、エフェリアお姉様を害する者を許さないという意思が伝わってきた。
「それに今回は、ヴェルード公爵家にまたケチが付くことを避けたかったからね。彼女に行動してもらって、こちらが被害者であることを大々的に示しておきたかった」
「……同情を誘うために、あんな無茶をしたんですね?」
「クラリアには、辛い役目を押し付けてしまったね。それはごめん」
「私よりも、エフェリアお姉様に謝ってください」
私は、ゆっくりと首を横に振った。
エフェリアお姉様と同じ気持ちでいる私だが、心からオルディアお兄様を非難できる立場ではない。あの時私は、お兄様に加担してしまっている。
あそこでオルディアお兄様の名前を呼んでいたら、違った結果になっていたかもしれない。それは後悔として、心に残っている。
「エフェリア、ごめん」
「謝っても許さないんだから……」
「レフティス様も、すみませんでした。僕のわがままに付き合わせてしまって」
「いえ、私は共犯者のようなものですからね」
「いえ、それ程意図を伝えていたという訳でもありませんから」
オルディアお兄様は、エフェリアお姉様とレフティス様に謝った。
恐らくレフティス様も、適当な理由を聞いて入れ替わることを了承したに過ぎないのだろう。マネリア嬢に迫った時は動揺していたし、この件においては、彼も私とそれ程は変わらない立場だったのかもしれない。
「あはは……」
「笑いごとじゃないよ!」
医務室のベッドの上で、オルディアお兄様は苦笑いを浮かべていた。
その顔の右側には、包帯が巻いてある。その範囲は、そこまで大きくはない。どうやらオルディアお兄様も、躱そうとはしていたらしい。
「マネリア嬢が、まさかあれ程に悪意を持っていたとは、僕も思っていなかったたんだ。危害を加えてくるにしても、もっと掴みかかるだとか、そういうことだと思っていた。これは僕も、流石に予想できなかったよ」
「なんでそんなに余裕そうに話せるのか、わかんないよ」
「エフェリアお姉様の言う通りです」
オルディアお兄様の余裕そうな表情に、私はエフェリアお姉様ともども怒りを覚えていた。
あれだけ危険なことをしたというのに、どうしてそんな風に笑っていられるのだろうか。それが私には、よくわからない。
「これは、名誉の負傷だからね……男の僕にとっては、誇らしいものさ」
「男だとか女だとか、そういう問題じゃないよ。一歩間違っていたら、死んじゃったかもしれないんだよ?」
「わかっている。だけど、エフェリアを傷つけようとする者を放っておく訳にもいかないからね」
そこでオルディアお兄様は、その目を細めた。
とても冷たい目をしている。その目からは、エフェリアお姉様を害する者を許さないという意思が伝わってきた。
「それに今回は、ヴェルード公爵家にまたケチが付くことを避けたかったからね。彼女に行動してもらって、こちらが被害者であることを大々的に示しておきたかった」
「……同情を誘うために、あんな無茶をしたんですね?」
「クラリアには、辛い役目を押し付けてしまったね。それはごめん」
「私よりも、エフェリアお姉様に謝ってください」
私は、ゆっくりと首を横に振った。
エフェリアお姉様と同じ気持ちでいる私だが、心からオルディアお兄様を非難できる立場ではない。あの時私は、お兄様に加担してしまっている。
あそこでオルディアお兄様の名前を呼んでいたら、違った結果になっていたかもしれない。それは後悔として、心に残っている。
「エフェリア、ごめん」
「謝っても許さないんだから……」
「レフティス様も、すみませんでした。僕のわがままに付き合わせてしまって」
「いえ、私は共犯者のようなものですからね」
「いえ、それ程意図を伝えていたという訳でもありませんから」
オルディアお兄様は、エフェリアお姉様とレフティス様に謝った。
恐らくレフティス様も、適当な理由を聞いて入れ替わることを了承したに過ぎないのだろう。マネリア嬢に迫った時は動揺していたし、この件においては、彼も私とそれ程は変わらない立場だったのかもしれない。
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