一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

木山楽斗

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9.返ってきた疑い

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「そういえば、君が連れてきた使用人三人……ゲルト、メルテナ、ランパーだったか? あの三名は、よく働いてくれているようだ」
「ああ、そうですか」

 結婚の謎からマグナス様は大きく話を変えてきた。しかしそれも、私がそれなりに気になっていたことである。

「彼らは君にとって、信頼できる人達なのか?」
「ええ、彼らはカルロム伯爵家において私の味方だった人達なんです。私のこともよく知っていますし、こちらに連れて来させてもらいました」
「なるほど、それは結構」

 私の言葉に、マグナス様はゆっくりと頷いた。
 ただ私は、その態度が少し気になった。なんというか、少し歯切れが悪いのだ。

「……何か懸念点でもあるのですか?」
「ああいや、少し気になったのだ。特にランパーという執事に関して」
「ランパーですか? 彼が何か?」
「いや……」

 私の質問に対して、マグナス様は目をそらした。
 ランパーというのは、若い執事である。真面目でよく働き、私をずっと支えてくれた人なのだが、彼が何かしたのだろうか。
 だが彼はさっき、よく働いていると言った。それなら仕事関係の疑念ではないのだろうか。

「彼のプライベートに関しては、それ程知っている訳ではありませんよ。ああ、既にご存知でしょうが、彼はゲルトさんと孫と祖父の関係にありますが、それが何か?」
「いいえ、その部分は気になっていません。気になっているのは、あなたと彼の関係だ」
「私と彼?」
「非常に言いづらいことではあるが、俺は君と彼に対して、君が以前俺とラナーシャに抱いていた疑念と同じようなものを抱いている。そこの所を正直に聞かせてもらいたい」
「え?」

 マグナス様の質問は、私にとってとても意外なものだった。
 しかし考えてみれば、それは当然の疑問かもしれない。私だって同じことを思った訳だし、彼が逆にそう思ってもおかしくはない。

「ご安心を。彼とはそういう関係ではありませんよ」
「それは本当に?」
「ええ、本当です。嘘なんてつきませんよ。といっても何か証拠が出せる訳ではありませんが……」
「ああ、いや別に君の言葉を疑っているという訳ではないとも」

 質問に答えてから、私は少し自分の語気が荒くなっていることに気付いた。
 疑われてみてわかったが、これは結構不快なものだ。そう考えると、益々自分の行動が情けなくなってくる。私は彼に対して、なんて仕打ちをしてしまったのだろうか。
 今の対応も含めて、私は急に恥ずかしくなってきた。私はもう少し、お淑やかになるべきなのかもしれない。
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