一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

木山楽斗

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7.疑うべきこと

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 マグナス様とラナーシャの事情を理解したことによって、私は安心して生活を送ることができるようになった。
 母のような人を放っておくことはできない。そんな気持ちで行動して、二人に余計なことを話させてしまったのは申し訳ないと思っている。
 ただ結局の所、あのまま色々と抱えたままではお互いに暮らしにくかったのではないかとも思ってしまう。故に、私の行動が正しかったどうかは微妙な所かもしれない。

「まあ、お互いに腹を割って話せて、相互理解が深まったことは良いことともいえるのだけれど……」

 部屋の中で伸びをしながら、私はゆっくりと起き上がる。
 マグナス様との結婚生活は、一年で終わる。故に仲を深める必要なんてない。
 そう思っていたが、改めて考えてみると一年は中々に長い期間である。その期間を一緒に生活するなら、何かを隠しておくなんて無理な話なのかもしれない。

「ただ、何れ終わる関係性の相手に打ち明けるには少々重たい問題ではあったのよね、お互いに……」

 窓を開けると、外からいい風が吹き込んできた。
 春の陽気が感じられる。こんな天気がいい日には、外で日向ぼっこでもしたくなってくる。
 私はまだ幼かった頃、母とそうしていたことを思い出していた。その時の母は、本当に楽しそうに心から笑っていたような気がする。

「それに向こうも私も、全てをさらけ出したという訳ではないかもしれないし……」

 実の所、私はまだ二人に隠し事をしている。
 それに関しては確証があることではないし、無闇やたらに話すと誤解を招くことであるため、話さないことにしたのだ。

「真実は闇の中……いいえ、今の所真実は病死である訳だけど」

 私の母は、既に亡くなっている。心労が祟って、病死してしまったのだ。
 しかし私は、それに対して疑念を抱いている。母は本当に、病死だったのだろうか。
 あの頃の私は、お医者様の話を信じて疑わなかった。しかしながら、あのお医者様は父の手がかかった者だ。もしかしたら死因を偽装しているかもしれない。

「これは何の根拠もない推測でしかない。でも、父ならやりかねないと思ってしまう」

 父は残酷な人物である。彼は命を奪うことも厭わない人だ。その地位を守るために、手を汚していることを私は知っている。
 その毒牙に母がかかったとしてもおかしくはない。彼は母が生きている時から、今の後妻と関係を持っていた。彼女と結ばれるために母を、そう考えてしまうのだ。

「仮にそうだとしても、その真実を解き明かす方法が今掴むのはきっととても難しい……」

 結局曖昧なことである訳だし、これを二人に話す必要はないだろう。これに関しては、私の胸に秘めておくべきことだ。
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