34 / 61
34
しおりを挟む
私は、ラーファン家の屋敷にいた。
ゴガンダ様は亡くなったが、私はここで暮らしている。貴族の一員となったのだ。
現在、私は貴族のいろはを学んでいる。作法の勉強は大変だ。だが、ゲルビド家に仕えていた頃に比べて、とても楽しい生活を送れているので、私はとてもいい気分である。
「シャルリナ、今日も来たよ」
「あ、叔母様ですか、入ってください」
そんな私は、シャルリナの元を訪ねていた。
最近、彼女とはよく会っている。ゴガンダ様のことで一緒に泣いたこともあって、仲良くなれたのだ。
私にとって、彼女はとても気楽に話せる相手である。
他の公爵家の人達と会う時は緊張するが、彼女にはそれがないのだ。年下ということもあるかもしれないが、それは彼女のあの砕けた態度のおかげである。貴族としては失格なのかもしれないが、あの態度は親しみやすいものなのだ。
「シャルリナ、昼間から布団に入って、何しているの?」
「昼寝ですよ。こういう陽気な日には、ゆっくりと眠るのが一番です」
「ちなみに、今日は布団から出たの?」
「いえ、出ていません」
シャルリナは、もう昼間だというのに寝間着のままだった。
もう慣れたが、彼女はそういう生活を送っている。寝間着のままで一日を過ごすのも、珍しいことではないようだ。
それは、あまりいい生活ではない。貴族らしいとからしくない以前に、あまり体にいい生活ではないはずである。
「シャルリナ、私も来たし、着替えてお茶にしない?」
「お茶はいいですけど、別に着替えなくてもよくないですか? 別に、叔母様は私が寝間着だろうと、気になりませんよね?」
「いや、気にはなるよ?」
「でも、別に構わないでしょう? もう慣れているはずですから。まあ、みっともないかもしれませんが、そういう所を見せられるのは仲が良い証拠ではありませんか。だから、別にこの格好でもいいと思いませんか?」
「うーん……」
シャルリナは、頑なに着替えようとしなかった。恐らく、面倒くさいと思っているのだろう。
色々と弁論を重ねて、なんとか回避しようとするのは、実に彼女らしいことである。
それに、なんとか反論しなければならない。そう思うのだが、私はあまりこういうことが得意ではないのである。
「仕方ないのかな……」
「ええ、仕方ないのです」
だから、いつも折れてしまう。駄目だとわかっていても、彼女の提案を許容してしまうのだ。
こういう面は、直さなければならないのかもしれない。押しに弱いというのは、貴族としては駄目なのではないだろうか。
「ふふ、やはり、叔母様はいいですね。とても気楽に過ごせます。これが、もしお兄様だったら、怒号が飛びますからね。怖いですよねえ?」
「ほう?」
「うん?」
「えっ?」
私が色々と考えていると、ある人物の声が聞こえてきた。
その人物、エルード様を見て、私もシャルリナも大いに驚くのだった。
ゴガンダ様は亡くなったが、私はここで暮らしている。貴族の一員となったのだ。
現在、私は貴族のいろはを学んでいる。作法の勉強は大変だ。だが、ゲルビド家に仕えていた頃に比べて、とても楽しい生活を送れているので、私はとてもいい気分である。
「シャルリナ、今日も来たよ」
「あ、叔母様ですか、入ってください」
そんな私は、シャルリナの元を訪ねていた。
最近、彼女とはよく会っている。ゴガンダ様のことで一緒に泣いたこともあって、仲良くなれたのだ。
私にとって、彼女はとても気楽に話せる相手である。
他の公爵家の人達と会う時は緊張するが、彼女にはそれがないのだ。年下ということもあるかもしれないが、それは彼女のあの砕けた態度のおかげである。貴族としては失格なのかもしれないが、あの態度は親しみやすいものなのだ。
「シャルリナ、昼間から布団に入って、何しているの?」
「昼寝ですよ。こういう陽気な日には、ゆっくりと眠るのが一番です」
「ちなみに、今日は布団から出たの?」
「いえ、出ていません」
シャルリナは、もう昼間だというのに寝間着のままだった。
もう慣れたが、彼女はそういう生活を送っている。寝間着のままで一日を過ごすのも、珍しいことではないようだ。
それは、あまりいい生活ではない。貴族らしいとからしくない以前に、あまり体にいい生活ではないはずである。
「シャルリナ、私も来たし、着替えてお茶にしない?」
「お茶はいいですけど、別に着替えなくてもよくないですか? 別に、叔母様は私が寝間着だろうと、気になりませんよね?」
「いや、気にはなるよ?」
「でも、別に構わないでしょう? もう慣れているはずですから。まあ、みっともないかもしれませんが、そういう所を見せられるのは仲が良い証拠ではありませんか。だから、別にこの格好でもいいと思いませんか?」
「うーん……」
シャルリナは、頑なに着替えようとしなかった。恐らく、面倒くさいと思っているのだろう。
色々と弁論を重ねて、なんとか回避しようとするのは、実に彼女らしいことである。
それに、なんとか反論しなければならない。そう思うのだが、私はあまりこういうことが得意ではないのである。
「仕方ないのかな……」
「ええ、仕方ないのです」
だから、いつも折れてしまう。駄目だとわかっていても、彼女の提案を許容してしまうのだ。
こういう面は、直さなければならないのかもしれない。押しに弱いというのは、貴族としては駄目なのではないだろうか。
「ふふ、やはり、叔母様はいいですね。とても気楽に過ごせます。これが、もしお兄様だったら、怒号が飛びますからね。怖いですよねえ?」
「ほう?」
「うん?」
「えっ?」
私が色々と考えていると、ある人物の声が聞こえてきた。
その人物、エルード様を見て、私もシャルリナも大いに驚くのだった。
15
あなたにおすすめの小説
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります
毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。
侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。
家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。
友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。
「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」
挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。
ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。
「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」
兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。
ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。
王都で聖女が起こした騒動も知らずに……
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~
柚木ゆず
恋愛
今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。
お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?
ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――
政略結婚した旦那様に「貴女を愛することはない」と言われたけど、猫がいるから全然平気
ハルイロ
恋愛
皇帝陛下の命令で、唐突に決まった私の結婚。しかし、それは、幸せとは程遠いものだった。
夫には顧みられず、使用人からも邪険に扱われた私は、与えられた粗末な家に引きこもって泣き暮らしていた。そんな時、出会ったのは、1匹の猫。その猫との出会いが私の運命を変えた。
猫達とより良い暮らしを送るために、夫なんて邪魔なだけ。それに気付いた私は、さっさと婚家を脱出。それから数年、私は、猫と好きなことをして幸せに過ごしていた。
それなのに、なぜか態度を急変させた夫が、私にグイグイ迫ってきた。
「イヤイヤ、私には猫がいればいいので、旦那様は今まで通り不要なんです!」
勘違いで妻を遠ざけていた夫と猫をこよなく愛する妻のちょっとずれた愛溢れるお話
愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし
香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。
治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。
そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。
二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。
これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。
そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。
※他サイトにも投稿しています
【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる