使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。

木山楽斗

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 私は、ラーファン家の屋敷にいた。
 ゴガンダ様は亡くなったが、私はここで暮らしている。貴族の一員となったのだ。
 現在、私は貴族のいろはを学んでいる。作法の勉強は大変だ。だが、ゲルビド家に仕えていた頃に比べて、とても楽しい生活を送れているので、私はとてもいい気分である。

「シャルリナ、今日も来たよ」
「あ、叔母様ですか、入ってください」

 そんな私は、シャルリナの元を訪ねていた。
 最近、彼女とはよく会っている。ゴガンダ様のことで一緒に泣いたこともあって、仲良くなれたのだ。

 私にとって、彼女はとても気楽に話せる相手である。
 他の公爵家の人達と会う時は緊張するが、彼女にはそれがないのだ。年下ということもあるかもしれないが、それは彼女のあの砕けた態度のおかげである。貴族としては失格なのかもしれないが、あの態度は親しみやすいものなのだ。

「シャルリナ、昼間から布団に入って、何しているの?」
「昼寝ですよ。こういう陽気な日には、ゆっくりと眠るのが一番です」
「ちなみに、今日は布団から出たの?」
「いえ、出ていません」

 シャルリナは、もう昼間だというのに寝間着のままだった。
 もう慣れたが、彼女はそういう生活を送っている。寝間着のままで一日を過ごすのも、珍しいことではないようだ。
 それは、あまりいい生活ではない。貴族らしいとからしくない以前に、あまり体にいい生活ではないはずである。

「シャルリナ、私も来たし、着替えてお茶にしない?」
「お茶はいいですけど、別に着替えなくてもよくないですか? 別に、叔母様は私が寝間着だろうと、気になりませんよね?」
「いや、気にはなるよ?」
「でも、別に構わないでしょう? もう慣れているはずですから。まあ、みっともないかもしれませんが、そういう所を見せられるのは仲が良い証拠ではありませんか。だから、別にこの格好でもいいと思いませんか?」
「うーん……」

 シャルリナは、頑なに着替えようとしなかった。恐らく、面倒くさいと思っているのだろう。
 色々と弁論を重ねて、なんとか回避しようとするのは、実に彼女らしいことである。
 それに、なんとか反論しなければならない。そう思うのだが、私はあまりこういうことが得意ではないのである。

「仕方ないのかな……」
「ええ、仕方ないのです」

 だから、いつも折れてしまう。駄目だとわかっていても、彼女の提案を許容してしまうのだ。
 こういう面は、直さなければならないのかもしれない。押しに弱いというのは、貴族としては駄目なのではないだろうか。

「ふふ、やはり、叔母様はいいですね。とても気楽に過ごせます。これが、もしお兄様だったら、怒号が飛びますからね。怖いですよねえ?」
「ほう?」
「うん?」
「えっ?」

 私が色々と考えていると、ある人物の声が聞こえてきた。
 その人物、エルード様を見て、私もシャルリナも大いに驚くのだった。
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