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14.魔法による治療
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与えられた文献を読み込み、数度のイメージトレーニングを重ねた私は、ジオンド老師の前に再び立っていた。
古代の魔法は難解ではあるが、使いこなすのが不可能という訳ではない。それが文献を読んで、私が出した結論だ。
魔法に関して、私は秀でた才能を有していると自負している。そんな私にならできるはずだ。そう自分に言い聞かせて、私はジオンド老師の頭に手をかざす。
「老師、じっとしていてくださいね?」
「ええ、もちろん心得ています。私はセレティナ様を信じています」
「そう言っていただけて、ありがたい限りです」
私は、ゆっくりと息を呑んだ。
古代の魔法は、リスクも大きい。失敗した場合、何かが起こる可能性がある。
私が傷つくのは、別に構わない。それは魔法を使う者として、当然負うべきものだ。
問題なのは、ジオンド老師を傷つける可能性である。見た目は子供ではあるが、彼老齢だ。もしも失敗したら、命がないかもしれない。
ただだからといって、怖がっていたら失敗するのが常である。
つまり私は、成功して当然と思ってことにあるべきなのだ。それくらい強かでなければ、ならないのである。
「こ、これは……」
私が決意して魔法を実行した瞬間、ジオンド老師の体に変化が現れ始めた。
それに驚いて言葉を発しているのは、ヴェルゼル様だ。彼にしては珍しく、目を丸めている。
それは当然のことだといえるだろう。目の前で子供がどんどんと成長していっているのだから、驚くのも無理はない。
「流石ですね、セレティナ様は……」
「褒めるのはまだ早いですよ、ジオンド老師……」
「ええ、そうでしたね……」
自らの体がどんどんと成長していくことに、ジオンド老師は歓喜していた。
子供の体は、余程嫌だったのだろう。それは当然か。小さな体では、色々と不便が多い。老人程に体に限界が来ていたなら、猶更だ。
「うごっ……」
「老師? 大丈夫ですか?」
「ヴェルゼス様、問題はありません。魔法は順調です」
老師の体からは、軋むような音が聞こえてきていた。
故にヴェルゼル様は、心配しているようだ。
ただ、私には確信がある。私の魔法は上手くいっている。老師は本来あるべき状態に、戻っているのだ。
「うぐっ……おお、この体に……戻れるとは」
「老師……その姿は」
「ええ、これが本来の私です、ヴェルゼス様」
ジオンド老師は、老人の姿になっていた。
子供の時と比べて信じられないくらい老け込んだその姿には、流石のヴェルゼス様も驚いているのだろう。
「悲願が叶いました。感謝します、セレティナ様」
「いえ、元に戻れて幸いです」
「しかし、あなたはこんな所でくすぶっているような人ではないでしょう。あなたのやるべきことをするべきだ……」
「ええ、そうですね。私はもう一人、助けなければなりません」
ジオンド老師の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼のお陰で、私は古代の魔法を学ぶことができた。この魔法で、私はドルダン様を助けるのだ。
古代の魔法は難解ではあるが、使いこなすのが不可能という訳ではない。それが文献を読んで、私が出した結論だ。
魔法に関して、私は秀でた才能を有していると自負している。そんな私にならできるはずだ。そう自分に言い聞かせて、私はジオンド老師の頭に手をかざす。
「老師、じっとしていてくださいね?」
「ええ、もちろん心得ています。私はセレティナ様を信じています」
「そう言っていただけて、ありがたい限りです」
私は、ゆっくりと息を呑んだ。
古代の魔法は、リスクも大きい。失敗した場合、何かが起こる可能性がある。
私が傷つくのは、別に構わない。それは魔法を使う者として、当然負うべきものだ。
問題なのは、ジオンド老師を傷つける可能性である。見た目は子供ではあるが、彼老齢だ。もしも失敗したら、命がないかもしれない。
ただだからといって、怖がっていたら失敗するのが常である。
つまり私は、成功して当然と思ってことにあるべきなのだ。それくらい強かでなければ、ならないのである。
「こ、これは……」
私が決意して魔法を実行した瞬間、ジオンド老師の体に変化が現れ始めた。
それに驚いて言葉を発しているのは、ヴェルゼル様だ。彼にしては珍しく、目を丸めている。
それは当然のことだといえるだろう。目の前で子供がどんどんと成長していっているのだから、驚くのも無理はない。
「流石ですね、セレティナ様は……」
「褒めるのはまだ早いですよ、ジオンド老師……」
「ええ、そうでしたね……」
自らの体がどんどんと成長していくことに、ジオンド老師は歓喜していた。
子供の体は、余程嫌だったのだろう。それは当然か。小さな体では、色々と不便が多い。老人程に体に限界が来ていたなら、猶更だ。
「うごっ……」
「老師? 大丈夫ですか?」
「ヴェルゼス様、問題はありません。魔法は順調です」
老師の体からは、軋むような音が聞こえてきていた。
故にヴェルゼル様は、心配しているようだ。
ただ、私には確信がある。私の魔法は上手くいっている。老師は本来あるべき状態に、戻っているのだ。
「うぐっ……おお、この体に……戻れるとは」
「老師……その姿は」
「ええ、これが本来の私です、ヴェルゼス様」
ジオンド老師は、老人の姿になっていた。
子供の時と比べて信じられないくらい老け込んだその姿には、流石のヴェルゼス様も驚いているのだろう。
「悲願が叶いました。感謝します、セレティナ様」
「いえ、元に戻れて幸いです」
「しかし、あなたはこんな所でくすぶっているような人ではないでしょう。あなたのやるべきことをするべきだ……」
「ええ、そうですね。私はもう一人、助けなければなりません」
ジオンド老師の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼のお陰で、私は古代の魔法を学ぶことができた。この魔法で、私はドルダン様を助けるのだ。
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