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2.追いかけてきた者
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ドラール王国から追い出された私は、途方に暮れていた。
これからどうしていけばいいのか、それがまったくわからない。ドラール王国で罪人として追放された私は、他国にもきっと受け入れられないだろう。このままどこの国にも入ることができず、野垂れ死んでしまうかもしれない。
当然のことながら、死にたくはないと思っている。
故になんとかして生き残る術を探したいのだが、それはすぐに思いつくようなものではない。
元聖女である私は、様々な魔法を使うことができる。
それらを駆使して、なんとかサバイバル生活はできるかもしれない。
しかしそんな生活を続けていたら、肉体的にも精神的にもいつか限界が来る。耐えられる内に、どこかの国に取り入る方法を考えるのが、一番だろうか。
「うん?」
そんなことを考えながら、ドラール王国と隣国であるバジール王国の間にある街道を、私は歩いていた。
そこで私は、気配を感じた。より正確に言えば、魔力といえるだろうか。魔力にはそれぞれ個人差がある。今感じている魔力は、覚えがあるものだ。
「こちらにいらっしゃいましたか……」
「あなたは……」
私の目の前に風とともに現れた大柄の男性は、かつて私の部下であったヴァルゼス様だった。
彼は、オフェリル侯爵家の令息である。彼は聖女の補佐を務めており、私にとっては信頼できる部下の一人だった。
「ヴァルゼス様、どうしてあなたがこちらに?」
「セレティナ様を追いかけてきたのです」
「追いかけてきた? どうしてわざわざ……」
ヴァルゼス様の言葉に、私は驚くことになった。
罪人として追放された私を、彼が追いかけてくる。そんなことをする必要が、一体どこにあるのだろうか。それが私にはわからない。
まさか私のことを助けに来たとでもいうのだろうか。しかしそんなことをしたら、彼の立場が悪くなる。相手は王太子と伯爵令嬢だ。侯爵令息である彼でも、その権力は覆せない。
「あなたに同行するためです」
「何を言っているのですか? 私は、追放されたのですよ? そんな私に同行するなんて……」
「……私が忠誠を誓ったのは、ドルダン様とセレティナ様です。あの二人ではありません」
「それは……」
ヴァルゼス様は、私の前でゆっくりと跪いた。
平民である私に、貴族である彼がそうするというのは、奇妙なことだ。それは彼が、覚悟を決めてこの場に来ていることの何よりの証拠だといえるだろう。
彼も中々に、難儀な人である。私のことなんて放っておいて、新たな聖女の元で働けば楽だというのに。
ただ、私にとって彼の気持ちはとてもありがたいものだった。
私はヴェルゼス様に、ゆっくりと手を差し伸べる。すると彼は、しっかりとその手を握ってくれた。
これからどうしていけばいいのか、それがまったくわからない。ドラール王国で罪人として追放された私は、他国にもきっと受け入れられないだろう。このままどこの国にも入ることができず、野垂れ死んでしまうかもしれない。
当然のことながら、死にたくはないと思っている。
故になんとかして生き残る術を探したいのだが、それはすぐに思いつくようなものではない。
元聖女である私は、様々な魔法を使うことができる。
それらを駆使して、なんとかサバイバル生活はできるかもしれない。
しかしそんな生活を続けていたら、肉体的にも精神的にもいつか限界が来る。耐えられる内に、どこかの国に取り入る方法を考えるのが、一番だろうか。
「うん?」
そんなことを考えながら、ドラール王国と隣国であるバジール王国の間にある街道を、私は歩いていた。
そこで私は、気配を感じた。より正確に言えば、魔力といえるだろうか。魔力にはそれぞれ個人差がある。今感じている魔力は、覚えがあるものだ。
「こちらにいらっしゃいましたか……」
「あなたは……」
私の目の前に風とともに現れた大柄の男性は、かつて私の部下であったヴァルゼス様だった。
彼は、オフェリル侯爵家の令息である。彼は聖女の補佐を務めており、私にとっては信頼できる部下の一人だった。
「ヴァルゼス様、どうしてあなたがこちらに?」
「セレティナ様を追いかけてきたのです」
「追いかけてきた? どうしてわざわざ……」
ヴァルゼス様の言葉に、私は驚くことになった。
罪人として追放された私を、彼が追いかけてくる。そんなことをする必要が、一体どこにあるのだろうか。それが私にはわからない。
まさか私のことを助けに来たとでもいうのだろうか。しかしそんなことをしたら、彼の立場が悪くなる。相手は王太子と伯爵令嬢だ。侯爵令息である彼でも、その権力は覆せない。
「あなたに同行するためです」
「何を言っているのですか? 私は、追放されたのですよ? そんな私に同行するなんて……」
「……私が忠誠を誓ったのは、ドルダン様とセレティナ様です。あの二人ではありません」
「それは……」
ヴァルゼス様は、私の前でゆっくりと跪いた。
平民である私に、貴族である彼がそうするというのは、奇妙なことだ。それは彼が、覚悟を決めてこの場に来ていることの何よりの証拠だといえるだろう。
彼も中々に、難儀な人である。私のことなんて放っておいて、新たな聖女の元で働けば楽だというのに。
ただ、私にとって彼の気持ちはとてもありがたいものだった。
私はヴェルゼス様に、ゆっくりと手を差し伸べる。すると彼は、しっかりとその手を握ってくれた。
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