聖女の代わりがいくらでもいるなら、私がやめても構いませんよね?

木山楽斗

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 私の名前は、アルメア。サジェルド王国の聖女である。
 聖女というのは、魔力が高い者に与えられる役職だ。その業務は多岐に渡る。国を守る結界を張ったり、王宮に仕える魔術師達を取り纏めたり、国民の前に立ち彼等を励ましたり、本当に色々な仕事があるのだ。

 そのようにたくさんの業務があるため、聖女はとても多忙な仕事である。
 朝から晩まで、一日中業務。週にある決められた休みも、仕事になったりするため、ほとんど休む時間がない。
 とても苦しく、体のあちこちが悲鳴を上げてくる仕事なのである。

 このような労働環境は、当然おかしいものである。
 そもそも、聖女というものはここまで苛烈な労働環境ではなかった。ある人物が、聖女や魔術師達をまとめるようになってから、このような環境になったのである。

「ビクトン様、これ以上、仕事を増やさないでください」
「なんだ? また僕に文句か?」

 諸悪の根源は、第三王子のビクトンだった。
 最近になって、彼は聖女や魔術師を取りまとめることになった。しかし、彼は下の者のことを考えず、様々な仕事を入れて、私達を苦しめてくるのである。
 それは、現国王に自分の功績を認めてもらうためだった。成果を上げて、次の国王に選ばれたい。その欲望のために、私達は犠牲になっているのだ。

「もう限界です。あなたは、なんでも仕事を回してきますが、そのような量に対処できるはずがないでしょう」
「それは、お前達の努力が足りないんだ。文句を言う暇があったら、仕事の一つでも処理すればいいだろう」
「ふざけないでください! あなたの勝手な欲望のために、どうして私達が振り回されなければならないのですか!」
「それが、第三王子である僕への口の利き方か? 平民風情が調子に乗るんじゃないぞ!」

 ビクトンは、私の言葉を一切聞き入れなかった。
 一応、私は魔術師の中では彼の次に偉い。そんな私の言葉を聞き入れないということは、他の者の言葉も耳に入らないということだ。

 彼は、国王様への進言も邪魔してくる。私が国王様に抗議しようとしても、色々と策を巡らせて、それを差し止めてくるのだ。
 そのため、彼を止めることはできなかった。悪知恵だけは働く、とても厄介な男。それが、彼なのである。

「嫌ならやめてもらってもいいんだ! お前の代わりなんて、いくらでもいる!」
「なっ……!」

 彼の言葉に、流石に私も我慢の限界だった。
 今まで、誰がこの無理な仕事をこなすために魔術師達を取りまとめていたと思っているのだろうか。
 本当に、この男は何もわかっていない。もうこれ以上、彼に付き合うなど嫌だ。

「わかりました! それなら、やめさせてもらいます!」
「ふん! やめればいいんだ! 過ぎた地位を持った平民は、この王城から直ちに立ち去るがいい!」
「ええ、そうさせてもらいます!」

 私は、彼に対して堂々と宣言した。
 もうこれ以上、彼に付き合っていられない。そう思い、私は王城を去るのだった。
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