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双子の過去
恋人
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あれ以来、海斗がいじめられる事はなくなり、陸斗たちは無事、中学生となった。
海斗は相変わらず陸斗に頼りっぱなしだったが、それでも小学生の頃に比べれば、あまり人見知りしなくなった。
そして季節は過ぎ、二学期になった頃、海斗に彼女が出来た。
彼女の名前は伊佐川美由。
海斗のクラスメイトであり、色白の。清純という言葉が似合う少女だった。
たびたび海斗の教室を訪れていた陸斗も、当然面識があり、彼女と恋人になったと知った時、素直に祝福した。
しかしその時、一瞬だけ海斗の表情が、どこか悲しそうに見えたことが、少し気がかりだった。
それからというもの、陸斗がサッカー部に入っていたこともあり、海斗と過ごす時間はさらに短くなり、それぞれが自立していったように思えた。
ところがそんな日々は突如として終わることとなった。
付き合ってから1ヶ月ほど経った頃だった。
美由が自転車で登校中に、事故で亡くなったのだ。
事故の原因は、自転車のブレーキの故障だった。
美由が通う通学路にある踏切の手前は、急な下り坂になっており、スピードを落とせなかった彼女は、そのまま踏切に突っ込んでしまい、運悪く電車に轢かれてしまったのだった。
そんな美由の告別式には、多くの友人たちが集まり、当然陸斗と海斗の姿もあった。
美由との最後の別れを終えた後、終始落ち込んだ様子で黙り込む海斗を心配し、陸斗はそっと寄り添った。
「……本当に、亡くなったんだな。」
どうにかして励まそうと考えたが、なかなかかける言葉も見つからず、陸斗は思ったままのことを口にした。
美由が亡くなったと知らされた時、海斗は泣くことはなかったが、明らかに動揺していた。
それ以来、陸斗が何か話しかけても空返事するばかりで、心ここに在らずの状態が続いていた。
なんとかしてやりたいとは思っていたが、具体的にどうすれば海斗が元気を取り戻せるか分からず、結局今の今まで美由の話を出せずにいたのだ。
「……まさか、こんなことになるなんて………。」
それは陸斗だって予想だにできなかったことであり、同じ思いを持っていた。
とはいえまさか、第一声がその事とは想定していなかったため、陸斗は少々面食らいつつも、そっと海斗の左肩に手を置いた。
「俺も最初聞いた時はショックだったけどさ、海斗の方がよっぽど辛かったよな。だから、俺に出来る事なら何でも言ってくれ。」
すると今まで俯いていた海斗が、陸斗の方に顔を向けた。
その目には涙を浮かべていた。
「………それじゃあ、胸、貸して。」
そう言うと海斗は、陸斗の胸に顔を埋めて泣き出した。
その姿を見ると、昔の泣き虫だった海斗を思い出し、やはり海斗には自分が側にいなければならないと自覚したのだった。
海斗は相変わらず陸斗に頼りっぱなしだったが、それでも小学生の頃に比べれば、あまり人見知りしなくなった。
そして季節は過ぎ、二学期になった頃、海斗に彼女が出来た。
彼女の名前は伊佐川美由。
海斗のクラスメイトであり、色白の。清純という言葉が似合う少女だった。
たびたび海斗の教室を訪れていた陸斗も、当然面識があり、彼女と恋人になったと知った時、素直に祝福した。
しかしその時、一瞬だけ海斗の表情が、どこか悲しそうに見えたことが、少し気がかりだった。
それからというもの、陸斗がサッカー部に入っていたこともあり、海斗と過ごす時間はさらに短くなり、それぞれが自立していったように思えた。
ところがそんな日々は突如として終わることとなった。
付き合ってから1ヶ月ほど経った頃だった。
美由が自転車で登校中に、事故で亡くなったのだ。
事故の原因は、自転車のブレーキの故障だった。
美由が通う通学路にある踏切の手前は、急な下り坂になっており、スピードを落とせなかった彼女は、そのまま踏切に突っ込んでしまい、運悪く電車に轢かれてしまったのだった。
そんな美由の告別式には、多くの友人たちが集まり、当然陸斗と海斗の姿もあった。
美由との最後の別れを終えた後、終始落ち込んだ様子で黙り込む海斗を心配し、陸斗はそっと寄り添った。
「……本当に、亡くなったんだな。」
どうにかして励まそうと考えたが、なかなかかける言葉も見つからず、陸斗は思ったままのことを口にした。
美由が亡くなったと知らされた時、海斗は泣くことはなかったが、明らかに動揺していた。
それ以来、陸斗が何か話しかけても空返事するばかりで、心ここに在らずの状態が続いていた。
なんとかしてやりたいとは思っていたが、具体的にどうすれば海斗が元気を取り戻せるか分からず、結局今の今まで美由の話を出せずにいたのだ。
「……まさか、こんなことになるなんて………。」
それは陸斗だって予想だにできなかったことであり、同じ思いを持っていた。
とはいえまさか、第一声がその事とは想定していなかったため、陸斗は少々面食らいつつも、そっと海斗の左肩に手を置いた。
「俺も最初聞いた時はショックだったけどさ、海斗の方がよっぽど辛かったよな。だから、俺に出来る事なら何でも言ってくれ。」
すると今まで俯いていた海斗が、陸斗の方に顔を向けた。
その目には涙を浮かべていた。
「………それじゃあ、胸、貸して。」
そう言うと海斗は、陸斗の胸に顔を埋めて泣き出した。
その姿を見ると、昔の泣き虫だった海斗を思い出し、やはり海斗には自分が側にいなければならないと自覚したのだった。
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