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第三章 学園生活
第6話 学園生活(高等部 5)
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高等部3年ともなると、それぞれが今後の進路について考える様になるものだ。
このまま大学部に進む者
違う大学へと進む者
就職する者
と様々だ。
駿斗は国際弁護士になるのが夢だと言っていたから、ここを卒業したら海外留学をするのだろう。
菜々子は、将来濱田のお爺様とおじ様が経営する金融機関に就職が決まっているお兄様 濱田流星さんを助けたいから秘書検定を取るんだそうだ。きっとそのまま大学部に行くんだと思う。
私はと言うと、既に高等部2年から学園の授業料等は全て柊伯父様が払って下さっているので、白金の家に居ながらも櫻井家のお世話になっている事になる。そんな身分なので、色々な相談事は皆櫻井の家にしていた。
なんせ父は、私なんかの為に一銭も払いたくないと思っている人間だからね。
勿論、白金の家で働く時子さん羽田さん大貫さんのお給料は、皆櫻井の家から払われているなんて、父は夢にも思っていないだろうけど。
「りり。進路はどうするんだ?」
と伯父様に聞かれた私は、
「このまま大学部に進んで、司書の資格を取ろうと思っています。」
「図書館司書か。本好きなりりらしいな。」
「はい。司書になれば執筆に必要な資料が見放題なので。」
としれっと答えた私に、柊伯父は小さくハハッと笑う。
「当然だが、りりの夢に俺たち櫻井家は全面的に応援するぞ。ところでりり。マンションでの生活はどうなんだ?」
「ありがとうございます、伯父様。マンションでの本格的な生活は、彼等を捨ててからになると思いますが、空気の入れ替えの為、今は週に1回だけ、下校した後羽田さんに送って貰って数時間部屋で過ごしてから白金の家に戻っています。」
「そうか。それは良かったな。また必要な物があったら、遠慮せず彌生に言ってくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
伯父の家からの帰り道
私は羽田さんが運転する車の中で考えた。
大学部は白金の家からより、マンションからの方が近いから、高等部を卒業したら父にバレない様に部屋の荷物を運び入れていこうと思う。
白金の家の私の部屋は鍵がかかるようにしてあるから、皐月さんや桃花が勝手に入る事は無いだろうけど、万が一合鍵を持っている時子さんがお掃除して下さっている間に、目を盗んで部屋に入られたとしても大丈夫な様に、椅子や机・ドレッサーや高価なブランド服や小物類はマンションに運んでおいて、部屋には質素な物に替えておくのもいいのかしら?
屋敷に帰ったら時子さんにも相談しとこう。で、賛同を得られたら伯父様と伯母様に色々手配して貰って、あの人達が屋敷に居ない時に運び出してしまおう。
「お嬢様。何か楽しそうな事をお考えですか?」
羽田さんの声に反応し顔を上げると、ルームミラー越しに視線が合った。
「白金の家で使っている家具とかを、あの人達が居ない時に、マンションの方に運んでしまうのはどうかしら?って思ってたの。」
「それはそれは楽しそうなお考えですね。」
「名案でしょ?」
「はい。旦那様もさぞお喜びになられるでしょう。」
「屋敷に帰ったら、時子さんにもお話しなくてはね。」
羽田さんは嬉しそうに目を細め笑ってくれた。
このまま大学部に進む者
違う大学へと進む者
就職する者
と様々だ。
駿斗は国際弁護士になるのが夢だと言っていたから、ここを卒業したら海外留学をするのだろう。
菜々子は、将来濱田のお爺様とおじ様が経営する金融機関に就職が決まっているお兄様 濱田流星さんを助けたいから秘書検定を取るんだそうだ。きっとそのまま大学部に行くんだと思う。
私はと言うと、既に高等部2年から学園の授業料等は全て柊伯父様が払って下さっているので、白金の家に居ながらも櫻井家のお世話になっている事になる。そんな身分なので、色々な相談事は皆櫻井の家にしていた。
なんせ父は、私なんかの為に一銭も払いたくないと思っている人間だからね。
勿論、白金の家で働く時子さん羽田さん大貫さんのお給料は、皆櫻井の家から払われているなんて、父は夢にも思っていないだろうけど。
「りり。進路はどうするんだ?」
と伯父様に聞かれた私は、
「このまま大学部に進んで、司書の資格を取ろうと思っています。」
「図書館司書か。本好きなりりらしいな。」
「はい。司書になれば執筆に必要な資料が見放題なので。」
としれっと答えた私に、柊伯父は小さくハハッと笑う。
「当然だが、りりの夢に俺たち櫻井家は全面的に応援するぞ。ところでりり。マンションでの生活はどうなんだ?」
「ありがとうございます、伯父様。マンションでの本格的な生活は、彼等を捨ててからになると思いますが、空気の入れ替えの為、今は週に1回だけ、下校した後羽田さんに送って貰って数時間部屋で過ごしてから白金の家に戻っています。」
「そうか。それは良かったな。また必要な物があったら、遠慮せず彌生に言ってくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
伯父の家からの帰り道
私は羽田さんが運転する車の中で考えた。
大学部は白金の家からより、マンションからの方が近いから、高等部を卒業したら父にバレない様に部屋の荷物を運び入れていこうと思う。
白金の家の私の部屋は鍵がかかるようにしてあるから、皐月さんや桃花が勝手に入る事は無いだろうけど、万が一合鍵を持っている時子さんがお掃除して下さっている間に、目を盗んで部屋に入られたとしても大丈夫な様に、椅子や机・ドレッサーや高価なブランド服や小物類はマンションに運んでおいて、部屋には質素な物に替えておくのもいいのかしら?
屋敷に帰ったら時子さんにも相談しとこう。で、賛同を得られたら伯父様と伯母様に色々手配して貰って、あの人達が屋敷に居ない時に運び出してしまおう。
「お嬢様。何か楽しそうな事をお考えですか?」
羽田さんの声に反応し顔を上げると、ルームミラー越しに視線が合った。
「白金の家で使っている家具とかを、あの人達が居ない時に、マンションの方に運んでしまうのはどうかしら?って思ってたの。」
「それはそれは楽しそうなお考えですね。」
「名案でしょ?」
「はい。旦那様もさぞお喜びになられるでしょう。」
「屋敷に帰ったら、時子さんにもお話しなくてはね。」
羽田さんは嬉しそうに目を細め笑ってくれた。
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