168 / 171
3章
154
しおりを挟む
「いや、本当に今日はありがとう。有意義な時間を過ごせたよ。」
「ぜひ、全土に広めたいですね。」
「そう思っていただけて、良かったです。まずは、我が領で試行していることが、あと2年もすれば身を結ぶでしょう。その成功例をもって、議会にかけてみてください。成功例があるのですから、承認が通りやすくなりますから。まあ、反対意見もあれど絶対通るでしょうけど。」
「ああ、そこまで考えてくれていたのですか。ほんとうに賢い子だ。ありがとう。」
「これが成功すれば、スラムはなくなっていくでしょう。孤児院のような雇用制度を使えば、子供が小さく、一人しか親がいなくて働けなかった人たちも働けるようになるでしょう。」
「はい。その通りですね。」
「学校で優秀な人材がそろえば、仕事のできない人間は仕事をなくす。実力主義の国になるでしょう。平民のやる気にもつながります。」
「はい、身を以て感じました。学校での授業もレベルが高く、貴族が通っている学園とのレベルの差は感じませんでした。」
「貴族のなかには反対するものもいるでしょう。税も払えないのに、施しをするのか、と言われるかもしれません。ですが、逆です。税を払えるようにしてあげるのが、国としての、領主としての役目です。それを忘れてはいけないと思うのです。」
「その通りです。」
「期待しています。」
「ノアくん、ありがとう。」
「いいえ。僕は家族に恩返ししたかっただけですから。たくさん愛されて幸せなので。」
「あ、すみません。リルたちが挨拶がしたいと。出してもよろしいでしょうか?」
「フェンリル様たちですか。もちろんです。」
「ありがとうございます。いいよ、おいで。」
『お初にお目にかかる。国王よ。宰相、久しいな。』
「はじめまして。」
「お久しぶりです。」
『こたびのこと、わしらは怒っておるからな。宰相、そなたには忠告してあったはずだ。』
「はい、申し訳ありません。」
『わたしよりも、神が怒っておってな。しばらくは洗礼式には期待せんことだな。そなたらの能力も下がっておるの分かっているだろ?』
「はい、承知しています。」
「申し訳ないです。」
『まあ、まじめにコツコツやっておれば、怒りもおさまるだろうよ。それから伯爵たちは害にしかならん。神が直々に裁くそうだ。君たちも裁かねばならんだろうから、それまで待つそうだ。まぁ、だが決まったあとは任せろとのことです。』
「「承知しました。」」
『このようなことが二度とないようにな。』
「はい。」
こうして、僕の婚約騒動は幕を閉じた。
「ぜひ、全土に広めたいですね。」
「そう思っていただけて、良かったです。まずは、我が領で試行していることが、あと2年もすれば身を結ぶでしょう。その成功例をもって、議会にかけてみてください。成功例があるのですから、承認が通りやすくなりますから。まあ、反対意見もあれど絶対通るでしょうけど。」
「ああ、そこまで考えてくれていたのですか。ほんとうに賢い子だ。ありがとう。」
「これが成功すれば、スラムはなくなっていくでしょう。孤児院のような雇用制度を使えば、子供が小さく、一人しか親がいなくて働けなかった人たちも働けるようになるでしょう。」
「はい。その通りですね。」
「学校で優秀な人材がそろえば、仕事のできない人間は仕事をなくす。実力主義の国になるでしょう。平民のやる気にもつながります。」
「はい、身を以て感じました。学校での授業もレベルが高く、貴族が通っている学園とのレベルの差は感じませんでした。」
「貴族のなかには反対するものもいるでしょう。税も払えないのに、施しをするのか、と言われるかもしれません。ですが、逆です。税を払えるようにしてあげるのが、国としての、領主としての役目です。それを忘れてはいけないと思うのです。」
「その通りです。」
「期待しています。」
「ノアくん、ありがとう。」
「いいえ。僕は家族に恩返ししたかっただけですから。たくさん愛されて幸せなので。」
「あ、すみません。リルたちが挨拶がしたいと。出してもよろしいでしょうか?」
「フェンリル様たちですか。もちろんです。」
「ありがとうございます。いいよ、おいで。」
『お初にお目にかかる。国王よ。宰相、久しいな。』
「はじめまして。」
「お久しぶりです。」
『こたびのこと、わしらは怒っておるからな。宰相、そなたには忠告してあったはずだ。』
「はい、申し訳ありません。」
『わたしよりも、神が怒っておってな。しばらくは洗礼式には期待せんことだな。そなたらの能力も下がっておるの分かっているだろ?』
「はい、承知しています。」
「申し訳ないです。」
『まあ、まじめにコツコツやっておれば、怒りもおさまるだろうよ。それから伯爵たちは害にしかならん。神が直々に裁くそうだ。君たちも裁かねばならんだろうから、それまで待つそうだ。まぁ、だが決まったあとは任せろとのことです。』
「「承知しました。」」
『このようなことが二度とないようにな。』
「はい。」
こうして、僕の婚約騒動は幕を閉じた。
108
お気に入りに追加
1,955
あなたにおすすめの小説

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる