58 / 133
第五章 仮面の告白
第六話 謎のメッセージ
しおりを挟む
一方――こちらは一冴である。
スマートフォンが鳴ったので、鞄から取り出した。壁紙は「だいふくねこ」のイラストだ。
LIИEにメッセージが入っていた。送信相手は「東條麦彦」である。
――何であいつ俺のアドレス知ってんだよ。
ともかくも開いてみる。
「おまえ、筆坂紅子と一緒に図書館へなんぞ行って大丈夫なのかの🤪
初めて図書館へ行くという設定なのに図書カードはどうするんじゃい😁
ま、それを誤魔化すのは簡単かもしれんがな、
筆坂紅子はどうなるかの?ww
図書カードを作るためには、身分証明書が必要ぞい💩
つまりは学生証じゃなw
筆坂紅子は持って来とるかの?💩
あと、鈴宮蘭なら今、菊花の部屋におるぞい🤪
色々と愉しい光景が見られるんじゃないかのうwww😂」
図書カードの件は確かに気にかかった。だが、「上原いちご」の学生証を一冴は持っている。寮の住所を書けば、新しい図書カードを作ることもできるだろう。
だが、そんなことより気になることがある。
――蘭先輩が菊花の部屋に?
なぜいるのだろう。
それを考えると、胸騒ぎがした。
あれだけ蘭を避けていたのに、部屋に上げたのか。
昨晩は、つきあえないと蘭に言うことでさえ菊花は渋った。それは――なぜだ。
そうでなくとも麦彦のことである。ろくでもないことを考えているに違いない。
そんな一冴の様子を紅子は気にかける。
「どうしたの、いちごちゃん?」
「いや――別に。」
気にかかりだしたら、居ても立ってもいられない。
とりあえず、言葉を選んで説明する。
「あの――今、知り合いのお爺さんからメッセージが来たんだけどさ――図書カードを作るためには、学生証が必要なんだって。――紅子ちゃん、持ってる?」
紅子は少し考え、困ったような顔となる。
「あー、持ってない。」
「そう。」
「いちごちゃんは?」
「持ってるよ? 校則だもん。」
紅子はさらに困った顔をする。
「うーん、じゃあ、どうしよ? 図書館で本借りるかもしれないし――一旦、戻って、取りに帰った方がいいかな?」
「まあ、そっちのほうが間違いはないよね。」
「そっか――」
「幸い、学校からまだあんま離れてないし、一旦戻ろうか。」
うん――と紅子はうなづく。
それから、二人で元来た道を戻りだした。
スマートフォンが鳴ったので、鞄から取り出した。壁紙は「だいふくねこ」のイラストだ。
LIИEにメッセージが入っていた。送信相手は「東條麦彦」である。
――何であいつ俺のアドレス知ってんだよ。
ともかくも開いてみる。
「おまえ、筆坂紅子と一緒に図書館へなんぞ行って大丈夫なのかの🤪
初めて図書館へ行くという設定なのに図書カードはどうするんじゃい😁
ま、それを誤魔化すのは簡単かもしれんがな、
筆坂紅子はどうなるかの?ww
図書カードを作るためには、身分証明書が必要ぞい💩
つまりは学生証じゃなw
筆坂紅子は持って来とるかの?💩
あと、鈴宮蘭なら今、菊花の部屋におるぞい🤪
色々と愉しい光景が見られるんじゃないかのうwww😂」
図書カードの件は確かに気にかかった。だが、「上原いちご」の学生証を一冴は持っている。寮の住所を書けば、新しい図書カードを作ることもできるだろう。
だが、そんなことより気になることがある。
――蘭先輩が菊花の部屋に?
なぜいるのだろう。
それを考えると、胸騒ぎがした。
あれだけ蘭を避けていたのに、部屋に上げたのか。
昨晩は、つきあえないと蘭に言うことでさえ菊花は渋った。それは――なぜだ。
そうでなくとも麦彦のことである。ろくでもないことを考えているに違いない。
そんな一冴の様子を紅子は気にかける。
「どうしたの、いちごちゃん?」
「いや――別に。」
気にかかりだしたら、居ても立ってもいられない。
とりあえず、言葉を選んで説明する。
「あの――今、知り合いのお爺さんからメッセージが来たんだけどさ――図書カードを作るためには、学生証が必要なんだって。――紅子ちゃん、持ってる?」
紅子は少し考え、困ったような顔となる。
「あー、持ってない。」
「そう。」
「いちごちゃんは?」
「持ってるよ? 校則だもん。」
紅子はさらに困った顔をする。
「うーん、じゃあ、どうしよ? 図書館で本借りるかもしれないし――一旦、戻って、取りに帰った方がいいかな?」
「まあ、そっちのほうが間違いはないよね。」
「そっか――」
「幸い、学校からまだあんま離れてないし、一旦戻ろうか。」
うん――と紅子はうなづく。
それから、二人で元来た道を戻りだした。
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる