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始動編
野鳥の雛
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「今から専門の薬師が発見したばかりの新しい方法で元気になれるか試してみるからね。ただ必ず上手く行くかは分からないんだ、そこは承知してくれるかな?」
ギルド職員が子供達に説明をする。
ここには今その薬師は居ないことと、まだ一部の種類しか試してないから失敗するかも知れないことも説明している。
職員が子供の視線を逸らしてくれている間に非公開の処置を施すことにした。
先ずは魔素浴からだ。もしかしたら変異種を引き取ることになる可能性を考え、マジックバックに小振りだが勢いのある鉢植えの魔性植物を入れていたので取り出す。鉢のふちの方に横たえたが丁度良い具合に収まった。果汁を与える準備が出来るまで、そこに置いておく。
レナードさんの話しでは、急変した時は先ず森で魔素浴をして、様子が少しでも変化があれば果汁を無理矢理押し込んでも飲ませると言っていた。少しでも嚥下すれば持ち直すと。
職員が雛に体力と生きたい気持ちがなければ、どんな方法でも助からないんだと告げていた。
「そんな!」
「だったらわたしお祈りする!」
助けられると聞いた兄らしい子の絶望的な声と、妹らしい子の希望に縋る声が聞こえてきた。
色々な神などに雛の回復を願う数人の声。
子供達に背を向けたまま雛を片手に持ち固定する。子供達の相手をしているのとは別の職員と無理矢理嘴をこじ開けた。雛にはシリンジの先に管がついた専用の物があり、慎重に量を調整して入れてもらう。嚥下しているかを喉元を良く観察する。嚥下さえしてくれたら生存の可能性が出て来るからだ。喉元の毛の密度が高くて動きが分からなかったが、とりあえず嘴から果汁の戻りはなかったようなので一度鉢植えに戻す。
「今出来る事はやってくれたみたいだから、そろそろ家に帰りなさい」
こちらが処置を終えたのを見て子供達の側にいた職員が帰宅を促してくれた。
「…でもぉ」
子供達は動かない雛が心配で仕方がないのだろう。
「じゃあ、この雛を保護した様子を説明してくれないか?」
雛の方をチラチラ見ながら話してくれた。
「では、雛が鳴いている声を聞いて近づいたら落ちていて、上にある巣に親鳥が居るらしいのに、君達が近付いても威嚇されなかったんだな」
「うん」
「気付いてなかった可能性は?」
「巣のある木に雛より近付くとチチッって鳴くの」
「やはり変異種だったから見捨てられたんだな」
「え~あの雛捨てられたちゃったの?」
女の子が涙ぐむ。
「変異種の赤ちゃんは賢いけど、もの凄く弱いんだ。だから巣にいるならともかく、巣から落ちた時には他の雛と違ってすぐに諦めちゃうんだ」
「どうして?」
「それは人間と違ってお薬を飲ませてあげられないし、他の雛の餌を探さずにその子だけのお世話が出来ないからなんだよ」
「他の雛が落ちたら探すんだよね?」
「そうだね、元気なら連れ戻そうとするね」
「変異種の雛だけ違うの?」
「変異種は成体にさえなれば群れのリーダーになるほど賢い。でもその代わり、調子が悪くなったらあの様に親鳥が付きっきりでお世話をしなきゃいけない状態になる事が多いんだ。
それを知っているから普通に育たないと分かった瞬間に放置しちゃうんだ。それは確実に多くの子孫が残せるための知恵なんだ」
その後、野生では初産で変異種の雛が居た場合には、経験値がないから頑張って育てようとして他の子も駄目になってしまい、その後何度産んでも育児放棄してしまうことがあったり、1匹しか産まない種族で愛情が深過ぎる母親は、亡くなった子を持ち歩いていたり、悲しみのあまり衰弱死してしまうことなど、親鳥が生き残り子孫を残すためにやっている事だと言うことを教えていて、真剣に聞いていた子供達は親鳥を責める言葉を段々と口にしなくなっていた。
最後にここで応急処置をしたけどいつ目覚めるか分からない事と、準備が出来次第、保護する施設に移動することを説明した。明日お手伝いが終わってここに来た時に経過を教える約束をしてようやく帰って行った。
ギルド職員が子供達に説明をする。
ここには今その薬師は居ないことと、まだ一部の種類しか試してないから失敗するかも知れないことも説明している。
職員が子供の視線を逸らしてくれている間に非公開の処置を施すことにした。
先ずは魔素浴からだ。もしかしたら変異種を引き取ることになる可能性を考え、マジックバックに小振りだが勢いのある鉢植えの魔性植物を入れていたので取り出す。鉢のふちの方に横たえたが丁度良い具合に収まった。果汁を与える準備が出来るまで、そこに置いておく。
レナードさんの話しでは、急変した時は先ず森で魔素浴をして、様子が少しでも変化があれば果汁を無理矢理押し込んでも飲ませると言っていた。少しでも嚥下すれば持ち直すと。
職員が雛に体力と生きたい気持ちがなければ、どんな方法でも助からないんだと告げていた。
「そんな!」
「だったらわたしお祈りする!」
助けられると聞いた兄らしい子の絶望的な声と、妹らしい子の希望に縋る声が聞こえてきた。
色々な神などに雛の回復を願う数人の声。
子供達に背を向けたまま雛を片手に持ち固定する。子供達の相手をしているのとは別の職員と無理矢理嘴をこじ開けた。雛にはシリンジの先に管がついた専用の物があり、慎重に量を調整して入れてもらう。嚥下しているかを喉元を良く観察する。嚥下さえしてくれたら生存の可能性が出て来るからだ。喉元の毛の密度が高くて動きが分からなかったが、とりあえず嘴から果汁の戻りはなかったようなので一度鉢植えに戻す。
「今出来る事はやってくれたみたいだから、そろそろ家に帰りなさい」
こちらが処置を終えたのを見て子供達の側にいた職員が帰宅を促してくれた。
「…でもぉ」
子供達は動かない雛が心配で仕方がないのだろう。
「じゃあ、この雛を保護した様子を説明してくれないか?」
雛の方をチラチラ見ながら話してくれた。
「では、雛が鳴いている声を聞いて近づいたら落ちていて、上にある巣に親鳥が居るらしいのに、君達が近付いても威嚇されなかったんだな」
「うん」
「気付いてなかった可能性は?」
「巣のある木に雛より近付くとチチッって鳴くの」
「やはり変異種だったから見捨てられたんだな」
「え~あの雛捨てられたちゃったの?」
女の子が涙ぐむ。
「変異種の赤ちゃんは賢いけど、もの凄く弱いんだ。だから巣にいるならともかく、巣から落ちた時には他の雛と違ってすぐに諦めちゃうんだ」
「どうして?」
「それは人間と違ってお薬を飲ませてあげられないし、他の雛の餌を探さずにその子だけのお世話が出来ないからなんだよ」
「他の雛が落ちたら探すんだよね?」
「そうだね、元気なら連れ戻そうとするね」
「変異種の雛だけ違うの?」
「変異種は成体にさえなれば群れのリーダーになるほど賢い。でもその代わり、調子が悪くなったらあの様に親鳥が付きっきりでお世話をしなきゃいけない状態になる事が多いんだ。
それを知っているから普通に育たないと分かった瞬間に放置しちゃうんだ。それは確実に多くの子孫が残せるための知恵なんだ」
その後、野生では初産で変異種の雛が居た場合には、経験値がないから頑張って育てようとして他の子も駄目になってしまい、その後何度産んでも育児放棄してしまうことがあったり、1匹しか産まない種族で愛情が深過ぎる母親は、亡くなった子を持ち歩いていたり、悲しみのあまり衰弱死してしまうことなど、親鳥が生き残り子孫を残すためにやっている事だと言うことを教えていて、真剣に聞いていた子供達は親鳥を責める言葉を段々と口にしなくなっていた。
最後にここで応急処置をしたけどいつ目覚めるか分からない事と、準備が出来次第、保護する施設に移動することを説明した。明日お手伝いが終わってここに来た時に経過を教える約束をしてようやく帰って行った。
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