3 / 21
始動編
育成計画
しおりを挟む
園内で一番小さく、日当たりの良い小部屋が最初の飼育ルームとなった。
比較的新しい資料室だったが、物が少なかったこともあり、速攻で片付けられた。
休みだった職員達が、自宅や近所から集めた壊れたゲージや止まり木になりそうなものを集めて来た。
手先の器用な職員が、壊れたゲージの中で一番マシなものをベースに、止まり木などを設置して必要数を用意。
連れて来た時に用意されたかごなどをベットにして入れ、着々と準備が完了する。
予算に泣かされ、作れる物や直せる物は自分達でやる精神が、充分な力を発揮した。
というより、研究の時より迅速だったのは上層部には内緒だ。
集められた小型変異種達は、一番手のかかる産まれてから2週間の目も離せないほどの温度管理や食事の時期は過ぎていたものの、本来の種族の同時期に生まれた兄弟姉妹よりは小さく、ちょっとした油断が体調を左右するので慎重に、時には過保護だと思われるほどの世話をした。
暖かく風が緩やかな日は出来るだけ植物園の敷地内で自由に過ごさせた。
ほぼ全てが魔性植物であるため、小型種の変異種にとっては最高の環境だった。
果実や木の実も、魔素も変異種や幻獣の子供達には必須の栄養素だったから。
今までは普通種と同じ物を与え、弱い個体と同じ環境下で飼育するのが一般的だったそうだ。
幻獣は魔素の多い森か、迷いの森で産まれるが、親や仲間達が育てるため人族でそのことを知る者はほとんど居なかった。
竜人族やハイエルフなどの幻獣と共に暮らす一族の秘技であったとのちに判明した。
最初の頃は職員の手の届く範囲内でしか動かず、直ぐに戻って来ては職員の膝の上や肩に止まって休んでいた。
「はぁ、癒され~る」
「疲れが吹き飛ぶ~」
愛らしい寝姿に担当職員はメロメロで、顔面の崩壊度が半端ない。
好みが分からないため、植物園内で熟している実をかき集め、絞ってジュースにした。
小鳥系には最初方手で捕まえてスポイドで嘴の中に少量を押し出して飲ませた。
美味しいと分かると
「ピッ!」
と催促して来る。
嫌いな時は首を振って抵抗する。
リス系魔物と小型のリス猿系魔物には、片手ほどの大きさに切り分けて渡した。
小さな手で果実を掴んでもぐもぐする姿は愛らしい。
それぞれ催促したか、しなかったかで分けられ記録は班で共有された。
ただそのデータは種族が全部違っていたため、個体の好みもあることが判明するのは数年経ってからであったが。
どの種族も弱っている時は果汁を、元気が良い時は果実を適当に切り分けて与えた。
有志で集めたお金で専用の餌を従魔士ギルドから購入したこともあった。
レナードさんが開示した情報の通り、体調を崩した時に無理をしても魔性植物の果汁を少量与えるか、魔素の多い場所で過ごさせると、翌日の症状が軽くなったり、その後の頻度が減って来ることが確定して来た。
元々の変異種の変調率は知らないが、伝書屋に研修にいった者の話しでは、一度体調を崩すと一昼夜は急変するため目が離せず、その後もしばらくは一進一退を繰り返していたが、魔性植物の果汁を与えるようになってからは、急変すること自体も減り、持ち直す確率が上がったそうだ。
伝書屋に研修にいったある職員は、伝書屋の育成担当責任者の協力の元、学会や上層部に発表するための研究を始めたらしい。
中間報告は協力関係である商業ギルドにも報告され、貸し魔獣屋や行商人など、観察記録を提出することに同意した業者を増やすことに使われた。
冒険ギルドは畜産農家や一般家庭からの変異種の引き受けや保護、餌になる人族は食べない肉や魔虫などの害獣などを、協力者に安く売り渡していた。
育成計画は試行錯誤しながら段々と形を整えていく。
比較的新しい資料室だったが、物が少なかったこともあり、速攻で片付けられた。
休みだった職員達が、自宅や近所から集めた壊れたゲージや止まり木になりそうなものを集めて来た。
手先の器用な職員が、壊れたゲージの中で一番マシなものをベースに、止まり木などを設置して必要数を用意。
連れて来た時に用意されたかごなどをベットにして入れ、着々と準備が完了する。
予算に泣かされ、作れる物や直せる物は自分達でやる精神が、充分な力を発揮した。
というより、研究の時より迅速だったのは上層部には内緒だ。
集められた小型変異種達は、一番手のかかる産まれてから2週間の目も離せないほどの温度管理や食事の時期は過ぎていたものの、本来の種族の同時期に生まれた兄弟姉妹よりは小さく、ちょっとした油断が体調を左右するので慎重に、時には過保護だと思われるほどの世話をした。
暖かく風が緩やかな日は出来るだけ植物園の敷地内で自由に過ごさせた。
ほぼ全てが魔性植物であるため、小型種の変異種にとっては最高の環境だった。
果実や木の実も、魔素も変異種や幻獣の子供達には必須の栄養素だったから。
今までは普通種と同じ物を与え、弱い個体と同じ環境下で飼育するのが一般的だったそうだ。
幻獣は魔素の多い森か、迷いの森で産まれるが、親や仲間達が育てるため人族でそのことを知る者はほとんど居なかった。
竜人族やハイエルフなどの幻獣と共に暮らす一族の秘技であったとのちに判明した。
最初の頃は職員の手の届く範囲内でしか動かず、直ぐに戻って来ては職員の膝の上や肩に止まって休んでいた。
「はぁ、癒され~る」
「疲れが吹き飛ぶ~」
愛らしい寝姿に担当職員はメロメロで、顔面の崩壊度が半端ない。
好みが分からないため、植物園内で熟している実をかき集め、絞ってジュースにした。
小鳥系には最初方手で捕まえてスポイドで嘴の中に少量を押し出して飲ませた。
美味しいと分かると
「ピッ!」
と催促して来る。
嫌いな時は首を振って抵抗する。
リス系魔物と小型のリス猿系魔物には、片手ほどの大きさに切り分けて渡した。
小さな手で果実を掴んでもぐもぐする姿は愛らしい。
それぞれ催促したか、しなかったかで分けられ記録は班で共有された。
ただそのデータは種族が全部違っていたため、個体の好みもあることが判明するのは数年経ってからであったが。
どの種族も弱っている時は果汁を、元気が良い時は果実を適当に切り分けて与えた。
有志で集めたお金で専用の餌を従魔士ギルドから購入したこともあった。
レナードさんが開示した情報の通り、体調を崩した時に無理をしても魔性植物の果汁を少量与えるか、魔素の多い場所で過ごさせると、翌日の症状が軽くなったり、その後の頻度が減って来ることが確定して来た。
元々の変異種の変調率は知らないが、伝書屋に研修にいった者の話しでは、一度体調を崩すと一昼夜は急変するため目が離せず、その後もしばらくは一進一退を繰り返していたが、魔性植物の果汁を与えるようになってからは、急変すること自体も減り、持ち直す確率が上がったそうだ。
伝書屋に研修にいったある職員は、伝書屋の育成担当責任者の協力の元、学会や上層部に発表するための研究を始めたらしい。
中間報告は協力関係である商業ギルドにも報告され、貸し魔獣屋や行商人など、観察記録を提出することに同意した業者を増やすことに使われた。
冒険ギルドは畜産農家や一般家庭からの変異種の引き受けや保護、餌になる人族は食べない肉や魔虫などの害獣などを、協力者に安く売り渡していた。
育成計画は試行錯誤しながら段々と形を整えていく。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる