2 / 21
始動編
計画始動
しおりを挟む
変異種育成計画が、いつの間にか『ふれあい小型幻獣園』へとシフトチェンジしたのは、
動物好き職員が案外多くいたこととだが、レナードさんが街中でのトラブルで小型変異種の幼獣を数匹引き取り、魔性植物園に相談に来た時が始まりだった。
研究者は研究するためなら寝食を削ってでも惜しいとは思わない人種だ。
それが仕事で大好きな小動物(小型幻獣)を育てつつ、新しい研究のテーマも同時に叶うとあって、一部の職員が暴走した結果とも言える。
元々動物好きな職員が自ら手を挙げて、植物園でも検証したいと我儘を言い出した。
予算がないせいで新しい研究が出来ないのに、変異種の幼体をもらい受ける費用をどうやって捻出するんだと一蹴したところに、タイミング良く変異種の幼体達がやって来た。
それを聞いた職員達は普段とは違う行動力で、作業中でどうしても手が離せない者以外が、応接室の隣りの大会議室に集合した。
レナードさんが帰る頃には何故か休みのはずの職員までいた。
諸事情の問題で、狼犬の変異種兄弟は見送ることになったが、犬好きの職員の失望具合に残りの職員が引いた。
狼犬達はレナードさんが当面の間は育て、環境が整った時に魔性植物園が引き受けられるか決めることになった。
部下達は研究者としては優秀だが、レナードさんのように幻獣使いでもなく、動物や魔獣などと意思疎通を可能とする従魔術などを取得していないことも、現状では引き受けられない要因だった。
他の小型種は元の種族が植物や果実を主食としていたので引き受けることに決まったが、その後が大変だった。
誰が担当するかで揉めに揉めたのだ。
専門の担当者を作らず当番制にすることで収まったのは、今後も増える可能性を指摘した者がいたから。
直ぐに飼育のルールを作る班
当番制のルール等を決める班
飼育の方法を調べる班
飼育場所を決める班
に分かれ、ジャンケンで勝ち残った今日の臨時世話係3名だけが食堂へ幼体達を抱えて出ていった。
凄まじい集中力でそれぞれが作業を終えて再び会議室に集合したのは、4時間後のことだった。
リス系魔物と小型のリス猿系魔物が1班
小鳥系魔物3羽が2班
3班はフォロー班と決まる。
1班と2班が日々の世話係で、所属員でローテーションで回す。
3班は両方と関わりたい者が主に体調が悪い時の世話全般を、
毎日の世話は無理だという者が遊び相手や幻獣関連の買い出しなどの世話の手が足りてないところのフォローを引き受ける。
動物も子供も苦手という職員は除外してある。
始めて動物を扱う者も多く、1班は小型動物の従魔士のところに通い、2班は伝書屋で小鳥の世話の勉強に通った。
植物園の研究者が本業なのに、変異種の世話のが時間を使っているという者もいた。
ようやく容態が落ち着いた頃には世話の仕方も上手くなり、本業にも良い影響が出るようになって来た。
元々地道な作業と成果が出るのに時間がかかり、モチベーションを保つのが難しく腐りかけることがあったのが、小動物達の世話でその成長が見られることで減った。
研究のためとはいえ、実際には研究に関係ない作業も意外と多かった。
せっかく育てても、安全性が高く人族が食べられる果実だけは研究費確保のため売れていたが、他は廃棄処分するしかなかった。
高い所の見逃しがちな果実や、病気や害虫被害も見つけるのが困難だったし、見逃せばせっかくの植物を失う可能性もある。
種類によっては魔素が溜まりやすく、定期的に魔道具で集めて、空の魔石へ注入しないと、魔虫や小型の魔物が発生してしまい、それらが植物達に悪影響を与える。
それが変異種の幼体達が来てからは激変する。
人族が嫌う酸味が強い物や収穫してから傷みやすくタイミングが合わなければ破棄していた物など、有効に利用出来るようになったので品質管理にも力が入る。
元気の良い子達が高いところの実や魔虫などを取って来てくれるようになり、チェックする箇所が大幅に減った。
このようにメリットが次々に明らかになると、はじめは渋っていた上層部も首を立てに振らざるおえなくなり、着々と『変異種育成計画』が本格始動を開始した。
のちに暴走した一部の職員が、研究のためには変異種の子達と意思疎通をはかる必要があると主張して、業務の一環として従魔術を習い始めた。
本当の理由は幻獣や変異種達と会話がしたかっただけであることは、暗黙の了解として関係各所は沈黙をした。
動物好き職員が案外多くいたこととだが、レナードさんが街中でのトラブルで小型変異種の幼獣を数匹引き取り、魔性植物園に相談に来た時が始まりだった。
研究者は研究するためなら寝食を削ってでも惜しいとは思わない人種だ。
それが仕事で大好きな小動物(小型幻獣)を育てつつ、新しい研究のテーマも同時に叶うとあって、一部の職員が暴走した結果とも言える。
元々動物好きな職員が自ら手を挙げて、植物園でも検証したいと我儘を言い出した。
予算がないせいで新しい研究が出来ないのに、変異種の幼体をもらい受ける費用をどうやって捻出するんだと一蹴したところに、タイミング良く変異種の幼体達がやって来た。
それを聞いた職員達は普段とは違う行動力で、作業中でどうしても手が離せない者以外が、応接室の隣りの大会議室に集合した。
レナードさんが帰る頃には何故か休みのはずの職員までいた。
諸事情の問題で、狼犬の変異種兄弟は見送ることになったが、犬好きの職員の失望具合に残りの職員が引いた。
狼犬達はレナードさんが当面の間は育て、環境が整った時に魔性植物園が引き受けられるか決めることになった。
部下達は研究者としては優秀だが、レナードさんのように幻獣使いでもなく、動物や魔獣などと意思疎通を可能とする従魔術などを取得していないことも、現状では引き受けられない要因だった。
他の小型種は元の種族が植物や果実を主食としていたので引き受けることに決まったが、その後が大変だった。
誰が担当するかで揉めに揉めたのだ。
専門の担当者を作らず当番制にすることで収まったのは、今後も増える可能性を指摘した者がいたから。
直ぐに飼育のルールを作る班
当番制のルール等を決める班
飼育の方法を調べる班
飼育場所を決める班
に分かれ、ジャンケンで勝ち残った今日の臨時世話係3名だけが食堂へ幼体達を抱えて出ていった。
凄まじい集中力でそれぞれが作業を終えて再び会議室に集合したのは、4時間後のことだった。
リス系魔物と小型のリス猿系魔物が1班
小鳥系魔物3羽が2班
3班はフォロー班と決まる。
1班と2班が日々の世話係で、所属員でローテーションで回す。
3班は両方と関わりたい者が主に体調が悪い時の世話全般を、
毎日の世話は無理だという者が遊び相手や幻獣関連の買い出しなどの世話の手が足りてないところのフォローを引き受ける。
動物も子供も苦手という職員は除外してある。
始めて動物を扱う者も多く、1班は小型動物の従魔士のところに通い、2班は伝書屋で小鳥の世話の勉強に通った。
植物園の研究者が本業なのに、変異種の世話のが時間を使っているという者もいた。
ようやく容態が落ち着いた頃には世話の仕方も上手くなり、本業にも良い影響が出るようになって来た。
元々地道な作業と成果が出るのに時間がかかり、モチベーションを保つのが難しく腐りかけることがあったのが、小動物達の世話でその成長が見られることで減った。
研究のためとはいえ、実際には研究に関係ない作業も意外と多かった。
せっかく育てても、安全性が高く人族が食べられる果実だけは研究費確保のため売れていたが、他は廃棄処分するしかなかった。
高い所の見逃しがちな果実や、病気や害虫被害も見つけるのが困難だったし、見逃せばせっかくの植物を失う可能性もある。
種類によっては魔素が溜まりやすく、定期的に魔道具で集めて、空の魔石へ注入しないと、魔虫や小型の魔物が発生してしまい、それらが植物達に悪影響を与える。
それが変異種の幼体達が来てからは激変する。
人族が嫌う酸味が強い物や収穫してから傷みやすくタイミングが合わなければ破棄していた物など、有効に利用出来るようになったので品質管理にも力が入る。
元気の良い子達が高いところの実や魔虫などを取って来てくれるようになり、チェックする箇所が大幅に減った。
このようにメリットが次々に明らかになると、はじめは渋っていた上層部も首を立てに振らざるおえなくなり、着々と『変異種育成計画』が本格始動を開始した。
のちに暴走した一部の職員が、研究のためには変異種の子達と意思疎通をはかる必要があると主張して、業務の一環として従魔術を習い始めた。
本当の理由は幻獣や変異種達と会話がしたかっただけであることは、暗黙の了解として関係各所は沈黙をした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幻獣達の呟き -幻獣士の王-
瑠璃垣玲緒
ファンタジー
【幻獣士の王と呼ばれた男】の番外編
本編で登場する幻獣や変異種達の視点での短編集
動物達から見た世界ですが、本編を知らなくても楽しめるようにする予定です。
幻獣目線なので難しい漢字はなるべく使いません。基本ほっこりやほのぼの系です。
真面目な子もいますが、あまりシリアスはないはずです。
可愛い幻獣達をお楽しみ下さい。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる