54 / 77
第9話 やっと隣に並べた(1)
しおりを挟む
初めて明と体を重ねてから、はや三週間。
あれからもタイミングを見計らっては、どちらかの家に行ってセックスをする日々が続いていた。
いや、セックスと称するのはやや不適切かもしれない。なんせ、明があまりにも優しすぎて、いわゆる《本番》というものをしてくれないのである。心の準備はとっくにできているというのに、体の方がついていかないのがもどかしかった。
だからといって辛抱強く待つ千佳ではなく。ならば、こちらにも考えがあると思い立って、千佳はLINEを通して頼れそうな人物に相談したのだった。勿論、男同士の諸事情を相談できる相手など限られている――先日知り合った《オネエ系》の男、矢島琥太郎だ。
今日はお礼を兼ね、ハンバーガーチェーン店で昼食を奢ることになったのだが、
「で、例の“アレ”は試してるの? もしかして今もシてるのかしら?」
「コタローさん、セクハラっすわ……」
開口早々、直接的な話題をふられて引いてしまう。周囲に人のいないカウンター席とはいえ、こういった場所で昼間からしていい話なのだろうか。しかも相手は、十分目立つ容姿をしているというのに。
「へーきへーき。どうせ誰も聞いてないし、聞いたところで何の話かわかんないわよ」
「いや、まあ」
「それで答えは?」
「……日常的に使ってるし、おかげさまで馴染んできたっつーか」
「あら、それはよかった」
琥太郎は色っぽく目を細めて視線を落とす。何を想像しているのかすぐに察しがついて、千佳はギクリとした。
「どどどこ見てるんすかっ」
「やあね、見えるワケないじゃないの――お尻の穴なんて」
「うおおっ!」
そう、それは一昨日のこと。千佳のもとに、ある荷物が届いたのだ。
琥太郎に相談を持ちかけたところ、「役立つものを送るわ」とメッセージがあり、一体どのようなものが送られてくるのかと身構えていたら、想像を絶する品が入っていた。
中に入っていたのは、アナルプラグ――肛門の拡張と開発を目的とする玩具だった。おまけに、アナル用のローションまで入っている始末で、千佳は頭を抱えるしかなかった。
しかし、それもほんの最初のうちだけ。千佳は迷うことなく、それらを使用することにしたのである。一刻も早く、明に挿入されたいのだから当たり前だった。
そうして数日経過した今、慣れればさほど気にならないもので、少しずつ拡張が進んでいる気がする。日常生活を送るぶんには、長時間使用していても何ら問題はなかった。
「本当なら、アタシが直接教えてあげたかったんだけどね~。男同士のセックスについて訊かれたときは、そりゃもう期待――」
「しーっ! コタローさん、しーっ!」
千佳が慌てるも、琥太郎はあっけらかんとしている。特に悪びれた様子もなく、トレーからチーズバーガーを手に取ると、大きな口を開けて齧りついた。
あれからもタイミングを見計らっては、どちらかの家に行ってセックスをする日々が続いていた。
いや、セックスと称するのはやや不適切かもしれない。なんせ、明があまりにも優しすぎて、いわゆる《本番》というものをしてくれないのである。心の準備はとっくにできているというのに、体の方がついていかないのがもどかしかった。
だからといって辛抱強く待つ千佳ではなく。ならば、こちらにも考えがあると思い立って、千佳はLINEを通して頼れそうな人物に相談したのだった。勿論、男同士の諸事情を相談できる相手など限られている――先日知り合った《オネエ系》の男、矢島琥太郎だ。
今日はお礼を兼ね、ハンバーガーチェーン店で昼食を奢ることになったのだが、
「で、例の“アレ”は試してるの? もしかして今もシてるのかしら?」
「コタローさん、セクハラっすわ……」
開口早々、直接的な話題をふられて引いてしまう。周囲に人のいないカウンター席とはいえ、こういった場所で昼間からしていい話なのだろうか。しかも相手は、十分目立つ容姿をしているというのに。
「へーきへーき。どうせ誰も聞いてないし、聞いたところで何の話かわかんないわよ」
「いや、まあ」
「それで答えは?」
「……日常的に使ってるし、おかげさまで馴染んできたっつーか」
「あら、それはよかった」
琥太郎は色っぽく目を細めて視線を落とす。何を想像しているのかすぐに察しがついて、千佳はギクリとした。
「どどどこ見てるんすかっ」
「やあね、見えるワケないじゃないの――お尻の穴なんて」
「うおおっ!」
そう、それは一昨日のこと。千佳のもとに、ある荷物が届いたのだ。
琥太郎に相談を持ちかけたところ、「役立つものを送るわ」とメッセージがあり、一体どのようなものが送られてくるのかと身構えていたら、想像を絶する品が入っていた。
中に入っていたのは、アナルプラグ――肛門の拡張と開発を目的とする玩具だった。おまけに、アナル用のローションまで入っている始末で、千佳は頭を抱えるしかなかった。
しかし、それもほんの最初のうちだけ。千佳は迷うことなく、それらを使用することにしたのである。一刻も早く、明に挿入されたいのだから当たり前だった。
そうして数日経過した今、慣れればさほど気にならないもので、少しずつ拡張が進んでいる気がする。日常生活を送るぶんには、長時間使用していても何ら問題はなかった。
「本当なら、アタシが直接教えてあげたかったんだけどね~。男同士のセックスについて訊かれたときは、そりゃもう期待――」
「しーっ! コタローさん、しーっ!」
千佳が慌てるも、琥太郎はあっけらかんとしている。特に悪びれた様子もなく、トレーからチーズバーガーを手に取ると、大きな口を開けて齧りついた。
13
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
【完結】ベイビーダーリン ~スパダリ俳優は、僕の前でだけ赤ちゃん返りする~
粗々木くうね
BL
「……おやすみ。僕の、かわいいレン」
人気俳優の朝比奈(あさひな)レンは、幼馴染で恋人の小鳥遊 椋(たかなし むく) の前でだけ赤ちゃんに戻る。
癒しと愛で満たす、ふたりだけの夜のルーティン。
※本作品に出てくる心の病気の表現は、想像上のものです。ご了承ください。
小鳥遊 椋(たかなし むく)
・5月25日生まれ 24歳
・短期大学卒業後、保育士に。天職と感じていたが、レンのために仕事を辞めた。現在はレンの所属する芸能事務所の託児所で働きながらレンを支える。
・身長168cm
・髪型:エアリーなミディアムショート+やわらかミルクティーブラウンカラー
・目元:たれ目+感情が顔に出やすい
・雰囲気:柔らかくて包み込むけど、芯があって相手をちゃんと見守れる
朝比奈レン(あさひな れん)
・11月2日生まれ 24歳
・シングルマザーの母親に育てられて、将来は母を楽させたいと思っていた。
母に迷惑かけたくなくて無意識のうちに大人びた子に。
・高校在籍時モデルとしてスカウトされ、母のためにも受けることに→芸能界デビュー
・俳優として転身し、どんな役も消化する「カメレオン俳優」に。注目の若手俳優。
・身長180cm
・猫や犬など動物好き
・髪型:黒髪の短髪
・目元:切れ長の目元
・雰囲気:硬派。口数は少ないが真面目で礼儀正しい。
・母の力になりたいと身の回りの家事はできる。
「短冊に秘めた願い事」
星井 悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。
落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。
……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。
残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。
なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。
あれ? デート中じゃないの?
高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡
本編は4ページで完結。
その後、おまけの番外編があります♡
甘味食して、甘淫に沈む
箕田 はる
BL
時は大正時代。
老舗の和菓子店の次男である井之口 春信は、幼馴染みである笹倉 明臣と恋仲にあった。
だが、母の葬儀を終えた早々に縁談が決まってしまい、悲嘆に暮れていた。そんな最中に、今度は何故か豪商から養子の話が持ち上がってしまう。
没落寸前の家を救う為に、春信はその養子の話を受け入れることに。
そこで再会を果たしたのが、小学校時代に成金と呼ばれ、いじめられていた鳴宮 清次だった。以前とは違う変貌を遂げた彼の姿に驚く春信。
春信の為にと用意された様々な物に心奪われ、尊敬の念を抱く中、彼から告げられたのは兄弟としてではなく、夫婦としての生活だった。
猫と王子と恋ちぐら
真霜ナオ
BL
高校一年生の橙(かぶち)は、とある理由から過呼吸になることを防ぐために、無音のヘッドホンを装着して過ごしていた。
ある時、電車内で音漏れ警察と呼ばれる中年男性に絡まれた橙は、過呼吸を起こしてしまう。
パニック状態の橙を助けてくれたのは、クラスで王子と呼ばれている千蔵(ちくら)だった。
『そうやっておまえが俺を甘やかしたりするから』
小さな秘密を持つ黒髪王子×過呼吸持ち金髪の高校生BLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる