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第一章
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しおりを挟む私が転生したのはその世界では大国とされ、かなりの力をもつグリティス帝国。
前世でいう中世ヨーロッパ風の国で、私からしたらおとぎの国のよう。
いくら豪華な暮らしをしていても、海外旅行は家族が好まなかったためあまり経験がなかった。
それもあり、今回のこの世界の転生はとても嬉しかった。
魔法とかがあるわけではない。
でも、そっちに憧れがないからそれは大丈夫。
こんな世界でゆっくりできるなんて夢のよう。
アイシアになって早14年。
公爵令嬢ということもあり、本来なら色々な教育を受けるために多忙な日々を送ってもおかしくない。
前世から染み付いてしまった敬語も段々と使わなくなっていった。
これも、地味に生きてきたおかげ。
どう生きてきたか。
簡単な話、どんな事にも才能を咲かせなかったのだ。
両親はたくさんのことを学ばせてくれたけど、私はそんなものに興味はない。
冷めた子と思われるかもしれないけど、時間を費やしたいと思うものは何一つなかったのだ。
ただ、のんびり…ゆっくりしたい。
たくさん学ばせてもらったけど、どれも前世では完璧にこなしていたものばかり。
一度そこまでいったのだ。
今回熱中する必要はないだろう。
そうやって、少々わざとらしく自分には才能が無いことを両親に見せつけ"もうやらなくても良いよ"という言葉を何度ももらった。
両親は残念そうにしていたが、裏で私が喜んでいたなんて知る由もないだろう。
こうやって、本当に何も才能がない平凡すぎる子を演じた。
絶対に身につけなければいけない礼儀作法などはすでに終わらせた。
今では一日中自由と言っても過言ではないくらい。
時々、数少ない友達とお茶をしたりする。
それ以外はのんびりと暮らしている。
この国の女性は16歳から花嫁修業という名の勉強をしに学園へ通う。
貴族の女性はほとんどが貴族の男性へ嫁ぐので、社交界についてなどを学ぶ。
まぁ、正直言ってそれぞれが家で学んだことを最終確認しに行くようなものなのだが。
ここで大事なのは己の人脈づくりだろう。
この国の爵位は王族を除けば、公爵・侯爵・伯爵・男爵・子爵である。
国中の年齢を満たした貴族の子ども全員が集まるので、関係づくりにはうってつけの場だ。
他には恋愛婚に憧れる貴族にももってこいの場所なんだとか。
16歳からは学園は共学らしい。
前世はずっと女子校だったからどんなものなのか少しだけ楽しみ。
でも学園では、ひっそりと生きよう。
絶対に目立つことなんてしない。
静かに過ごしたいから。
まぁ、まだあと2年あるからな。
それまではのんびり生活を楽しもう。
毎日充実してて嬉しいな。
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