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離れ離れ

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次に着いたのは図書館だった。
前回のスーパーの件もあって、怪しかったのだが、館員さんが優しかった物で、特別に……って話になった。
オレ達は犬の資料がありそうな所を見つけ、その辺を漁った。
「こんな所に解決法があるのか?」
「まあここの図書館に頼る」
ないと思う―が、今はネットや本で調べてみるしかない。
漁っていると、オレは『ドッグフードの美味しい食べ方』という雑誌を見つけた。
オレはそれを片手にジュラルに見せつけた。
「なあ、見てくれ!ドッグフードの美味しい食べ方だってよ!!」
「今はそれどころじゃない。てかそんな本あるのか……」
少し興奮気味のジュラル。―ついでにコレも買っとこうかな?
その時、りんがすぐそばで叫んだ。
「ねえ、みんな!!『犬になってしまった時の対処法』だって!!」
オレと揮、ジュラルが駆け寄る。その本は、まさにオレ達が求めていたものだった。
オレはりんの顔を覗き込んで急かした。
「早く中身を!」
りんは一ページ開いた。QRコードの横に、何か書いてある。
「『コレを読み取ってください』だって」
りんが読み上げると、ジュラルがぐいっと寄ってきた。
みんな見たくてしょうがないんだろう、ページの側はキツキツだった。
揮がスマホを取り出し、QRコードを読み取る。
その瞬間。図書館は光に包まれた。
明るさからして、オレが犬になった時の光だと思う。
「眩しっ!!何も見えねえ!!」
オレの声だけが聞こえた。暫くして、光は消え去った。
ゆっくり目を開ける。そこは図書館ではなく、見慣れない都会だった。
「ここ、どこ……?」
りんが不安そうにオレに寄ってくる。揮も、不安そうな表情を浮かべていた。
そして―

安心したのも束の間、すぐそこにいたはずのジュラルがいなくなっていた。
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