たくげぶ!

みなはらつかさ

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第十九話 ビバ! 流しそうめん!

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「ねーねー、みんな! 明日、流しそうめんやらない?」

「唐突だな、きいろ」

「にこちんがそれ言う?」

 台風一過、突拍子もない提案をZoomで受ける三人。

「いやー。お父さんが、取引先から大量にそうめんもらっちゃて。で、突然やろう! って言い出してさー。せっかくだから、みんなもお誘い。ご家族もどーぞ! むしろ、かもーん」

「相談してみる」

「アタシも」

「それじゃあ、わたしも……」

 Zoom、一旦終了。エクスプのバージョンアップ作業に戻る。

 やがて、Zoomに全員が再集合し……。家族も含め、皆OKとのこと。

「おとーさん、おかーさん! みんなOKだって!」

 階下で、両親に報告するきいろ。

「じゃあ、セットしようか」

「らじゃー!」

 一家仲良く、炎天下でとい作りへ。

「あづい~~……」

 さっそくへばる、我らがリーダー。

「無理せずに、休み休みでいいからね」

「らじゃ~……」

 屋内に戻り、オレンジジュースを一杯やる・・きいろ。

 しばらく涼んでいると、母と入れ替わりに外に出る。

「普通のそうめん大会でよくない?」

「やっぱり、イベント事には凝りたいじゃないか」

「わかっちゃう自分が憎い」

 何だかんだ言いながら、三交代制で樋を作る佐武家であった。

 翌日……。

「ちーっす! こんにちはー!」

「大須さんご一家、おはよーございます。みんなが来るまで、涼んでてください」

 最初に来たのは、大須家。以後、奥野家、工藤家と続く。

 皆、客間で涼みながら、他家との交流を深めている。

「いやー、うちのるうが、お世話になりまして」

「いえいえ、こちらこそ」

 この様な感じ。やがて、時計針はてっぺんを指し。

「え~。では、お時間となりましたので、流しそうめんを始めたいと思います」

 佐武家父のアナウンスに、テンションが上がる一同。さっそく、装置を持って中庭に。

「まずは、水できれいにしまーす」

 佐武家一同で、ペットボトルの水で洗浄しつつ、水の流れをチェック。

「問題ないよー」

「じゃ、流そう」

 まずは佐武父母が、ペットボトルで水を流しつつ、茹でそうめんを流す。

 まずは、子供ファーストということで、るうが一番に手を付ける。

「んん! 美味しいです!」

 お日様笑顔。

「次いくよー」

 年下から順に、そうめんを取っていく。

(あっ……! 大須先輩が取りこぼしたそうめん!)

 目ざとく気づき、はっしと取る。微笑む歌留奈。気づかない当事者と、我らがリーダー。

「そーいえば、きいろ。エクスプどのぐらい進んだよ」

「とりあえず、武器データ三分の一ぐらいかな。そっちは?」

「こっちは、NPC作りと、地図の詰めかな……よっと」

 今度は取りこぼさずに、受け切るにこ。

「ああ、きいろたちが作ってるっていうゲームだね。父さん、応援してるよ」

「ああ。るうちゃんそんな事やってるって、楽しそうに話してましたっけ」

 親御さんたちで、話に花が咲く。

「なーんか気まずいな」

「ていうか、照れくさい」

 無言でそうめんをすする、にこと歌留奈たちであった。

「どしたのー? そうめん食べると無言になっちゃうのわかるけど、もっとおしゃべりしようよー」

 さすがは、我らがリーダー。見事に空気が読めない。

「えーと、モンスターっていうか、現地生物とか、アーク帝国の敵は、どうデザインしていきます?」

「あー、それ決めてなかったな!」

「ボクが、戦闘力とか設定できたらいいんだけど、さすがにしんどいかなー」

 ちらっと、父を見るきいろ。

「父さんが手伝ってもいいけど、それだと自分たちのゲームじゃ、なくなっちゃうんじゃないかな?」

「むう……。そうだよねえ。敵は、みんなで手分けして設定しよう」

「おー!」

 こっ恥ずかしさも吹き飛び、意気上がる少女たち。

 流しそうめん大会も無事終わり、皆で樋を解体したあとは、食後の歓談。

 子供たちは、客間でゲームを楽しむのであった。
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