たくげぶ!

みなはらつかさ

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第十八話 波乱の石器時代!

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「雨、すごいねー」

 いつものようにZoomで、一同とライブチャットするきいろ。

 雨風が、激しく窓を揺らしていた。

「さすがに、きーちゃんのおうちに行くのも無理だねー」

「だったら、あれやらん? BGA!」

「なんですか、それ?」

 初心者るうが、疑問を口にする。

「ああ、スマホとかで、ボードゲームとかカードゲーム遊べるサイト。いつぞやの、ウィングスパンなんかもあるぜ」

「すごいですね!」

「それほどでもねーぜ」

 チグハグなようで、裏で噛み合ってる二人の会話。

 「いや、BGAのことだよね?」と、相変わらず鈍感な、我らがリーダー。

「話を変えて……何やる?」

 きいろにややこしくされる前に、話を切り替える歌留奈。

「ストーンエイジとかどーよ」

 ストーンエイジとは。石器時代をモチーフにしたゲームで、建物や文明カードで優劣を争うボードゲームだ。

「いいね! ボクもそれで!」

「わたしも、よくわからないので、それでいいです」

 満場一致。

「じゃ、ログイン~。るーこは、アカウント作って」

「は、はい!」

 るうの到着を待ち、一同着席・・

「すみません、手間取ってしまって」

「キニシナーイ! じゃ、始めよ~」

 るうはストーンエイジ初体験なので、にこが背後霊となって、裏でレクチャーしながらの三人プレイだ。

 初手、るうにこコンビ。いきなり人口増加。

「うわ、アレやる気か、にこちん!」

 ストーンエイジには、人口と食料の概念がある。

 人数-食料レベルの数値がないと、飢饉になるのだが……。

「うわー。私か。無難に食料で」

「ボクは、木を採るかな……」

 続いて、食料や物資を調達しにいく場面になるが……。るうにこコンビ、きいろに引き続き、目もくれず木材へ。

 さっきも説明したとおり、食料を与えないと、マイナス十点という、大きなペナルティになるのだが……。

「にこちん、本気でアレやるみたいだよ!」

「初心者に、エグい戦法教えるなあ……」

 二人は、警戒心マックス。

 るうとにこは、地蔵モードで不気味だ。

 その後も、ペナルティを気にせず、人海戦術で押していく、るうにこ。

 二人がやっているのは、ペナルティを気にせず、人口とハンマーで、ひたすら出力を高めるというプレイング。人手とハンマーがあると、物資の出力が上がる。

 一見無茶苦茶だが、実は相当強力な戦法である。

 結果、るうの勝利。

「にこちゃん、初心者に荒っぽいプレイ教えないでよ~」

「だって、アタシの得意戦法だもんよ」

「そうだけど。ねえ……?」

 初心者がいきなりパワープレイを覚えてしまったことに、懸念を覚える二人。

「ほんじゃ、次は歌留奈あたりが背後霊やってくれ」

「あ、わたし大須先輩がいいです!」

「るーこ、にこちんも遊びたいんだよ」

 鈍感リーダー、正論でるうの想いを無下にしてしまう。天然である。

「わかりました……奥野先輩、お願いします」

「あ、うん」

 選手交代。この後、裏でるうを慰めるが、そこは割愛。

 歌留奈のは、にことは逆に、至極オーソドックスな、食料とハンマーを重視するスタイル。

 しかし、裏目。にこの人海戦術に潰されてしまう。

(あちゃ~……。るうちゃんに、変な癖がつかなきゃいいけど)

 心配する歌留奈だが、るうに感謝を深く述べられ、軌道修正がしにくい。

「もっかいやろー」

「背後霊いるか?」

「いえ、大体コツは掴みましたから!」

 (あちゃー、掴んじゃったかー)と、画面の向こうで、額に手を当てる、きいろと歌留奈。

 その後、人海戦術プレイヤーが二人、大暴れする展開になりましたとさ。

 さすがに、きいろと歌留奈がダウンし、ストーンエイジは一旦中断。

 平和な、HANABIを楽しむことに。

「いやー、ほっこりするねえ」

「だねー」

 先程の悪夢を忘れ、安らぎを得る平穏コンビ。

「やっぱり、こういうのもいいですねー」

「だなー」

 バーサーカーコンビも同意。

「ふ~。楽しかった! 課題やらないと~」

「だね。エクスプも進めなきゃね」

「うん。頑張る!」

 うーんと伸びをした後、歌留奈の言葉に、気合十分に答えるきいろ。

 こうして、波乱と平穏の、BGA大会はお開きとなった。
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