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婚約破棄してもらいに行ってきます!
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やばいわ!この究極のキラキラ度だと、直視してたらまともな会話出来ないわ!早々に婚約破棄してもらって別れましょう!
ただ、これだけイケメンだったら、そりゃあ婚約者がいると分かっていても、令嬢たちはこぞってルイスに近づきたがるでしょうね。色恋沙汰の噂のひとつやふたつ、尾ひれ背びれがついて盛り上がるはず。
噂を舐めてたわ……反省……。
「久しぶりだね、リリー。キミとは手紙のやりとりは何度もしているけれど、こうして顔を合わせたのは8年前依頼だ。とても美しくなった」
「お、お久しぶりでございますわ。いつもルイス様から頂くお手紙は本当に楽しみにしておりました」
「その後、侯はいかがお過ごしだろうか。父も昔からの友人である侯爵が王都を離れると話を聞いたときはとても落ち込まれていらっしゃった」
「父はとくに病にかかることもなく、日々、悠々自適な生活を送られていらっしゃいますわ。最近ですと釣りが楽しいようで、山の方の湖に毎日出かけていらっしゃいますわ」
「釣りか、それは羨ましい」
少し目を伏せて、できるだけルイスの顔を直視しないように気をつけながら返事をした。
ルイスの手紙が楽しみ?真っ赤な嘘に決まっている。王都から届けられる手紙が憂鬱で憂鬱でたまらなかった。
でも、声も前はもう少しハスキーなイメージだったけど、低くなって落ち着いた声ね。
「ところで急にリリーが王都へ来るには、何か理由があったのではないだろうか」
世間話を一通りしたところで、ルイスが頃合を見て話の本題へと誘導してくれる。
それを待ってましたとばかりに、声を震わせ脅えたような演技をしながら、今日の本題を切り出した。
「実は折り入って、ルイス様にお願いがあって田舎より出てきましたの。どうか私の切なる願いをお聞き届けくださりたく……」
「何だろうね。遠慮することなく言ってほしい」
「ルイス様と私の婚約ですが、無かったことにしていただきたいのです」
「つまり?」
ここで一呼吸を置いて、
「婚約を破棄したいのです」
よし!言えた!
いい訳はここに来るまでに準備してある。田舎暮らしをずっとしてきた自分には王都での暮らしは到底無理であること。年齢もまだ16で若すぎて、第一王子であるルイスを隣で支えるにはとても心許ないこと。まだ元気だとはいえ父親を田舎に1人残すには心配だから、一緒に暮らしたしたとということ。他にも質問されたときの答えは沢山用意してある。
突然婚約破棄を申し出られたルイスは驚くだろうけれど、こんな田舎娘と結婚するよりは洗練された王都の令嬢たちの誰かと結婚したほうがきっといい。
だいたいルイスは私のことなど、初めから嫌っていて、うっとおしいと思っている筈なのだ。親同士が勝手に決めた田舎臭い婚約者のガキ。それを証明するように嫌味な手紙に嫌味な贈り物ばかりを私に贈ってきていた。
一度くらい少し考えさせてほしいと返事を延ばされるかもしれないけれど、心の中では間違いなく万々歳しているに違いない。建前として話を伸ばそうと、コレ幸いに婚約破棄を承諾してくれるだろうと、その返事を心待ちにしていたら、
「ロイド、リリーを俺の部屋に閉じ込めておけ。逃がすなよ。だいぶ高飛車に育ったようだ」
「はっ!」
部屋に控えていた衛兵に、私を閉じ込めておくよう冷たく命令し、ルイス本人はさっさと部屋から出て行ってしまった。あまりの展開に頭が付いていけない。
はい?
いくら婚約破棄を言い出したからって、一国の王子がか弱い女性を部屋に閉じ込めておけって、そんなの許されるんですか?
そんなの想定外過ぎて、何の用意もしてないんですケド
ただ、これだけイケメンだったら、そりゃあ婚約者がいると分かっていても、令嬢たちはこぞってルイスに近づきたがるでしょうね。色恋沙汰の噂のひとつやふたつ、尾ひれ背びれがついて盛り上がるはず。
噂を舐めてたわ……反省……。
「久しぶりだね、リリー。キミとは手紙のやりとりは何度もしているけれど、こうして顔を合わせたのは8年前依頼だ。とても美しくなった」
「お、お久しぶりでございますわ。いつもルイス様から頂くお手紙は本当に楽しみにしておりました」
「その後、侯はいかがお過ごしだろうか。父も昔からの友人である侯爵が王都を離れると話を聞いたときはとても落ち込まれていらっしゃった」
「父はとくに病にかかることもなく、日々、悠々自適な生活を送られていらっしゃいますわ。最近ですと釣りが楽しいようで、山の方の湖に毎日出かけていらっしゃいますわ」
「釣りか、それは羨ましい」
少し目を伏せて、できるだけルイスの顔を直視しないように気をつけながら返事をした。
ルイスの手紙が楽しみ?真っ赤な嘘に決まっている。王都から届けられる手紙が憂鬱で憂鬱でたまらなかった。
でも、声も前はもう少しハスキーなイメージだったけど、低くなって落ち着いた声ね。
「ところで急にリリーが王都へ来るには、何か理由があったのではないだろうか」
世間話を一通りしたところで、ルイスが頃合を見て話の本題へと誘導してくれる。
それを待ってましたとばかりに、声を震わせ脅えたような演技をしながら、今日の本題を切り出した。
「実は折り入って、ルイス様にお願いがあって田舎より出てきましたの。どうか私の切なる願いをお聞き届けくださりたく……」
「何だろうね。遠慮することなく言ってほしい」
「ルイス様と私の婚約ですが、無かったことにしていただきたいのです」
「つまり?」
ここで一呼吸を置いて、
「婚約を破棄したいのです」
よし!言えた!
いい訳はここに来るまでに準備してある。田舎暮らしをずっとしてきた自分には王都での暮らしは到底無理であること。年齢もまだ16で若すぎて、第一王子であるルイスを隣で支えるにはとても心許ないこと。まだ元気だとはいえ父親を田舎に1人残すには心配だから、一緒に暮らしたしたとということ。他にも質問されたときの答えは沢山用意してある。
突然婚約破棄を申し出られたルイスは驚くだろうけれど、こんな田舎娘と結婚するよりは洗練された王都の令嬢たちの誰かと結婚したほうがきっといい。
だいたいルイスは私のことなど、初めから嫌っていて、うっとおしいと思っている筈なのだ。親同士が勝手に決めた田舎臭い婚約者のガキ。それを証明するように嫌味な手紙に嫌味な贈り物ばかりを私に贈ってきていた。
一度くらい少し考えさせてほしいと返事を延ばされるかもしれないけれど、心の中では間違いなく万々歳しているに違いない。建前として話を伸ばそうと、コレ幸いに婚約破棄を承諾してくれるだろうと、その返事を心待ちにしていたら、
「ロイド、リリーを俺の部屋に閉じ込めておけ。逃がすなよ。だいぶ高飛車に育ったようだ」
「はっ!」
部屋に控えていた衛兵に、私を閉じ込めておくよう冷たく命令し、ルイス本人はさっさと部屋から出て行ってしまった。あまりの展開に頭が付いていけない。
はい?
いくら婚約破棄を言い出したからって、一国の王子がか弱い女性を部屋に閉じ込めておけって、そんなの許されるんですか?
そんなの想定外過ぎて、何の用意もしてないんですケド
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