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「英羅が作んのか……」
「え?料理?できるよ。まあこの豪華さには負けるけど、好きだったし。でも前のアパート狭くてさ。会社のキッチンあってそこでよく作ってた……最初のうちだけだけど」
結局どんどん気持ちが沈んで疲れて、それが繰り返して次第に遠のいてしまったが。
だけどよし、2人が心なしか嬉しそうにしている。なんだか分からんが効果はありそうだ。
それにしても手料理で喜ぶなんて、この世界の俺2人のためにホントに何もしてなかったんだ。
兎に角、手遅れかもしれないが貞操を守るために畳みかける。
「絶対今の方が楽しいし、2人のこと構う時間なんて何時間も増えるじゃん。んね?いい事づくしでしょ?」
笑って言えば2人はまあ……とか言いつつ何とか納得しかけていた。だけどやはり代償が大きいのかなかなか頷かない。
他に何かあるか。
てゆか親友と遊ぶって何だ?28歳のニート暮らし引きこもり監禁生活はどうしたらいいんだ?!これ以上の名案が思いつかず悩んでいると来夏がおずおずと俺の袖を触れてきた。
「ん?」
「……でもやっぱり、触れるのも、だめ?」
来夏の目が一瞬で熱を帯びる。
あんなに宝石のように綺麗な目がこんな時だけ人間らしく見えるのは何故だ。しかも上目遣いで顔だけは可愛い顔してくるのは無意識か。
昔からこの顔に弱かった。
だって可愛いんだよこいつ男のくせに。ホワッてしててさ。今はオーラが怪しいけど。
「ふ、触れるって……?」
「こうして……君を撫でる」
来夏の綺麗な手が俺の太ももを撫でた。撫で方が明らかに普通では無い。
「アウト!」
「ええーー?!」
これもダメなの?!って顔すんなよ。
ダメだわ。普通にダメだわ。何親友の足意味ありげに撫でてんだよ。
「じゃあ、どこまで良いんだよ」
知秋が呆れたように聞いてきた。
知秋はもしかしたら俺の願いを一応聞き入れようとしているのかもしれない。だけど顔にはしっかり書いてある。
ぜってえその約束はいつか無くすと。
それでも今は目の前の危機を一旦でも先延ばしにしたい。
「うーん、高校の時と同じレベル、だな。つーかもともとお前ら距離感バグってたし……かなりの譲歩」
「ふーん……じゃあハグもキスも言い訳だ」
「……え?」
ハグはしてた、記憶がある。なんか事あるごとに抱きついてくるから俺も慣れてしまっていた。だけど、キス?した事ねぇよ。
「流石に嘘つくなよ!した事ねぇよ」
「あるよ?」
「え?!」
「お前寝ぼけて俺らの頬にキスした事あるんだよ」
来夏が嬉しそうに、知秋がしてやったりな顔で笑っている。何だそれ、寝ぼけて?
「覚えてないからダメ」
「おいおいおい、流石にそれはひでぇんじゃねえんの。言っとくけどそのエロい事は気分次第でやってたんだ。好きなやつを前にしてエロいことを俺はノーなんて言ったことねぇ。それをいきなり無くす代わりにこっちはキスで我慢してやろうって言ってんだよ」
ああ、知秋ってこう言うやつだった。頭の回転が速くて、口がうまい。しかもど畜生の俺が行った非道な行為の痛いところをついてくる。口元にあるほくろが悪魔の笑みに色気を出すのだ。
「……口以外なら、許す」
だから、こう口走っても仕方がないだろう。
「え?料理?できるよ。まあこの豪華さには負けるけど、好きだったし。でも前のアパート狭くてさ。会社のキッチンあってそこでよく作ってた……最初のうちだけだけど」
結局どんどん気持ちが沈んで疲れて、それが繰り返して次第に遠のいてしまったが。
だけどよし、2人が心なしか嬉しそうにしている。なんだか分からんが効果はありそうだ。
それにしても手料理で喜ぶなんて、この世界の俺2人のためにホントに何もしてなかったんだ。
兎に角、手遅れかもしれないが貞操を守るために畳みかける。
「絶対今の方が楽しいし、2人のこと構う時間なんて何時間も増えるじゃん。んね?いい事づくしでしょ?」
笑って言えば2人はまあ……とか言いつつ何とか納得しかけていた。だけどやはり代償が大きいのかなかなか頷かない。
他に何かあるか。
てゆか親友と遊ぶって何だ?28歳のニート暮らし引きこもり監禁生活はどうしたらいいんだ?!これ以上の名案が思いつかず悩んでいると来夏がおずおずと俺の袖を触れてきた。
「ん?」
「……でもやっぱり、触れるのも、だめ?」
来夏の目が一瞬で熱を帯びる。
あんなに宝石のように綺麗な目がこんな時だけ人間らしく見えるのは何故だ。しかも上目遣いで顔だけは可愛い顔してくるのは無意識か。
昔からこの顔に弱かった。
だって可愛いんだよこいつ男のくせに。ホワッてしててさ。今はオーラが怪しいけど。
「ふ、触れるって……?」
「こうして……君を撫でる」
来夏の綺麗な手が俺の太ももを撫でた。撫で方が明らかに普通では無い。
「アウト!」
「ええーー?!」
これもダメなの?!って顔すんなよ。
ダメだわ。普通にダメだわ。何親友の足意味ありげに撫でてんだよ。
「じゃあ、どこまで良いんだよ」
知秋が呆れたように聞いてきた。
知秋はもしかしたら俺の願いを一応聞き入れようとしているのかもしれない。だけど顔にはしっかり書いてある。
ぜってえその約束はいつか無くすと。
それでも今は目の前の危機を一旦でも先延ばしにしたい。
「うーん、高校の時と同じレベル、だな。つーかもともとお前ら距離感バグってたし……かなりの譲歩」
「ふーん……じゃあハグもキスも言い訳だ」
「……え?」
ハグはしてた、記憶がある。なんか事あるごとに抱きついてくるから俺も慣れてしまっていた。だけど、キス?した事ねぇよ。
「流石に嘘つくなよ!した事ねぇよ」
「あるよ?」
「え?!」
「お前寝ぼけて俺らの頬にキスした事あるんだよ」
来夏が嬉しそうに、知秋がしてやったりな顔で笑っている。何だそれ、寝ぼけて?
「覚えてないからダメ」
「おいおいおい、流石にそれはひでぇんじゃねえんの。言っとくけどそのエロい事は気分次第でやってたんだ。好きなやつを前にしてエロいことを俺はノーなんて言ったことねぇ。それをいきなり無くす代わりにこっちはキスで我慢してやろうって言ってんだよ」
ああ、知秋ってこう言うやつだった。頭の回転が速くて、口がうまい。しかもど畜生の俺が行った非道な行為の痛いところをついてくる。口元にあるほくろが悪魔の笑みに色気を出すのだ。
「……口以外なら、許す」
だから、こう口走っても仕方がないだろう。
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