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care!!
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しおりを挟むクラブに来たらいざという時教えてやる。と肩を震わせながら先輩達が先に帰って行った。全力で授業を受けたおれたちは速攻でクラブにお邪魔していつもの部屋に駆け込むのだ。
だいたいおれたちの勉強法は決まっている。
「まず全部にざっと目を通すか……」
「あーあ、本当ここまで抜けてる事今までなかったよ」
「おれも試験のことなんてすっかり」
落ち込みながらも軽くさらって頭に叩き込んでいく。1人が飽きたら横から無理やり読み上げると言う支え合い方式である。
「お前ら頭良かったなんてまじで驚きだわ」
「ひどーい……式は試験前だから部活なし?」
「ああ」
桃花は一緒にここまで来たけど、やる事があるからと部屋を出て行ってしまった。
「頭いいとは言ってもおれら1人じゃ勉強できないからひたすら一緒にやんの」
「問題出し合ったり、自分が覚えたところ読みあってワザと邪魔したりしてるうちに意外とそれを覚えてたりとか」
「なんでも、楽しんだもんがちだよね」
パラパラと教科書とノートをめくりながら言うおれたちに式が珍しく褒めるように笑った。
「お前らのそう言う所はマジ尊敬してる」
「やりい!」
「他はもう本当にアレだけど」
アレってなんだいアホってことかい。
式は兎にかく暗記の日、らしいのでひたすら英単語と歴史を覚えていた。クラブで試験勉強をするおれたち真面目なのか不真面目なのかよくわからない構図だ。
勉強で今おれが大変な事と言えば、指は動かして良いとはお医者さんに言われたけど、やっぱりちょっと動かすと痛い。これの腕がちょっとめんどくさいところだ。
「おー……やってるな」
ドアに片腕で寄りかかった氷怜先輩が未だ面白がるように笑った。
「ここで勉強なんてしてんのお前らが初めてだな……ふ、ははっ」
もはや何しても笑いが取れそうだ。余裕綽々な氷怜先輩はいつもより機嫌がいいのか口角が少し高い。
「先輩たちはこんな地道にやらないでしょうけどー」
むくれたおれの頭をむくれるな、ってくしゃりと撫でる。
ローテーブルなので床に座っていたおれたちの横にゆっくりしゃがむとその端正な顔がニヤリと笑った。
「唯斗、ノートと教科書」
「え、はい」
手が差し出されたので二冊を渡す。
「これももらうわ」
ひょい、と付箋を取った氷怜先輩の指がパラパラとページをめくっていく。迷いなく付けられていく付箋が最後のページまで行くとすぐに返された。暗記系の教科全てだ。
「ここ覚えれば大丈夫だろ」
「え、え?!」
すごい、山当てどころか言い切るところが。侮れないどころか、なんだかよくわからない神様のような力があるようにしか見えない。
「先輩、天才……?」
「うちの教師がわかりやすいんだよ……数学も英語も教科書どおりやってりゃどうにかなる」
感動で付箋のついた教科書を崇め出したおれたちを横目にすっと立ち上がると、またフロアに戻るようだ。もしかしたら話し合いの途中だったのかもしれない。
「式、キリのいいところでこっち顔出せ」
「はい!」
ハッとしながらも答えた式がその背中に向かって返事をした。氷怜先輩が持ったノートも教科書もなんだかキラキラして見えた。
「やっぱカッケェなぁ……」
「狡いよねぇ」
秋と優が完敗と笑うがおれはまだ教科書に見とれていた。
「おれこれ家宝にする……」
「そうしとけ」
そう言いながら式もキラキラした目で氷怜先輩が付箋つけたノートをガン見してた。
素直じゃないなぁ。
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