141 / 379
care!!
7
しおりを挟むひざ掛けにくるまってたけど寒さで思わずくしゃみ連発。
「へっくちん!!」
「あーあー風邪引くなよ」
秋が風よけとばかりにおれの横にくっつくとそれだけであったかい。流石に屋上の季節は終わりなのかもしれない。
桃花が立ち上がり自分に着けていたマフラーをおれの首に巻いた。めちゃくちゃ良い匂いするけど香水じゃない桃花の匂いだ。
「休み時間終わるし一旦戻りますか……氷怜さん達は帰られますか?」
「ああ」
「うえ?」
帰るの?と首を傾げたおれ達に大きな手が乗せられた。
「今日はちょっと用があるからな」
忙しいのか、今日もしかしておれたちが集まるから来てくれてのかも知れない。
「ていうか……先輩たちほとんど来てないですよね。なんでそれで進級いけるんですか……しかもテストもほぼ一位だし」
赤羽さんも氷怜先輩も暮刃先輩も瑠衣先輩までも必ずトップ5に名を連ねている。
優がお弁当を片しながら不審な目で暮刃先輩を見上げる。暮刃先輩がその視線に笑顔を崩すことは無く、冷たくなった優の頰を撫でる。
「内緒」
「うわでた、内緒」
「優たん眉間にシワ!ま~ちゃんと賢いのは確かダヨ。アッキーより」
「いやいや、俺引き合いに出されても……」
優の険しい表情に笑ったブイっとピースの瑠衣先輩がそう言う嘘をついたことはない。いや、そうなんでしょうけども。
「頭使わないとこの世界やっていけないですからね」
さらりと答えた赤羽さんの説得力はさすがだが、どの世界のどんな事に使っているのかは怖くて聞けない。
秋がテストかーと呟いたが、テストと聞いて、そんなものがあったなと思い出す。まってテスト……?冬休み前のテスト?
「式、テスト…………っていつだっけ?」
「何言ってんだよ来週の月曜からだろ」
すっかり、うっかり、すっぽり忘れていた。いや授業は聞いていたし、それなりだとは思う。でも暗記とか数学なんてものはまた話が別だ。ただ、おれはまだ良い、なぜなら腕のおかげで今バイトが休みだから。
暮刃先輩がおれの考えに気付いたのか、首を傾げた。
「君たちもテスト前までバイト入れてるんだから余裕なんでしょ?」
「そうですよ唯斗さん達こんな感じですけど学年で必ず10位以内に入ってるじゃないですか」
「え、まじかお前ら」
「唯斗さん……」
赤羽さんなぜおれたちの順位知ってるんですか。張り出される順位は3年の先輩達だけなのに。しかもこんな感じって何ですか。
式は驚きすぎだし桃花のその勉強出来たんだ……的な顔は何ですか?
ただその順位はおれたち3人でちゃんと準備してこなしてきた勉強のおかげだ。
予想通り、秋と優が固まった。
「……あれ、俺ら」
「…………秋、次のバイト何連勤だっけ」
「5連勤……」
今週末の土日はもちろん2人はバイトだ。本来ならばおれもその予定だったから。そして今日は月曜日。
秋が呟く。
「今日と明日しか、勉強する日なくね……?」
「お前ら……あほだろ」
式の呆れ顔はあと何度見るのだろう。
2人が呆然と立ち尽くすその姿は背中に木枯らしが吹いていたが、先輩達は肩を震わせて笑っている。
あまりにも茫然としているので2人に声をかけた。
「ユイノセイ……?」
「今日だけはそう言う事にさせて……」
頭を抱えた2人がちょっと可哀想だったので、今日はそう言う事にしておいてあげよう。
44
お気に入りに追加
1,386
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~
kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。
そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。
そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。
気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。
それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。
魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。
GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。
【BL】男なのにNo.1ホストにほだされて付き合うことになりました
猫足
BL
「浮気したら殺すから!」
「できるわけがないだろ……」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その結果、恋人に昇格。
「僕、そのへんの女には負ける気がしないから。こんな可愛い子、ほかにいるわけないしな!」
「スバル、お前なにいってんの…?」
美形病みホスと平凡サラリーマンの、付き合いたてカップルの日常。
※【男なのになぜかNo. 1ホストに懐かれて困ってます】の続編です。
俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!
しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎
高校2年生のちょっと激しめの甘党
顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい
身長は170、、、行ってる、、、し
ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ!
そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、
それは、、、
俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!!
容姿端麗、文武両道
金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい)
一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏!
名前を堂坂レオンくん!
俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで
(自己肯定感が高すぎるって?
実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して
結局レオンからわからせという名のおしお、(re
、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!)
ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど
なんとある日空から人が降って来て!
※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ
信じられるか?いや、信じろ
腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生!
、、、ってなんだ?
兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる?
いやなんだよ平凡巻き込まれ役って!
あーもう!そんな睨むな!牽制するな!
俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!!
※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません
※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です
※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇♀️
※シリアスは皆無です
終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします
兄弟がイケメンな件について。
どらやき
BL
平凡な俺とは違い、周りからの視線を集めまくる兄弟達。
「関わりたくないな」なんて、俺が一方的に思っても"一緒に居る"という選択肢しかない。
イケメン兄弟達に俺は今日も翻弄されます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる