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date!!!
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しおりを挟む「ん……アレ、寝てた」
いつのまにか時計の針が進んでいた。といっても30分くらい。日付がちょうど変わったところだった。
誰かがかけてくれたのかもふもふの膝掛け、真上を見上げればおれを膝に乗せたまま秋がかくんかくんと船を漕いでいる。
「秋くん~」
「ん……あれ……うわ、唯につられたわ」
ゆっくり目を開けたけど寝ていたことにびっくりしたのか枕が飛び跳ねた。驚いてずり落ちたおれに先輩達がけらけら笑うがそのテーブルの飲み物の量に衝撃を受けた。たった30分でテーブルに空きは無い。
「あれはきっと水だと思う……」
優は起きていたのかバスルームから顔を出した。
「少しははっきりしてきた?」
少し寝ただけなのにしっかり水分をとったからか意識が明確に冴えてきていた。秋に膝掛けをばさっとかけてありがとうと大きめの声で言えばもぞもぞと顔を出した。
「どういたしまして……つうか先輩達よく酔いませんね」
「唯もこの短時間で復活するなら以外と飲めるかもよ」
暮刃先輩がグラス片手に笑うのでちょっと参戦したくなってしまう。男の子だもの。おれの表情から何かを読み取ったのか氷怜先輩から緩いお咎めがきた。
「そのうちな」
「ですよねー」
ソファから立ち上がり背伸びをするともうふわふわした感じはない。うん、いつものおれ。
そして気づく。
「というか椎名に連絡しないと……!」
「ああ、唯が寝た時に俺しといたよ?ほら椎名さん」
秋がポッケからスマホ見せてくれた。チャットの相手はおれの母さん。唯斗をよろしく♡だった。軽いな椎名よ。
瑠衣先輩がソファにだらっとしながら聞いてきた。全然酔っている感じはない。
「椎名って誰ー?」
「唯ママっす」
「名前で呼んでんの?」
けらけら笑った瑠衣先輩。
たしかになかなか母親を名前で呼んでる息子は見たことがないかも。
「ノリが若いから母さんの名前呼びがおれの中で流行ってます……ていうか今日デートって言ってきたんですよね」
「ゲホッ」
暮刃先輩が驚きながらも、お酒をこぼしてしまった氷怜先輩にタオルを渡した。いつでも紳士を忘れない。瑠衣先輩は当然涙をためて大爆笑。
すぐに自分を取り戻した氷怜先輩がおれを見た。すでに迷いのない顔で話す。
「挨拶でも行くか」
「わーい!!」
だって絶対椎名は氷怜先輩を気にいる。
「それに多分大丈夫ですよ。椎名はそういうのは平気なんで……ほら」
だって男の先輩とデートだって言って、さらに泊まってくると知った母親からおれの携帯にはこんな連絡が入っていた。
可愛く産んだからしょうがない、ぺろっと楽しんで♡
隣から覗いた優が椎名さん本当にいいキャラしてるよなぁと呟いた。彼は椎名のキャラをよく知っている。
他のみんなにも見せれば珍妙な顔でおれのスマホを見つめた。瑠衣先輩だけが笑いに追い打ちをかけられて絨毯に転がった。
「親子そろって……ぺろっと……アハハハハハハ!」
「顔も似てますよ、唯ママ。若いし」
さらに笑い出した瑠衣先輩の背中を秋がさすってあげている。氷怜先輩と暮刃先輩も肩を震わせて笑いを噛み殺しているが、全然笑ってくれて構わない。なぜなら椎名はノリがいいそして面白い。
「母さんはおれが幸せならクマと結婚したって構わないって寝言で言う感じですから」
「唯、瑠衣先輩笑いで死んじゃうからその辺でストップ」
もう丸まってプルプル震える瑠衣先輩が流石に心配になったのか秋が飲み物を渡していた。それハッピードリンクだけど大丈夫?
母さんに慣れっこな秋と優はもう次の行動を考え始めていたのかすでにベストを脱いでいた優がバスルームに向かっていった。
「さて、お風呂入ろうかな。お湯ためたし」
「わ!おれもはいる!」
「3人いける?」
優が嬉しそうに当たり前と答えてくれた。なんならそれ以上もいけるのかもしれない。まだくすくすと笑う先輩達が入ってこいよ言ってくれたので、なんならみんなでと誘ってみた。
「ていうか先輩達も入りましょ!」
おれの言葉に笑っていた先輩たちがピタリと止まり、秋と優が目を合わせた。3人でギリギリなのか?暮刃先輩だけが変わらぬ笑顔で返してくれる。
「3人でちょうどいいと思うよ。いってらっしゃい」
「そうですか?あ、おれ先にトイレ行ってきます!」
パタパタとトイレに向かったおれの後ろでこんな会話がされていた事はもちろん知らない。
静かに瑠衣先輩が氷怜先輩の肩を叩いた。
「……試されてんじゃないの、ひー」
「いやもうあれは……」
秋と優がいつかのデジャブのように謝った。
「なんか……すみません」
それから、でっかいでっかいお風呂に3人で入れば次第に遊びに切り替わり、少し酔ったのか瑠衣先輩が上からシャワーをかけてくる遊びで参戦を始める。
反撃したおれたちは全力で瑠衣先輩を風呂に引っ張りながら、わけがわからない状況に爆笑。
結局瑠衣先輩は服のまま風呂に入り、正座でバスローブに身を包んで暮刃先輩に怒られていた。
風呂から上がり髪を乾かして氷怜先輩と暮刃先輩の風呂上がりの色気にやられながも、これまたでっかいでっかいベットに横になっているうちに眠ってしまった。
朝になって氷怜先輩に抱きしめられて寝ていた事にびっくりしてベットから落ちることになるが美味しい朝食に癒された。
そうしてついにデートは幕を閉じたのだった。
「あれ、学校忘れてた……」
「あ」
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