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date!!!
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しおりを挟む最後に原液だと思われる強いものを飲んだからか、一気に酔いがまわってきた。氷怜先輩におんぶされてソファにいた秋の膝を借りて横になると世界がぐるぐる回っている。
「唯、水」
「ありがとう~」
ソファの前でしゃがんでおれを覗き込んだ優がへろへろのおれに冷たい水を渡してくれた。優の手がおでこに来るとその冷たさにすり寄る。
「ひんやり……」
「あほだなぁ本当」
「おれもびっくり~美味しいやつもあるもんだねぇ」
「うわ、酒豪になりそうな発言聞いちゃった」
眉を寄せられて、おもわず笑ってしまう。水を飲めば喉を通る冷たさが気持ちいい。
「氷怜ダメじゃんちゃんと見てなきゃ~」
「瑠衣先輩がブレンドし始めたところからわけわかんなくなりましたよ。俺も結構間違えて飲みましたし。美味しかったですけど」
「あれーオレのせい?」
けらけら笑う笑瑠衣先輩に氷怜先輩が怒ることはなかった。
「……いや、まあ俺も悪かった。唯斗気持ち悪くねぇか?」
「はい~」
どちらかと言えばふわふわと夢心地だ。
ここはもうレストランではない。
最上階レストランから1つ下がって大きな部屋に移動した。高い天井に花の形をした上品なライト。柔らかな光が薄く模様の描かれた壁を照らしていた。
車で帰るのは良いがかなり時間がかかって酔いがまわると判断した先輩達が電話一本でこのホテルの一室を取ってくれた。
明らかに普通の部屋ではないし、クジラが泳いでも問題なさそうなほど広い。そもそもワンダラのホテルってかなり高級なのだ、数個の部屋に赤い絨毯にもちろん犬の置物まで。
「お風呂が俺の部屋くらいあったよ」
優が半ば諦めたような口ぶりで教えてくれた。そりゃこんだけ広ければお風呂もやばそうだ。なんならトイレも広そう。
「ワンダラのホテルきちゃった~!」
「唯もっと水飲んで」
「はい、ごめんなさい」
なんだかんだと感動してしまったおれに秋が反省しろとばかりに口にコップが運ばれる。もう一度水を飲んで目をパチクリさせるとソファの背もたれから頬杖をついて覗く瑠衣先輩がにっこり笑った。
「氷怜理性が保てば良いね」
「へ?」
頭がまだクリアではないのでいまいち内容が入ってこない。
優と秋が何とも言えない顔で氷怜先輩にごめんなさいと謝れば、テーブルを挟んでソファに座る暮刃先輩が小さく吹き出した。
「ごめんなさいって君ら」
「……言っとくけど全員同じ部屋だからな」
「それ、オレらがいるから大丈夫的なやつじゃん……!」
暮刃先輩の横に座る氷怜先輩を指差して爆笑すると、氷怜先輩がそっぽを向く。
暮刃先輩が2人をまあまあとなだめ、おれはおれでこんなに良いお部屋を取ってもらった先輩達にお礼の意気込みを燃やしていた。秋の膝枕の上で。
「絶対お返しするんで……期待しててください!」
力のない拳を握れば氷怜先輩に無邪気な笑顔でバカと小さく笑われる。そんな笑顔見ちゃったらふわふわが強くなっちゃうよね。
足を組み直した氷怜先輩が驚くべき発言をした。
「さてと飲み直すか」
「え、まだ飲むんですか」
「思いがけず長い夜になりそうだしね」
秋の驚きの声に暮刃先輩もにっこりと肯定の返事をした。瑠衣先輩も向こうのソファに移るとパーティ~と嬉しそうに叫び出した。
「あれは悪い大人……」
優がジト目でそう言うので思わず笑ってしまった。
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