sweet!!

仔犬

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date!!!

4

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ワンダラのホラーエリアにはもちろんわんこがいる。
表の通りはハロウィンのように白い布を被ったオバケわんちゃんや、魔女帽子を被ったわんこがいて癒されるのだが、そのホラーエリアの醍醐味はお化け屋敷である。


「しかもゾンビ犬と言う……」
 
「……ここの施設どんな犬好きが作ったの?」


暮刃先輩がお化け屋敷の入り口を見て、珍妙な表情で言った。



「犬好きの俺からすると、そんな姿にさせてしまったことに涙ちょちょぎれの感動ものです……」

「ソコー?」

秋のちょっとずれた感想に首をかしげる瑠衣先輩。それでも楽しみなのか手をブンブンして張り切っていた。秋が殴っちゃダメですよとなだめた。

実際はとってもいい子なわんちゃん達なのだが特殊なメイクがとってもリアルと世界でも大注目。絶対に人には触れない約束もきっちり守り、普段はボール遊びが大好きな彼らのその演技力は受賞ものらしい。

受付の横にはゾンビ化したわんちゃを助けられるのは貴方だけ!と文言がある。

「2人ずつ中に入って下さいね~」
 
「オレらから行くー!」


受付の特殊メイクでゾンビメイクが施された犬耳のお姉さんがにこやかに笑うと、秋の手を高く上げて引っ張るように瑠衣先輩が中に入っていく。
10秒後には秋の悲鳴と瑠衣先輩の爆笑が聞こえてきた。なんて想像しやすい2人なんだろう。

「……瑠衣先輩楽しんでるなー」

「俺らも行くか」


氷怜先輩の腕に掴まって中に入ろうとするが、その前に優を振り返った。彼はホラーが苦手なのだ。


「優無理しなくても……」

「大丈夫だから、ほら行って」


少し硬いがいつも通り腰に手を当てておれを見送ってくれた。暮刃先輩もいるし大丈夫だろうか、本当に嫌だったら優はちゃんと言えるから本人に任せることにした。


ドアを開けるとそのドアが勝手に閉まる。

「おお本格的~」

「優夜は怖いの苦手なのか?」

「んーそうなんですよね、でも自分で行くって言うなら任せようかなと」

「まあ、暮刃いるし平気だろ。最悪あいつに掴まってれば笑いながら抜けてくれる」


さすが行きたいと言っていた張本人だ。あの王子スマイルが崩れることは中々なさそう。


中に進めば真っ暗な病院が嫌にリアルで、氷怜先輩の腕をしっかり掴み直す。頭をポンポンされてちょっと落ち着いた。
ホラー好きだし嫌いじゃないけど、突然叫ばれるとかのびっくり系はどう意識しても驚いてしまうのでそれは仕方がない。

ちなみにストーリーはこうだ。
獣医のロドリゲス先生が飼っていた大好きなわんちゃんのフローラルの死をきっかけに命を蘇らせる研究に没頭する。ついにその薬を完成させたがその薬はゾンビを作ってしまう凶悪なもの、と言う話だ。


「フローラルちゃん出てきますかねぇ」

「メスだったのかそいつ」

「名前からしてなんとなく……」


しばらく歩いて、白衣を着た男の人が倒れている。そのお腹は赤く染まっていた。実験室のようなそこで注射器を握っている。

「ひっ痛そう……」

「ふ、フローラルが……なぜだ……フローラル…………」

「噛まれたんですか?」

男の人は息も絶え絶えにおれに答えた。

「げほっああ、私のことなど、もう忘れていた。げっゲホ、あれはフローラルじゃない……あそこに、置いてあるドックフードに中和剤が練りこまれている……あれを、フロー……ラル、に…………」


ガクッと倒れたその人はおそらくロドリゲス先生だ。素晴らしい演技力で力尽きてくれた。


「フローラルちゃん出て来ますね!これは」

「本格的だな意外と」


持って行けとばかりに器に盛られたドックフードを氷怜先輩が片手で持ち上げる。忘れそうになるが自分たちも犬の格好をしているので、不思議な空間である。


「さて行くか……」


それからはもう、例のごとく大きい音に脅かされわんちゃんに追い回されたりしながらもなんとか切り抜けていく。氷怜先輩は小さくうおと驚くくらいで、よく調教されてんなとか、感心していたけどおれはひーひー頑張って終盤までたどり着いた。

そうして、最後の最後でお腹を空かせたフローラルちゃんに出会う事が出来たのだ。


「あれ、襲ってこない……」


うーと威嚇して襲いかかる気配はあるのに、なんとか抑えているようだった。苦しそう。


「なるほどな、ほら食えよ」

氷怜先輩がフローラルちゃんの元にドッグフードを置いて距離をとった。少し警戒しながらもそのドックフードを食べ始めるフローラルちゃん。その目がだんだんとうとうとし始め、深いシワが嘘のように穏やかな顔で眠りについたのだ。



「こ、これは」

フローラルちゃんを苦しみから解放してあげられたのだ。すっかり感動したおれは氷怜先輩に抱きついたのだが、そんな先輩は違うところに感動していた。



「すげえな……その辺の役者より上手い」


氷怜先輩、多分それ今言っちゃダメなやつです。









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