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territory!!
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しおりを挟む「全く、ディナー中に抜け出すなんて信じられない!私だったら殴り込みしてるわよ、そんな風に育てた覚えありませんけど?!」
カツカツと響くヒールの音と同じように、サクラの口は止まらなかった。瑠衣は指を耳に当て塞ぎ、暮刃は聞いているような聞いていないような笑顔で佇んでいる。その中で1番嫌そうな顔をしている氷怜だけが返事をした。
「育てられた覚えはねぇな」
「はあ、いい子達だしなにも気にしてないみたいだけど丁重に扱うのよ。いくら男の子だからって」
これ以上言い返すとさらにヤジが飛んでくると思った氷怜は話題を変える。こちらとしても早くデートに行ってほしいところだ。
「……サクラ、要件はなんだ」
「話を変えたわね……はぁ、ネロの子がうちの店に来たわ……もう期日は決まった?何か聞き出してほしい事があればと思って」
サクラの言葉に氷怜は口角を上げた。よくやったと言いたげだ。
「なるほど……試合は2週間後だ……後で連絡する」
「はいはい。あ、あの子達巻き込んじゃダメよ」
「言われなくても」
VIP用の出入り口まで来れば、サクラのデート相手が車で迎えていた。サクラが手を振ると相手も振り返す。いつ見ても優しげで品がいい。氷怜にはなぜこんな口うるさいサクラが彼の心を射止めているのか不思議だった。
暮刃が思い出したように手叩く。
「記念日じゃなかった?今日は」
「あら暮刃くんよく覚えてたわね……今日こそ言ってくれるかしら」
心なしかいつもよりも彼女がご機嫌なのは唯斗のおかげだろうか。振り返ったサクラが通路の向こうを見た。その奥の唯斗達のいる部屋だ。
「ねぇ、あの子達とまたお話しししたいわ」
「姉さんまで付けさせて、そんな気に入ったの?」
「だってなんだか可愛かったんだもの。弟に欲しくて……」
わがままな子供のような言い分に氷怜は呆れ返った。しかし彼女のこういう部分が気に入ってチームに所属しているのだ。大人を振りかざさない彼女を。
彼女にしては珍しく年相応の大人の表情で氷怜を見つめた。
「氷怜くんの愛に特別があったなんてね」
「自分でも驚きだな」
チームの全てに愛を捧ぐ男は誰よりも人望が厚い。だからこそ特別な目を唯斗に向けていたことにサクラは驚いていた。
続けて困ったように瑠衣と暮刃を見る。
「暮刃くんも瑠衣くんも気になってるならちゃんとしないと……」
「氷怜にも同じこと言われたばっかりだよ、十分耳に残ってる。ねえ、瑠衣?」
「オレはする事もなにも変わらないから、やりたい事するだけ」
珍しくまともに瑠衣が返事をするのでサクラは少し笑ってしまった。なぜこの子はだらしがないふりをするのだろう。
「まあ、あの子達一筋縄では行かなそうよ?唯斗くん筆頭にすごいいい味してるんだから」
「まあね、面白い子達デショ」
なぜか自慢げに瑠衣が胸を張った。なにかを拾った飼い主の気分だろうか。
「ネロ思ったよりも不穏な空気みたいだけど、あの子たち巻き込まないでよ」
「そのつもりだ」
「それならいいわ」
車に近づき暮刃が助手席を開ける。するりと乗り込んでサクラが笑った。
「私もディナー中にお邪魔しちゃったし、人のこと言えないわね。あの子達と赤羽くんによろしく」
バイバイと手を振って車が動いていった。
瑠衣だけが大きく手を振って聞こえもしない返事を投げかる。
「……やっと帰ったか」
「サクラちゃんパワフルだからねぇ」
「さて戻りますか」
三者三様にため息をつき元の道を辿る。
「それにしても驚いたね、女性相手の彼らがあんな感じだったなんて」
「いろんな顔するよねーアノコ達」
「……」
氷怜が2人の言葉で唯斗を思い出し、眉間にシワがよる。覗き込んだ瑠衣がすかさず爆笑し始めた。
「ひーが苦悩してる!」
「こらこら笑わないの」
コツンと暮刃が瑠衣を咎めるも笑いがすぐに引くことはない。
「お前らだって同じじゃねえか……」
「んーまあ、氷怜ほどでは無いし。今は面白い方が強いからね」
「オレは今のところ遊びたいから」
2人は2人なりの興味があるようだが、深く聞くほど無粋では無い。
そしてネロが頭をよぎった。
巻き込まないとは言ったがご指名が入っている。
考える氷怜に気付いた暮刃が聞く。彼もまた同じことを考えていたのだ。
「どうするかは本人達に決めてもらうんだろう?」
「ああ、別に参加したところでなにをさせるわけでは無いからな」
「厳重に守ってオモテナシ~?」
瑠衣の適当な考えに少し笑うと氷怜はドアに手をかけた。
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