逢魔刻に氷菓を手折り

茉莉花 香乃

文字の大きさ
47 / 89
東雲

11

しおりを挟む
「えっと…ちか、こっちだよ…」

尊は自分より大きな親彬を抱きしめた。

やる気満々である。

セックスにこれだけ積極的に取り組むなど、平成にいた尊では、想像できないだろう。

(先ずは…ムードが大切だよね!)

苦笑いの親彬に顎を持たれ、キスをされる。 

(あれ?これは、主導権が…えっ?奪われた?)

侵入してきた舌に翻弄される。歯列を確かめるように順に舐られ、身体が震えた。

「…ぁの…ぁぁっ…んっ、ふぅん…」

舌を根本から絡めたり、甘噛みされるとだらりと力が抜けた。

(ううっ…降参です…。親はやっぱり僕ではダメなんだ)

「ううっ…ぐっ…ううっっんっ…」
「ん?どうした、尊?口付けは嫌だった?昨日は…」

こんなことで泣いてはいけないと思うけれど、後から後から溢れてくる。

「だって、だって…、ううっ…ひっく、親が…親が…」
「俺?俺、何かした?」
「やっぱり、僕じゃ、やっ、なん、でしょ?ごべ、ね、ううっ、ご、べ、んっ、ね…ぐっ」
「えっ?ち、違!違うって」
「な、に、ぐっ…ひっく…が?」
「えっと、尊が俺の事、抱いてくれるんだろう?」
「でも、だっ、て、親は…」
「俺、嫌だなんて一言も云ってないぞ?」
「あっ!」

(確かに!)

「俺だって安倍さまに抱かれるとか、想像するだけで嫌なんだけど」

誰に突っ込まれるのも本当は不本意であるとは、今の尊には云えない親彬であった。でも、誤解はといておかないといけない。

「昨日、尊は云ってくれただろ?俺が良いって。嬉しかったよ。俺も尊が良い。安倍さまにも宣言してくれてたじゃん」

「じゃ、じゃあ…僕が…」

(主導権を、僕に!たとえ上手くできなくても、何とか親彬を気持ちよくしてあげなきゃ!親だって、されるのは初めてだから、僕と同じで緊張…はしてないかもだけど、きっと、何時もとは違うはず)

「でも、これは二人でスルことだろう?お互いの気持ちが同じならさ…」
「でも!でも、このままじゃ…僕…気持ちよくて、何もできなくなっちゃうよ…」

(力が抜けて、昨日のようにされるがままに流されて…。ちゃんと抱いてあげなくちゃいけないのに)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

処理中です...