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1週間の休暇デート
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ダンジョンから帰ってきて、スチュアートに職員から暫く攻略を止められた為1週間休暇にする旨の報告をし、俺の補助媒体のメンテナンスについて聞いたところ、確かにメンテナンスはした方がよいらしい。
幸いハード面の事だからハードに詳しい業者であれば大丈夫だろうと、俺がダンジョン翌日何もせずに家でダラダラしている間に、スチュアートが良さそうな業者を探してきてくれた。
購入した所もメンテナンスを請け負ってはいるが、実用として見做してもらえなそうな雰囲気で不安があったので良かった。
もうちょっと家で引きこもりしてから、メンテナンス業者の元に行こうと思っていたら、メンテナンスの内容次第では時間がかかる可能性があるから、早めの方がよいと言われた為、午前中から行ってくることにした。
スチュアートはお留守番、シルバリウスと2人でといういつもの組み合わせだ。
今日は久しぶりにただの私服でと思っていたが、結局フード付きローブを被せられてしまった。
まぁ、領主の息子とバレたら面倒くさそうだからしょうがないね。
シルバリウスはいつの間にか買ったのか普通にコートを着ている。なんかずるい。
教えて貰った業者の店舗は一見分かりにくい箇所にあり、俺一人だったら迷子になっていた可能性があったなと思った。
外観も古く、骨董品店とか似合いそうだなと思いながらドアをあけると、狭いながらもガラスケースに入れられた色々な補助媒体が並んでいた。
この店は補助媒体に特化しているらしい。それも誰もが使いやすそうなものではなく、変わったものばかりを扱っているようだ。
ある意味骨董品店であっていたのかもしれない。
ちらっと見ただけでも、スマホのようなものから、某アニメの手鏡のようなものや、某アニメの魔法のステッキのようなものや、某アニメの変身ベルトのようなものなどこの間の店では見なかったものばかりだ。
……え?
日本のアニメオタクとかパチモンのお店じゃないよね?
少し不安になる。
が、考えてみれば今俺が使っている銃型補助媒体も某アニメの銃に似ているんだった。
「いらっしゃい」
厳つい感じの小柄なおじいさんだが、おじいさんの方から声を掛けてくれた。
「あ、と。こんにちは。今日はメンテナンスをお願いしたくて来ました。こちら取り扱えますか?」
いつも使っている黒い方の補助媒体を魔法収納鞄から取り出しカウンターに置く。
おじいさんは“ほう”と言いながら、斜めにしたり、ひっくり返したりしている。
暫くすると声をかけられた。
「大丈夫だ。よく使っているみたいだな」
「ええ。使い勝手が良くて。このお店のものとなんだか系統が似てる気がしますが、店主はこの補助媒体の設定とかも出来るんですか?」
「いや、俺は外側だけだな。中身は全く分かりゃしない。ただ、おまえさんの言う通り、この必要だか分からない装飾や、実用性は考えられていないおもちゃっぽいフォルムが好きでな。気付けばそんな補助媒体に囲まれているよ。
おまえさんのようによく使い熟している相手は初めてだがな」
「そうなんですね。あ、もう一つ設定だけして全く使って無いものもあるんですが、一緒に見て貰った方が良いですかね?」
「ん? ああ。一緒に見といてやるよ」
「お願いします」
白い補助媒体も魔法収納鞄から取り出して渡す。
「おう。じゃ3日後にまた来い」
そう言いながらおじいさんの目線は既に渡した補助媒体に移っていたので、再度“よろしくお願いします”と声をかけてから出て行った。
さて、まだまだ日も高いので、どうするかと思っていたらシルバリウスから声がかかる。
「フォンダンショコラが美味しいカフェがあるらしいとスチュアートから聞いたのだがそこに行かないか? ランチも取れるらしい」
「お! フォンダンショコラ食べたい! 行く行く」
カフェは大通りから少し外れた所にあったが、人気なようで並んでいた。
最後尾に並ぼうとすると、“実は予約していた”とシルバリウスに恥ずかしげに言われちょっときゅんとしつつ店のドアを開けた。
因みに、この世界通話が出来る電話のようなものは、一般には普及しておらず、軍人同士の使用や主要な施設にだけ設置されている。
ただ、“ポストという魔道具”を設置してある場合、専用の用紙を使うと、人の手を介さず瞬時に直接指定のポストに手紙を届ける事ができる。
利用にお金がかかる為、個人間ではあまり利用しないが、このような流行りの店などでは店側が最初から予約結果も伝えられるよう往復用の手紙を用意していたりと直接の来店以外にも予約が出来るようになっているのである。
店の中にはまずケーキのショーウィンドウがあり、どれもこれも輝いて見える。
室内はゴテゴテしていないけど、可愛い系の内装になっていた。
そして、2階へ案内される。2階は半個室になっているようだ。
席に着くとそのまま、俺はサンドウィッチランチセットとフォンダンショコラを頼み、シルバリウスはサンドウィッチランチセットだけ頼んだ。
あまり外食もしないし、こんなのんびりと雰囲気の良い店で過ごすのも久しぶりだ。
思えば、現世の記憶が色々とあやふやな中、突然ゲーム知識だけ思い出したのがきっかけだったか。
前世で強く好きだった目の前のシルバリウスを助ける事だけが、今世最後のやりたい事だと思ってたんだよなぁ。
それが何故か生還して、ここでのんびり過ごしている。
幼少期の思い出があやふやな俺にとって、この数ヶ月はとても楽しいものだった。
そんな事を気付かせてくれたのも、そんな思いを感じる事が出来るのもシルバリウスのおかげなんだよなとしみじみ思った。
幸いハード面の事だからハードに詳しい業者であれば大丈夫だろうと、俺がダンジョン翌日何もせずに家でダラダラしている間に、スチュアートが良さそうな業者を探してきてくれた。
購入した所もメンテナンスを請け負ってはいるが、実用として見做してもらえなそうな雰囲気で不安があったので良かった。
もうちょっと家で引きこもりしてから、メンテナンス業者の元に行こうと思っていたら、メンテナンスの内容次第では時間がかかる可能性があるから、早めの方がよいと言われた為、午前中から行ってくることにした。
スチュアートはお留守番、シルバリウスと2人でといういつもの組み合わせだ。
今日は久しぶりにただの私服でと思っていたが、結局フード付きローブを被せられてしまった。
まぁ、領主の息子とバレたら面倒くさそうだからしょうがないね。
シルバリウスはいつの間にか買ったのか普通にコートを着ている。なんかずるい。
教えて貰った業者の店舗は一見分かりにくい箇所にあり、俺一人だったら迷子になっていた可能性があったなと思った。
外観も古く、骨董品店とか似合いそうだなと思いながらドアをあけると、狭いながらもガラスケースに入れられた色々な補助媒体が並んでいた。
この店は補助媒体に特化しているらしい。それも誰もが使いやすそうなものではなく、変わったものばかりを扱っているようだ。
ある意味骨董品店であっていたのかもしれない。
ちらっと見ただけでも、スマホのようなものから、某アニメの手鏡のようなものや、某アニメの魔法のステッキのようなものや、某アニメの変身ベルトのようなものなどこの間の店では見なかったものばかりだ。
……え?
日本のアニメオタクとかパチモンのお店じゃないよね?
少し不安になる。
が、考えてみれば今俺が使っている銃型補助媒体も某アニメの銃に似ているんだった。
「いらっしゃい」
厳つい感じの小柄なおじいさんだが、おじいさんの方から声を掛けてくれた。
「あ、と。こんにちは。今日はメンテナンスをお願いしたくて来ました。こちら取り扱えますか?」
いつも使っている黒い方の補助媒体を魔法収納鞄から取り出しカウンターに置く。
おじいさんは“ほう”と言いながら、斜めにしたり、ひっくり返したりしている。
暫くすると声をかけられた。
「大丈夫だ。よく使っているみたいだな」
「ええ。使い勝手が良くて。このお店のものとなんだか系統が似てる気がしますが、店主はこの補助媒体の設定とかも出来るんですか?」
「いや、俺は外側だけだな。中身は全く分かりゃしない。ただ、おまえさんの言う通り、この必要だか分からない装飾や、実用性は考えられていないおもちゃっぽいフォルムが好きでな。気付けばそんな補助媒体に囲まれているよ。
おまえさんのようによく使い熟している相手は初めてだがな」
「そうなんですね。あ、もう一つ設定だけして全く使って無いものもあるんですが、一緒に見て貰った方が良いですかね?」
「ん? ああ。一緒に見といてやるよ」
「お願いします」
白い補助媒体も魔法収納鞄から取り出して渡す。
「おう。じゃ3日後にまた来い」
そう言いながらおじいさんの目線は既に渡した補助媒体に移っていたので、再度“よろしくお願いします”と声をかけてから出て行った。
さて、まだまだ日も高いので、どうするかと思っていたらシルバリウスから声がかかる。
「フォンダンショコラが美味しいカフェがあるらしいとスチュアートから聞いたのだがそこに行かないか? ランチも取れるらしい」
「お! フォンダンショコラ食べたい! 行く行く」
カフェは大通りから少し外れた所にあったが、人気なようで並んでいた。
最後尾に並ぼうとすると、“実は予約していた”とシルバリウスに恥ずかしげに言われちょっときゅんとしつつ店のドアを開けた。
因みに、この世界通話が出来る電話のようなものは、一般には普及しておらず、軍人同士の使用や主要な施設にだけ設置されている。
ただ、“ポストという魔道具”を設置してある場合、専用の用紙を使うと、人の手を介さず瞬時に直接指定のポストに手紙を届ける事ができる。
利用にお金がかかる為、個人間ではあまり利用しないが、このような流行りの店などでは店側が最初から予約結果も伝えられるよう往復用の手紙を用意していたりと直接の来店以外にも予約が出来るようになっているのである。
店の中にはまずケーキのショーウィンドウがあり、どれもこれも輝いて見える。
室内はゴテゴテしていないけど、可愛い系の内装になっていた。
そして、2階へ案内される。2階は半個室になっているようだ。
席に着くとそのまま、俺はサンドウィッチランチセットとフォンダンショコラを頼み、シルバリウスはサンドウィッチランチセットだけ頼んだ。
あまり外食もしないし、こんなのんびりと雰囲気の良い店で過ごすのも久しぶりだ。
思えば、現世の記憶が色々とあやふやな中、突然ゲーム知識だけ思い出したのがきっかけだったか。
前世で強く好きだった目の前のシルバリウスを助ける事だけが、今世最後のやりたい事だと思ってたんだよなぁ。
それが何故か生還して、ここでのんびり過ごしている。
幼少期の思い出があやふやな俺にとって、この数ヶ月はとても楽しいものだった。
そんな事を気付かせてくれたのも、そんな思いを感じる事が出来るのもシルバリウスのおかげなんだよなとしみじみ思った。
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