42 / 50
アイク ルート(先生ルート)
Ⅰ 習性とは恐ろしいもの
しおりを挟む
これより先は、アイクルートです。
きっと需要はないのだろうと思います。
わかっています……
そして皆様の声が聞こえてきます。
――どうしてリオンではないのか!?
わかります。
聞こえます……
ですが!!
お届けしたい!!
完全にたぬきち25番の暴走。
趣味ですが……
楽しんで頂ければ嬉しいです。
準備はよろしいでしょうか?
本編5話に出て来たアイク先生のお話です。
↓
↓
↓
スタートです!!
――――――――――――――――――
よく晴れた朝、私が清々しい気持ちで学園に行くと、ルジェク王子が笑顔で出迎えてくれた。
ま、眩しい!!
相変わらず発光している推しの笑顔。
朝から、本当に美し過ぎて……目を開けていられない……
「フォルトナ!! 週末に一緒に観劇に行かないか? オペラのロイヤルボックス席を用意した」
オペラ……ロイヤルボックス席……
オペラにはあまり詳しくない私でさえ、躊躇してしまいそうなかなり恐れ多い席の雰囲気が漂っている。
それ……私が座ってもいい席ですか?
ぐっと言葉を飲み込むと、今度は実際にキラキラと光っているのではないか、というほどにとにかく顔のいい兄の声が聞こえた。
「殿下、お待ちください。週末はガオン公爵の別荘で開かれる夜会に呼ばれております」
別荘で開かれる夜会……こちらもかなり恐れ多い。
本当に私が出席してもいいのか、震えるレベルだ。
「安心しろ、オペラの次の日が公爵の夜会だ。それには私も呼ばれているから一緒に出席しよう」
ルジェク王子の言葉に兄が声を上げた。
「ルジェク王子は、すでにフォルトナの婚約者ではございませんが?」
兄を笑顔で威圧するようにルジェク王子が声を上げた。
「同行すると言っているんだ。問題ない。それにいずれまた婚約する」
なんだか収集が付かなくなって溜息をつくと、授業の始まる鐘が鳴った。
「あ、殿下。お兄様、お二人は剣の授業でしょう? 私はマナーがありますので失礼いたしま~~す」
私は二人と別れてそそくさと教室を出た。
教室に着くと、なぜかアイク先生が教室にいた。
彼は政治を教えているので、マナーの先生ではない。
ちなみにマナーの授業はいくつかのクラスが合同で行う。
席に座ると、アイク先生がオロオロしながら言った。
「本日はマシュー先生はお休みですので、図書室に行き本を読んで過ごしてほしいとのことです」
あ~~アイク先生……伝言係にされたんだ……
ゲームでも困った時のアイク先生と言われ、過労が心配されるほど主人公が困った時はお助けキャラとして登場するアイク先生。
今も休みを告げるためだけにこの教室にいる。
しかも、全員が教室を出るまでここに待機して鍵をかける必要があるのだろう……
この部屋にはマナーを学ぶためにかなり高価な食器も多いので、授業以外は鍵がかかっている。
アイク先生は前の机に座ると一心不乱に手を動かしていた。
アイク先生……何してるのかな?
私がアイク先生の手元を覗くと、地図のような物とバラ園などが記載されていた。
「何しているのですか?」
私がアイク先生の手元を覗き込むと、アイク先生は少し驚き困ったように言った。
「これはフォルトナ様……実は遊戯会の計画を立てるように学長にお願いされまして……現在候補地探しと、その内容について考えています」
この学園の遊戯会とは言ってみれば、貴族の遠足だ。
もちろん貴族なので現地集合、現地解散だが、ケータリングのようなものや演奏会もあるイベントだ。
「え? 遊戯会の内容をアイク先生お一人で考えていらっしゃるのですか?」
いやいや、学長……遊戯会の段取りを一人に押し付けるとか……ないでしょう?
会社の飲み会の幹事だってそれなりに大変なのだ。
貴族の遠足の仕切りを一人でするとか無謀過ぎる。
よく見ると、アイク先生の顔にはクマができ、顔色も悪い。
頬もこけている。
その顔を見るとどうしても身体がうずく……
――最近、化粧品が肌に合わなくて……
――寝不足で頬が……
そんな人たちに私はずっと寄り添ってきた。
だからもしかしたらこれは、職業病かもしれない。
なんとかしたい!!
「アイク先生、お手伝いしましょうか?」
だから言ってしまったのだ。
この言葉を……
まぁ、断られるかもしれないし……
私の提案に、アイク先生はボロボロの顔でまるで子犬のようなつぶらな目で私を見上げながら言った。
「いいのですか!? ぜひお願いします、フォルトナ様!!」
断れなかったぁ~~~~!!
私は「はい」と返事をしたのだった。
きっと需要はないのだろうと思います。
わかっています……
そして皆様の声が聞こえてきます。
――どうしてリオンではないのか!?
わかります。
聞こえます……
ですが!!
お届けしたい!!
完全にたぬきち25番の暴走。
趣味ですが……
楽しんで頂ければ嬉しいです。
準備はよろしいでしょうか?
本編5話に出て来たアイク先生のお話です。
↓
↓
↓
スタートです!!
――――――――――――――――――
よく晴れた朝、私が清々しい気持ちで学園に行くと、ルジェク王子が笑顔で出迎えてくれた。
ま、眩しい!!
相変わらず発光している推しの笑顔。
朝から、本当に美し過ぎて……目を開けていられない……
「フォルトナ!! 週末に一緒に観劇に行かないか? オペラのロイヤルボックス席を用意した」
オペラ……ロイヤルボックス席……
オペラにはあまり詳しくない私でさえ、躊躇してしまいそうなかなり恐れ多い席の雰囲気が漂っている。
それ……私が座ってもいい席ですか?
ぐっと言葉を飲み込むと、今度は実際にキラキラと光っているのではないか、というほどにとにかく顔のいい兄の声が聞こえた。
「殿下、お待ちください。週末はガオン公爵の別荘で開かれる夜会に呼ばれております」
別荘で開かれる夜会……こちらもかなり恐れ多い。
本当に私が出席してもいいのか、震えるレベルだ。
「安心しろ、オペラの次の日が公爵の夜会だ。それには私も呼ばれているから一緒に出席しよう」
ルジェク王子の言葉に兄が声を上げた。
「ルジェク王子は、すでにフォルトナの婚約者ではございませんが?」
兄を笑顔で威圧するようにルジェク王子が声を上げた。
「同行すると言っているんだ。問題ない。それにいずれまた婚約する」
なんだか収集が付かなくなって溜息をつくと、授業の始まる鐘が鳴った。
「あ、殿下。お兄様、お二人は剣の授業でしょう? 私はマナーがありますので失礼いたしま~~す」
私は二人と別れてそそくさと教室を出た。
教室に着くと、なぜかアイク先生が教室にいた。
彼は政治を教えているので、マナーの先生ではない。
ちなみにマナーの授業はいくつかのクラスが合同で行う。
席に座ると、アイク先生がオロオロしながら言った。
「本日はマシュー先生はお休みですので、図書室に行き本を読んで過ごしてほしいとのことです」
あ~~アイク先生……伝言係にされたんだ……
ゲームでも困った時のアイク先生と言われ、過労が心配されるほど主人公が困った時はお助けキャラとして登場するアイク先生。
今も休みを告げるためだけにこの教室にいる。
しかも、全員が教室を出るまでここに待機して鍵をかける必要があるのだろう……
この部屋にはマナーを学ぶためにかなり高価な食器も多いので、授業以外は鍵がかかっている。
アイク先生は前の机に座ると一心不乱に手を動かしていた。
アイク先生……何してるのかな?
私がアイク先生の手元を覗くと、地図のような物とバラ園などが記載されていた。
「何しているのですか?」
私がアイク先生の手元を覗き込むと、アイク先生は少し驚き困ったように言った。
「これはフォルトナ様……実は遊戯会の計画を立てるように学長にお願いされまして……現在候補地探しと、その内容について考えています」
この学園の遊戯会とは言ってみれば、貴族の遠足だ。
もちろん貴族なので現地集合、現地解散だが、ケータリングのようなものや演奏会もあるイベントだ。
「え? 遊戯会の内容をアイク先生お一人で考えていらっしゃるのですか?」
いやいや、学長……遊戯会の段取りを一人に押し付けるとか……ないでしょう?
会社の飲み会の幹事だってそれなりに大変なのだ。
貴族の遠足の仕切りを一人でするとか無謀過ぎる。
よく見ると、アイク先生の顔にはクマができ、顔色も悪い。
頬もこけている。
その顔を見るとどうしても身体がうずく……
――最近、化粧品が肌に合わなくて……
――寝不足で頬が……
そんな人たちに私はずっと寄り添ってきた。
だからもしかしたらこれは、職業病かもしれない。
なんとかしたい!!
「アイク先生、お手伝いしましょうか?」
だから言ってしまったのだ。
この言葉を……
まぁ、断られるかもしれないし……
私の提案に、アイク先生はボロボロの顔でまるで子犬のようなつぶらな目で私を見上げながら言った。
「いいのですか!? ぜひお願いします、フォルトナ様!!」
断れなかったぁ~~~~!!
私は「はい」と返事をしたのだった。
136
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
婚約破棄追放された公爵令嬢、前世は浪速のおばちゃんやった。 ―やかましい?知らんがな!飴ちゃん配って正義を粉もんにした結果―
ふわふわ
恋愛
公爵令嬢にして聖女――
そう呼ばれていたステラ・ダンクルは、
「聖女の資格に欠ける」という曖昧な理由で婚約破棄、そして追放される。
さらに何者かに階段から突き落とされ、意識を失ったその瞬間――
彼女は思い出してしまった。
前世が、
こてこての浪速のおばちゃんだったことを。
「ステラ?
うちが?
えらいハイカラな名前やな!
クッキーは売っとらんへんで?」
目を覚ました公爵令嬢の中身は、
ずけずけ物言い、歯に衣着せぬマシンガントーク、
懐から飴ちゃんが無限に出てくる“やかましいおばちゃん”。
静かなざまぁ?
上品な復讐?
――そんなもん、性に合いません。
正義を振りかざす教会、
数字と規定で人を裁く偽聖女、
声の大きい「正しさ」に潰される現場。
ステラが選んだのは、
聖女に戻ることでも、正義を叫ぶことでもなく――
腹が減った人に、飯を出すこと。
粉もん焼いて、
飴ちゃん配って、
やかましく笑って。
正義が壊れ、
人がつながり、
気づけば「聖女」も「正義」も要らなくなっていた。
これは、
静かなざまぁができない浪速のおばちゃんが、
正義を粉もんにして焼き上げる物語。
最後に残るのは、
奇跡でも裁きでもなく――
「ほな、食べていき」の一言だけ。
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる