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20 困った時の手下(×)兄頼み
しおりを挟む各国の要人が参列されてる中、ルジェク王子は、他国の王子のダンスに割り込むというとんでもない暴挙に出た。
これには、私や、リオン王子殿下だけではなく、他の皆もポカンとしていた。
ど、どうしよう!!
私が、この状況をどうにかする必要があると、オロオロしていると、視界の端に真っ青な顔をして、「通して下さい」と人波を縫ってこちらに向かっている兄の姿を見つけた。
兄、ナイス!!
これでこの空気を変えられるかもしれない!!
私は、白々しいくらい慌てた様子で、大きな声を上げた。
「兄上~~こちらですわ~~」
すると、ルジェク王子と、リオン王子が驚いた顔で私を見た。
まぁ、この状況で、あえて2人をスルーして、兄を呼ぶというのが、斜め上な行動だとは百も承知だ。
だが、今は、皆の気を『ルジェク王子の暴挙』から逸らすしかない。
推しの国際的な評価を下げてしまっては、元も子もない。
「フォルトナ!!」
そして、兄は私に呼ばれると、より一層急いで、こちらにやって来た。
私は、兄が近付いて来るとすぐに、リオン王子から手を離して、兄の腕に自分の腕を絡めた。
「フォルトナ?」
「フォルトナ嬢……?」
ルジェク王子殿下と、リオン王子が信じられないという顔で私を見たので、私は少し眉を下げながら言った。
「リオン王子殿下、ルジェク王子殿下。ようやく、私のパートナーである兄が、迎えに来て下さいました。兄上、お二人共、私が一人だったから、気を遣って下さったのよ」
私がそんな風に言うと、兄が、2人に向かって深く頭を下げた。
「これは、これは、私がフォルトナの側を離れたばかりに、大変お手数お掛け致しました」
私は、兄の腕に絡みついて、大袈裟に頷いた。
「そうよ、兄上……しっかりとお礼をして差し上げて下さいませ」
「あ、ああ。そうだな」
兄はそう言うと、今度は、招待客の方を見て大声で叫んだ。
「皆様も大変ご迷惑をおかけいたしました。どうぞ、引き続きダンスをお楽しみ下さい!!」
兄が、皆にそう言って謝罪して、ピアノの方を見ると、ピアノとヴァイオリンの音色が再び響いた。
私は、兄の腕に巻きついたまま、兄を見上げながら小声で言った。
「兄上、少しどこかでお話できませんか?」
すると兄は、深く頷くと、2人に向かって小声で言った。
「ああ、そうだな……ルジェク王子殿下、リオン王子殿下、この度は、フォルトナの正式なパートナーである私が、側を離れたばかりに、ご迷惑をおかけいたしました。少々別室でお礼をさせていただきませんでしょうか?」
ルジェク王子とリオン王子は、それぞれ「ああ」とだけ言って、私たちについて来てくれたのだった。
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