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第1章
147話 美味しい食事とお風呂
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『ユウキ!お帰りなさい!!』
ようやくジーグルト家の問題を片付けたので仲間らと再会する。
「ユウキ、ジーグルト伯爵様に大変な功績を上げたのですね!」
リフィーアらは我が事のように大喜びしていた。フィーらは涙まで浮かべている。
「でも、あんまり喜ぶべきこととは思えないよ」
かなりの数の敵を殺したのだ、前の世界では即死刑ものである。こちらの世界に来るまで人殺しなどやるべきことではなかったので心苦しいものがある。僕は普通の生活が送りたいのに。
「ユウキ様、ジーグルト家の一族を代表してお礼を申し上げます」
エーディンが頭を下げる。
「よしてよ。僕は僕が危険だと思う敵を排除しただけなのだから」
安心できる生活を守るためだ。大義名分はあったのでそれに乗っかっただけである。彼女に頭を下げさせる意味はない。それはそれとして。
「久しぶりにゆっくりできるのだから」
美味しいものを食べたり色々話をしよう、と。話題を変える。
『うん!』
リフィーアやエリーゼらの話をゆっくり聞くことにした。ある程度までしか知らなかったしね。
「リフィーアは神官の娘さんなんだね」
「そうなの。でも、五女だから嫁ぎ先が無くて、父もさして功績があるわけではなかったから外に出るしかなくて」
「ふぅん」
リフィーアは自分の生い立ちを語りだす。
「エリーゼは?」
「私は魔術師としての才能は有りましたけど生まれが貧乏農家、周りの女の子とさして変わらないのよねぇ。このままでは嫌な男とくっつくしかなくて冒険者として身を立てることにした」
「そうなんだ」
「私達も同じ理由ですね」
エリーゼ達の話を聞くとやはり貧富の差があると思うな。
「アリーナは?」
「私の、実家は、昔、豪農、だったけど。今は、普通。趣味は、刺繍」
刺繍が趣味か。なら今度布地と飾り糸を買ってあげようかな。
「エーディンは?」
「私の実家はライク家の分家の一つです。ユウキ様が外に出ている最中ベルン様から養女にすると伝えられました」
結婚を見越してのことだろうな。
お茶を飲みながら楽しく話していると彼女らはどこか匂いを嗅ぐような仕草を始める。
「どうしたの?」
「あ、あのね。そろそろなの」
「???」
恥ずかしそうにしている皆から聞くとそろそろ体を洗いたいそうだ。そっか、こっちの世界では水浴びで済ますことが殆どで服の洗い方もさして進歩していない。体臭が気になるのは当然だった。
「それなら、任せてよ」
久しぶりにアレをやることにした。
「ユウキ、穴を掘ってどうする気ですか?」
「まぁ、見ててよ」
人通りが無さそうな場所に穴を掘る。ある程度の広さと深さを確保したら木材で内部を補強し木と土の間の隙間を埋めて完成だ。そこに桶で何度となく水を運び入れていく。さらに棒を支柱にして布をかけて見えなくする。
「これって、お風呂ですか?」
「そうだよ」
「でも、水が温かくありませんけど」
僕は魔法のバッグから先端が赤い棒を取り出す。それを水に入れると『ジユュュ~~』音が出て水が一気に温まる。しばらくすると湯気を発するようになった。
「これでよし」
『うわぁ~!』
皆はこんな短時間で湯舟が出来たことを大喜びした。もちろん、更なる手間を入れる。魔法のバッグから何か小さなツボを取り出す。中には何か緑色の液体が入っていた。
「それは何なのでしょうか?」
「花や香草のエキスを抽出したものだよ」
これを湯に入れて混ぜるとほのかに香りが漂ってくる。現代でいう温泉の元だ。
「さ、これで体を綺麗にするといいよ」
『は~い!』
そうして、女性陣はみんな服や下着を脱いでお風呂に入る。
湯船の中のガールズトーク
『はぁ…、気持ちいい』
女の子らは良い香りがするお湯を浴びて汚れを落とした後、湯船でゆったりしていた。
「いつもは水を浴びる程度しかできませんからね」
「ホントホント」
「ユウキって何でもできるよね~」
香りのよい湯の中で話が弾む。彼女らはしきりにエーディンの体を見ていた。
「エーディンは凄い体してるよね~」
「え、あ、その。小さい時から大きくなり始めて、その。大柄な女になってしまいました」
「男はそういう体の方が好みなんだよ。私らなんて……」
エリーゼは農家の生まれ、体の線はやや細く胸やお尻はあまり大きくなかった。リラやフィーやミミの似たようなものだ。
リフィーアはエーディンには見劣りするが出ているところは出ている。これは育ちのよるモノか?アリーナはまだ若いが今後の成長は期待できるだろう。
「ユウキはどういう女の子が好みなのかなぁ?」
ユウキは身の回りにいる女をとても大切にする、凡人では行えないようなことすらも簡単にしてしまうのだ。
強くて賢くて優しい、その上莫大なお金を持っている。女として子供を安心して生むのなら最高の相手だろう。
『(もっと女を磨かないと!)』
全員が決心する。
「全員出て来たね」
『はい!』
ユウキが用意してくれた香り入りお風呂はとても気持ちがよく少し長く入っていた。ユウキが用意してくれた服を着ている。大きな布を半分に折りそこに頭と手が通る穴をあけて縫製したような服だ。今まで着ていた服は洗う必要があった。
「服は後で洗うからいいとして」
ユウキは温めた鉄板を用意していた。
「戻ってくるときに肉買ってきてたから食おう」
『うんっ!』
すぐさま鉄板に油を引いて焼肉だ!
「いただきます」
『いただきま~す』
ユウキが用意したタレに焼けた肉を付けて食べると、
「うまぁ~い!」
全員の顔がほころぶ。普通の焼き肉は塩程度しか使わないがこのタレを付けると美味さは格別だ。次から次へと箸が伸びる。
ガツガツガツガツ
無我夢中で口の中に焼けた肉を放り込む。ユウキと出会ってから食生活は大きく変わり肉だって遠慮なく食えるようになった。
私達だけでは到底あり得ない生活だ、これを手放すもんか!
そうして、皆腹一杯肉を食う時間が進んでいく。
ようやくジーグルト家の問題を片付けたので仲間らと再会する。
「ユウキ、ジーグルト伯爵様に大変な功績を上げたのですね!」
リフィーアらは我が事のように大喜びしていた。フィーらは涙まで浮かべている。
「でも、あんまり喜ぶべきこととは思えないよ」
かなりの数の敵を殺したのだ、前の世界では即死刑ものである。こちらの世界に来るまで人殺しなどやるべきことではなかったので心苦しいものがある。僕は普通の生活が送りたいのに。
「ユウキ様、ジーグルト家の一族を代表してお礼を申し上げます」
エーディンが頭を下げる。
「よしてよ。僕は僕が危険だと思う敵を排除しただけなのだから」
安心できる生活を守るためだ。大義名分はあったのでそれに乗っかっただけである。彼女に頭を下げさせる意味はない。それはそれとして。
「久しぶりにゆっくりできるのだから」
美味しいものを食べたり色々話をしよう、と。話題を変える。
『うん!』
リフィーアやエリーゼらの話をゆっくり聞くことにした。ある程度までしか知らなかったしね。
「リフィーアは神官の娘さんなんだね」
「そうなの。でも、五女だから嫁ぎ先が無くて、父もさして功績があるわけではなかったから外に出るしかなくて」
「ふぅん」
リフィーアは自分の生い立ちを語りだす。
「エリーゼは?」
「私は魔術師としての才能は有りましたけど生まれが貧乏農家、周りの女の子とさして変わらないのよねぇ。このままでは嫌な男とくっつくしかなくて冒険者として身を立てることにした」
「そうなんだ」
「私達も同じ理由ですね」
エリーゼ達の話を聞くとやはり貧富の差があると思うな。
「アリーナは?」
「私の、実家は、昔、豪農、だったけど。今は、普通。趣味は、刺繍」
刺繍が趣味か。なら今度布地と飾り糸を買ってあげようかな。
「エーディンは?」
「私の実家はライク家の分家の一つです。ユウキ様が外に出ている最中ベルン様から養女にすると伝えられました」
結婚を見越してのことだろうな。
お茶を飲みながら楽しく話していると彼女らはどこか匂いを嗅ぐような仕草を始める。
「どうしたの?」
「あ、あのね。そろそろなの」
「???」
恥ずかしそうにしている皆から聞くとそろそろ体を洗いたいそうだ。そっか、こっちの世界では水浴びで済ますことが殆どで服の洗い方もさして進歩していない。体臭が気になるのは当然だった。
「それなら、任せてよ」
久しぶりにアレをやることにした。
「ユウキ、穴を掘ってどうする気ですか?」
「まぁ、見ててよ」
人通りが無さそうな場所に穴を掘る。ある程度の広さと深さを確保したら木材で内部を補強し木と土の間の隙間を埋めて完成だ。そこに桶で何度となく水を運び入れていく。さらに棒を支柱にして布をかけて見えなくする。
「これって、お風呂ですか?」
「そうだよ」
「でも、水が温かくありませんけど」
僕は魔法のバッグから先端が赤い棒を取り出す。それを水に入れると『ジユュュ~~』音が出て水が一気に温まる。しばらくすると湯気を発するようになった。
「これでよし」
『うわぁ~!』
皆はこんな短時間で湯舟が出来たことを大喜びした。もちろん、更なる手間を入れる。魔法のバッグから何か小さなツボを取り出す。中には何か緑色の液体が入っていた。
「それは何なのでしょうか?」
「花や香草のエキスを抽出したものだよ」
これを湯に入れて混ぜるとほのかに香りが漂ってくる。現代でいう温泉の元だ。
「さ、これで体を綺麗にするといいよ」
『は~い!』
そうして、女性陣はみんな服や下着を脱いでお風呂に入る。
湯船の中のガールズトーク
『はぁ…、気持ちいい』
女の子らは良い香りがするお湯を浴びて汚れを落とした後、湯船でゆったりしていた。
「いつもは水を浴びる程度しかできませんからね」
「ホントホント」
「ユウキって何でもできるよね~」
香りのよい湯の中で話が弾む。彼女らはしきりにエーディンの体を見ていた。
「エーディンは凄い体してるよね~」
「え、あ、その。小さい時から大きくなり始めて、その。大柄な女になってしまいました」
「男はそういう体の方が好みなんだよ。私らなんて……」
エリーゼは農家の生まれ、体の線はやや細く胸やお尻はあまり大きくなかった。リラやフィーやミミの似たようなものだ。
リフィーアはエーディンには見劣りするが出ているところは出ている。これは育ちのよるモノか?アリーナはまだ若いが今後の成長は期待できるだろう。
「ユウキはどういう女の子が好みなのかなぁ?」
ユウキは身の回りにいる女をとても大切にする、凡人では行えないようなことすらも簡単にしてしまうのだ。
強くて賢くて優しい、その上莫大なお金を持っている。女として子供を安心して生むのなら最高の相手だろう。
『(もっと女を磨かないと!)』
全員が決心する。
「全員出て来たね」
『はい!』
ユウキが用意してくれた香り入りお風呂はとても気持ちがよく少し長く入っていた。ユウキが用意してくれた服を着ている。大きな布を半分に折りそこに頭と手が通る穴をあけて縫製したような服だ。今まで着ていた服は洗う必要があった。
「服は後で洗うからいいとして」
ユウキは温めた鉄板を用意していた。
「戻ってくるときに肉買ってきてたから食おう」
『うんっ!』
すぐさま鉄板に油を引いて焼肉だ!
「いただきます」
『いただきま~す』
ユウキが用意したタレに焼けた肉を付けて食べると、
「うまぁ~い!」
全員の顔がほころぶ。普通の焼き肉は塩程度しか使わないがこのタレを付けると美味さは格別だ。次から次へと箸が伸びる。
ガツガツガツガツ
無我夢中で口の中に焼けた肉を放り込む。ユウキと出会ってから食生活は大きく変わり肉だって遠慮なく食えるようになった。
私達だけでは到底あり得ない生活だ、これを手放すもんか!
そうして、皆腹一杯肉を食う時間が進んでいく。
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